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幕末ハーレム  作者: 八咫鴉
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新撰組での動乱


「だからあいつらの仲間じゃないってばぁ!」


「その台詞は何度めだ!いい加減吐いたらどうだ、あぁん?」


半端、脅迫と化してる尋問を堪え忍んでいる。

新撰組 鬼の副長 土方 歳三と一番隊隊長 沖田 総司とその部下の少女達に囲まれて鋭い眼光をぶつけられている。


さっきから仲間であると否定してるが彼女達の耳には届いてない。

目の前にいる俺を怪しいと取られるのは構わないが少しは俺の話も聞いてほしいもんだ。


「ならそのご友人とやらはどうした?」


「はぐれたんだ。厠に行くって言ったきりな。多分そこらをうろちょろしてるよ。」


「そうかそうか。―――――牢にぶちこめ。」


「ちょっと!人の話聞く気ないでしょ!」


「まあまあ、落ち着いて。土方さんは人を疑う癖が抜けなくてね。人を見ればすぐ怪しむ可哀想な人だから。」


「人を寂しい奴みたいに言うな!オレだって少しは自粛してるわ!」


あーだこーだ、と口論が一室に響く。

ここは新撰組屯所の一角、分かりやすく言えば取調室のような部屋だ。殺風景な造りにろくに家具もない。


だけどそんな殺風景のなか、四人の人物に睨まれて萎縮するしかなかった。


「さて、改めて問おう。お前が奴等の仲間じゃないと証明できる友人はどこだ?それとも今のは嘘か?」


イラついているオレッ娘、新撰組鬼の副長 土方 歳三。


「早くしたほうがいいよ?ボクが切り刻んじゃうから」


楽観的なボクッ娘、新撰組 一番隊隊長 沖田 総司


「お二人の仰るとおりかと。ここは洗いざらい吐くのが最善です」


やけに知的な委員長タイプ、新撰組 二番隊隊長 永倉 新八


「そうそう。お姉様に逆らわないのが身のためよ。」


妹のようなチビッ子、新撰組 三番隊長 斎藤 一


新撰組の副長と一から三の隊長が四方を取り囲んで尋問を施してる。

とくに土方なんかは刀に手をかけてるので半端脅しにしか見えない。


「さて、こいつは後日罰するために奉行に任せるとして」


「副長!客人が!」


危うく牢に入れられるところで一人の隊員が駆け込んできた。

話を聞くとどうやら俺に客人らしい。


どこから噂を聞き付けて来たのかはわからないが会ってみると納得できた。


「まったく、おまんがいなくなっちょったから町人に聞きまくってようやくついたのう。ここでなに油を売っとる?」


「これのどこが道草食ってるように見える!どうみても捕まってるだろ!」


客人とは龍馬のことだ。

手錠代わりの縄を巻かれているのにどこが油を売ってるように見えるのだろうか。


とはいえ、俺が無実だと証明してくれる龍馬が来てくれた。


「おいおい、誰だこいつは?」


土方が聞いてくる。


「これはこっちの台詞じゃ。健を拉致した挙げく、縄で縛って慰めるとは新撰組も地に落ちたのう。」


「死にてぇのかてめぇは!」


刀を抜いた土方を止める永倉と齋藤。沖田に関してはアハハと笑っていた。あのやろう、楽しんでるな?


「龍馬、健は居たかい?」


さらに海舟も同伴していたようだ。その魅惑的な首筋を晒して誘惑するような立ち振舞い。痴女ではないけどなんかエロい。


「ん?誰だあんたは?」


「おや、そういや初見だったな。わしは勝 麟太郎、そっちのは弟子の坂本 龍馬だよ。そこの坊主を連れ戻しにきたさね。」


「へ?か、勝 麟太郎?」


「あわわわ!?ヤバイですよ副長!勝様ってたしか軍艦奉行並の頭取の人ですよ!」


「あぁ~、土方さんダメですよ~。そんな人の知り合いかっぱらってくるなんて」


「おめぇもノリノリだったろ!」


目の前の幕府の大物に四人揃って緊張している。いや、沖田は緊張どころが楽しんでる。


そのあと俺は勝さんと龍馬と説得により、さっきの逮捕は誤認逮捕であることを認めてくれた。

よかった、この世界に来てわずか数ヵ月で牢暮らしになるところだった。


勝さんと龍馬に感謝感謝だ。







「まあ・・・さっきは悪かったよ」


顔を落として謝るのはなんと土方だ。

詫びとして迎えると言ったので応接間らしき茶室に連れてこられ、休んでいる。


以外と屯所は遠かったからな。龍馬も勝さんも疲れているだろう。


「まあ、誤解が解けただけでもよかったな。」


「はい。牢に入れられると知った時はどうしようかと・・・」


「アハハ。土方さんはおっちょこちょいですね。少しは人を信ずることを覚えたほうがいいですよ。」


「おい、今すぐ真剣で稽古するか?」


お茶らけな沖田を真顔で脅す。子供が見たら確実に泣かれるだろう。


「土方くん。あいつはいるかね?」


ここで勝さんが土方に人を尋ねた。あいつと呼んだので親しい仲がここにいるようだが、誰だか気になる。一体誰だろう?


「あいつ?」


「ああ、勇だ。あいつとはよく酒を飲み交わしているからな。」


勇。その名前が付く人物といえば新撰組 局長 近藤 勇しかいない。

今日だけで新撰組の有名人に四人も会った。まさかこうして5人目を拝められるとは。


「おい、顔がニヤニヤして気持ち悪いぞ。」


「ほ、ほっとけ!」


くそ!はたまた大物に出会えるからつい口元が緩んでしまった。

しかし、近藤 勇か・・・。俺の予想だとゴリゴリの人だと思うんだよな。写真で見る限り。


この世界はなぜかは知らないが偉人達は女性と化してる。これはあの神様のお陰かもしれないけどなんか別世界に来てるようなんだよな。幕末って感じがしない。


「近藤さんなら出掛けてる。そろそろ帰ってくると・・・」


「ハーイ、私はここにいるよ~」


障子をドンと乱暴に開けて入ってきたのは新撰組らしく『誠』の袴を着た妙齢の女性だ。

くせっ毛なショートに大きく空いた胸元。姉御肌の代名詞みたいな人だ。


「近藤さん、もう帰ってきたのか?


「うん。麟ちゃんが来てると思ってね~。やっぱり思った通りだ。」


「相変わらずその感は冴えてるな。」


「照れるよ~。・・・その子は?」


俺のことだろう。女衆の中にただ一人だけ男がいる。はたから見れば奇妙でしかない光景だからな。


「こいつは龍馬が拾ってきたもんでな。今は龍馬の家に居候してるわけよ。」


「ふ~ん。可愛いね~。」


「え!ちょっ」


なんとナデナデと撫でてきた。

まさかショタコン!?いや、俺は立派な大学生だ。ショタではない!


「おいおい、そいつは男だ。いつ獣になるかわからねぇぜ?」


「ふんふ~ん。大丈夫大丈夫。襲われても返り討ちにするから」


なんだろう。冗談ではない台詞だ。彼女に触れようとする男が吹っ飛ばされる想像図が映える。


「ねえ、君の名前は?」


「し、柴崎 健です・・・」


「いや~ん、やっぱり可愛いな~。」


あの・・・胸が当たってます。あなたに恥辱はないのですか?


「近藤さん。こいつらはもう帰るから放してやんな。」


「えぇ~、まださわりたーい」


「ほら、健が顔真っ赤にしてっぞ。そろそろ離さんと鼻血が出るかもよ」


「仕方ないな~。じゃあまた今度ね」


勇さんはヒラヒラと手を振って立ち去った。あと、なぜか龍馬が頬を膨らませているのか。


こうして新撰組での動乱は無事幕を閉じた









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