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セメント・オブ・トリニティ  作者: makerSat
1.人と悪魔と精霊と
18/186

1-17

 曙を圧倒するように黄金色の輝きが地表を満たした。

 光の輪が一定の間隔で広がっていく。

 眩さが人を癒して闇を駆逐する。

「第五精霊術『聖槍せいそう』ッッ!」

 一切の輝きが手の内に収まり、瞬時に力と成る。

 女児が金色こんじきの槍を、重量という概念が消え去ったかのように軽やかに、くるりと回した。

 そして、ヒュンッと突き出す。

 ざしゅ。

 光は何の抵抗もなく闇に吸い込まれた。

『ぐ…… ぎがああああああああああぁあ!!』

 断末魔が響いた。

 闇の者は灰塵と消え、ざああぁあと音を立てて風に攫われていった。

 静寂がシンと朝を満たす。

 ヴン……

 静かな音を立てて、輝きが四散した。光の槍もまた消え去った。

 場には、黒き髪の女児と、金の髪の少女と、物見高い町民の姿だけが残っている。

 さわさわ。

 小気味のいい葉擦れの音がどこかから聞こえてくる。

 精霊は真剣な表情を崩して、ふぅ、と息を吐く。

「いっちょあがり、でいやがるですね」

 嘲りの表情を浮かべた女児は、腰に左手を当てて、右手で肩にかかる長い黒髪をはらう。

 塵となった魔も呆然とする人も皆、彼女にとっては愚か者でしかない。

「第一級トリニテイル術士ともなれば精霊術も完璧でないといけねーのです。覚えておきやがれです」

 胸を張り、闇を滅した者は笑みを浮かべて誰にでもなくそう言った。

 光と共に、神々しくそこに在った。


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