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セメント・オブ・トリニティ  作者: makerSat
1.人と悪魔と精霊と
2/186

1-1

 ロアー大陸の南方に、リストールの町は存在している。美しい大聖堂と港が観光客を魅了する、宗教と漁業が盛んな港町だ。

 その港町では、ここ一週間で、凄惨な事件が続いていた。あるいは漁師が港で、あるいは女学生が路肩で、あるいは貴族が自室で、四肢を切断されて殺害されていた。

 同時に、リストールの各所では悪魔の姿が目撃されている。ここ最近続いている悪魔的所業から、夜の闇を人々が幻視しただけである可能性も高かったが、噂には尾ひれがつき、リストールは悪魔に魅入られた町としての名を轟かせるまでに至っている。

 当然ながら、町を訪れる観光客は激減し、夜中に外を出歩く住人もまた居なくなった。

 しかし、それでも事件は続く。

「……い、いや。たすけ――」

 ぽたり。

 物音に伴って、助けを請うた女性の右腕が床に落ちる。

「……っ! ああぁあっ!」

 ぽたり。ぽたり。

 左腕。左脚。

「っ!」

 声にならない声を上げて、女性が痙攣した。命の灯火は消え去る直前だった。

 夜に佇む闇が、動く。

 ぽたり。

 右脚の付け根から紅が噴き出す。

 ぽと。ぽと。

 血だまりが生まれ、人の子が死んだ。

「……四つ目……」

 月の無い夜に血が流れた。


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