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セメント・オブ・トリニティ  作者: makerSat
5.紅闇と白光の輪舞
142/186

5-17

 粉塵を抜けた光刃が闇の喉元を襲い――

「詰まらぬのぉ」

 キィン!

 しかし、即座に生じた黒き壁があっさりと光を止めた。

 シスター・マリア=アスビィルは紅き瞳を細めて嘆息し、言葉通り詰まらなそうに眉を潜めた。魔は地上のルーヴァンスと天上のティアリスに紅玉を向け、彼らを哀れむように見下していた。

「先程コソコソと話をしていたのはこの程度の策を弄するが為かえ? なれば、お主たちとこれ以上遊ぶ価値は――ぬっ!」

 がッッ!!

 突如、光の刃が闇の壁を突き抜けた。

 シスター・マリア=アスビィルは身体をひねって、想定外の一撃を何とか避けた。その為に、精霊への攻撃の手が止まった。

 ティアリスはその隙を見逃さず、光弾を放った。此度はたったの一発だった。ルーヴァンスがシスター・マリア=アスビィルの直ぐ側に居ることを考慮した上だろう。

 ばさァ!

 闇色の翼をその背に生み出して、シスター・マリア=アスビィルが上空に飛び上がった。そうして光弾の放射上から逃れた。

 ひゅッ!

 しかし、光は地面を穿つことなく、闇の跡を追って方向転換した。

「ちっ。面倒じゃな」

 シスター・マリア=アスビィルが独白しつつ、紅黒く彩られた防壁を生み出した。しかし、悪魔は急遽防壁を消して、数発の黒弾を放った。

 どんッ!

 唯一つの白光と数発の黒光がぶつかり合い、互いに爆散した。

「……先程から力が足りぬ。人界へとそそぐ力の量は変えておらぬが、何故じゃ」

 あっさりと消え去った黒と自身の腕を交互に瞳へ映し、紅魔が眉を潜めた。深紅だった彼女の瞳は淡紅ときに変化していた。

 悪魔が先ほど防から攻へ転じたのは、形成した防壁の強度が想定外に弱く、光を相殺しきれないと判断した為だった。その黒き弾丸さえも、単一の光弾を相殺する為に数発を要した。

(術だけでは無い。此の人形からだを動かす事すら覚束ぬ)

 訝る紅魔に息を吐かせる間を与えず、人の子が攻めた。両の手に神の刃を構えて駆け寄った。

 ルーヴァンスは袈裟懸けに右の刃を振り抜き、その勢いを殺さずに回転しつつ左の刃を突き出した。

 シスター・マリア=アスビィルは漆黒の衣服をはしたなくはためかせて、後退することで第一刃を、右に身体を沈めることで第二刃を避けた。


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