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セメント・オブ・トリニティ  作者: makerSat
2.人界に集う光と闇
21/186

2-1

 昼の陽の光さえ届かない地中の奥深く、蝋燭の火がゆらゆらと揺れ、微かな灯りがぼうと闇に浮かんでいる。その小さな小さな火に照らし出され、黒で満たされた地下空洞の中央に、漆黒のローブを身に纏った人の子がいた。

 揺らぐ灯りによって生まれる陰影が、より深い闇を生み出している。

『迷っているようじゃの、人間よ』

「……………」

 魔の言葉が人の心を侵す。

『神に惑わされるでない。奴は気まぐれじゃ。貴様も知っておろう。精霊の介入は救済ではなく、暇つぶしよ』

「……………」

 神は人を救わない。決して。

 だからこそ、人は闇を求めたのだ。

『人には神でなく悪魔が、悪魔には人が必要なのじゃ。のう?』

「……はい……」


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