表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セメント・オブ・トリニティ  作者: makerSat
5.紅闇と白光の輪舞
163/186

5-38

 ルーヴァンス=グレイはかつて、あくまを超えたせいしんで相手を支配していた。様々な悪魔を屈服させ、時に下級の悪魔を、時に『エグリグル』並の上級の悪魔をサタニテイル術士として支配下に置いた。

 しかし、人とは不安定なものだ。支えを失うことで容易に心を乱し、精神が瓦解して魔に屈服してしまう。そして、そのまま人として終わってしまう。パドル=マイクロトフのように。先程のルーヴァンス=グレイのように。

「精霊よ。お前がルーヴァンスをあまり好いていないのも、事実今の此奴が不愉快極まりないのも分かる。だが、悪い奴では無い。すまないが、ヨロシク頼む」

「何を勝手な――ちっ。消えやがったです」

 ティアリスの言葉通り、白魔アルマースは音も無く消え去った。人界への干渉が限界を迎えたのだろう。

 残された人の子と精霊は視線を、不満げに唇を尖らせているシスター・マリア=アスビィルへと向けた。

「……クソ悪魔に言われたからじゃねーですが、あの超絶クソ紅をぶっ飛ばす間はヨロシクしてやるです。感謝しやがれですよ」

「……僕もティアへのほとばしる愛を抑えるよう努力します。どうもソレがいけないようだと、アルマースが言っていましたので」

「……言われなきゃわかんねーとかマジどーしょーもねーですね、てめーは」

 コソコソと小声で言い合う二者は、紅魔から視線を決して外さなかった。外したが最後、圧倒的な力を放たれて終焉を迎えてしまいかねなかった。トリニテイル術の威力が多少改善されようが、それ程の力量差が未だに有ると、彼らは感じていた。

「……正直なとこ、この場を収められるのですか?」

 精霊さまが人の子に尋ねた。元サタニテイル術士に希望を求めた。

 ルーヴァンス=グレイは苦笑し、しかし、小さく頷いた。

「……先程アスビィルの力を身に入れて分かりましたが、彼女も消耗しています。現状の血六芒星ブラッディ・ヘキサグラムでは、力を人界へ送るのにも限界があるのでしょう。マリアさんのご遺体を復元するような芸当も数度が限度かと」

 然程の希望も生まれなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ