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ヘリオスを除くアントニウス家の面々とルーヴァンス、皆が朝食を終えた頃合い、警邏隊隊長ブルタス=ゴムズがアントニウス家を訪れた。よれよれの制服や無精ひげから、色濃い疲労の影が見受けられた。
それでも隊長どのは、きびきびした動作で最敬礼をして話し出した。
「朝早くから失礼いたします、卿。ご報告がございます」
「うむ。では、私の部屋で聞こう」
マルクァスがそう言って席を立った。
かたっ。
続けて、セレネもまた紅茶の淹れられたカップをテーブルに置き、腰を浮かせた。
「パ――お父さま。ボクも一緒にお話を伺ってもいいですか?」
「まあいいだろう。来るなと言ってもどうせ聞かぬだろう?」
「はい!」
元気よく返事をして、彼女は隣に座っているルーヴァンスへと瞳を向けた。
「さあ、ヴァン先生もご一緒しましょう」
期待に満ち満ちた瞳がそそがれた。
ブルタスの報告にさほど興味を持っていなかったルーヴァンスだったが、そのように熱心な視線を向けられると無下にするのもはばかられた。
ルーヴァンスは小さくため息をついてから、残っていた紅茶を一気に飲み干した。キラキラと輝く瞳を見返して、苦笑と共に重い腰を上げた。
「ルーちゃん」
その時、セレネの母ミッシェルが、一人だけ腰を落ち着けて紅茶を口に運びつつ、おっとりとした口調でルーヴァンスを呼んだ。




