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セメント・オブ・トリニティ  作者: makerSat
5.紅闇と白光の輪舞
134/186

5-9

「ふふ。なかなかに面白い精霊じゃ。殺すのが惜しいのぅ」

 そう言いながらも、シスター・マリア=アスビィルは紅黒い光を遠慮なく放った。

 光はティアリスたちへと真っ直ぐに向かった。

 瞬時にティアリスがルーヴァンスの腰に軽く手を当てて神の力を注ぎ込み、ルーヴァンスはその力を元として守りを具現化した。

神楯イルハーズ・ガード!」

 白く輝く楯が黒を防ぎ止めた。しかし、相殺しきれなかった。

「なっ!」

 精霊さまの驚嘆が紅く染まった町に響いた。

 伴って、楯にはほころびが生じ――

 ぱぁんっ!

 鋭い音が響くと同時に弾けた。

神楯イルハーズ・ガード!!」

 人の子と精霊さまは、直ぐに二つ目の光を生み出すことで、今度こそ全ての黒を相殺するに至った。

 しかし、その余波は人の子と精霊の身体に少なからずの傷と疲労を与えた。

「ほぉ、防ぎおったか。その力は神のモノ…… トリニテイル術かえ?」

 シスター・マリア=アスビィルが小首を傾げた。

 神の力を行使する術のことは、悪魔の間でも囁かれているらしかった。ゆえに、シスター・マリア=アスビィルは、ルーヴァンスたちの抱える問題を素早く察した。

「しかし、お主ら。相性があまりよくないのではないかえ? 『エグリグル』の中でも一、二を争うウチの力とはいえ、所詮は魔化術じゃ。大した威力は出ん。本来、神の力であれば容易に防げるはずじゃぞ。それをああも苦心して防がねばならぬとは、情けないのぅ。せっかくのトリニテイル術士を交えたお遊び。早々に終わってしまってもつまらんぞ」

 肩を竦めて紅魔が嘆いた。そこには充分な余裕が窺えた。

 それほどに、目前の人の子と精霊が矮小だったのだろう。

「そんな! 僕とティアの相性は抜群! これ以上ないベストパートナーですよ! 女児最高!」

 変態が空元気と共にしゃしゃり出た。どさくさに紛れてティアリスの小さな頭を撫でていた。

 当然ながら、精霊さまは怒髪天で瞳をつり上げた。

「やかましいですッ! くたばれです、このクソ虫共ッ!」

 ティアリスは、頭上に置かれた大きな手をバシッと力いっぱい払いのけた。人の子への嫌悪から大きく身震いし、こめかみには青筋を立てて、彼女は怒鳴った。

 人の子と悪魔、どちらの言葉に対してもその呪詛は向けられていた。


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