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懐かしい名前

VRMMOとか、チートとか、異世界転生も好きなんです。好きなんですがね、もうちょっとこう、王道物とか、ダークヒーロー的なのとかも出て来て欲しいなって思ったり。


毎晩三食カレーじゃ、飽きちゃいますよね。。。

翌朝、日課の鍛錬を終えたカイトは、街に出て妹の姿を見た者がいないか、聞き込みを始めていた。


しかし、早朝の街では流石に人気もまばらで、あまり話は聞けそうにない。



何故こんな朝早くから聞き込みに出たのか……というと、単純な話、居心地があまりよくなかったからだ。


昨日案内された家は、アベル様のお屋敷ほどではないが、立派に豪邸と言えるもので、使ってくれと言われた部屋は、自分が住んでいた小屋よりも広かった。


とても大きくて柔らかなベッドは、柔らか過ぎて逆に心許なく、その上使用人までいる始末。


確かに商会の主と言ってはいたが、この状況は想像していなかった。


……やっぱり何処かに宿を取ろうかなぁ。



本気でそう考え始めるカイトだった。






…これからどうするの?


足元に居たクルトが、暇そうに声をかけてきた。


あの家にいると、ルルカ達のおもちゃになってしまうので、カイトと一緒に出てきたのだ。


普段は子犬のふりをしているクルトは、屋敷に着くなりそこの使用人……主に女性……から熱烈な歓迎を受け、それに耐え切れずカイトの側から離れなかった。


「まずは、話を聞いて回ろう」


と言っても、出来る事はそう多くはない。


商店関係は全てトルネが手配してくれている筈なので、それ意外で話が聞けそうな場所は……宿屋、酒場、ギルドあたりだろうか?



もし、誰かの伝を頼りに来たのでなければ、宿に泊まっているか、泊まった事がある筈だ。


誰かの伝を使って来たのであれば、一度は酒場を使った事がある筈。昼食を出す酒場も珍しくない。


そして、どちらの手段で来たとしても、何かしらギルドを利用している可能性もある。


依頼を出すか、受けるかだ。


ギルドの依頼は、一般的に冒険者と言われるような人達以外でも、その日の糧を稼ぐ為に利用する人は多い。


そして、材料集めや家の修復、引越しや荷物運びなど、ちょっとした手伝いが欲しくなったときに頼る場所も、ギルドだ。



今の時間なら、宿屋は忙しいだろうし、酒場はあいていない。


ならば、ギルドだろう。


直接本人に行き当たる事はそうないだろうが。


カイトは、尻尾をふってついてくるクルトと一緒に、ギルドへ向けて歩き始めた。








「すいません、ここのギルドに、リースという名で依頼を受けた者か、依頼を出した者はいませんか?」

「失礼ですが、あなたとそのリース様のご関係は?」


疑わしげに聞いてきた受付の人に「妹だ」と告げ、事のあらましを話す。


もちろん、細かい事はぬきで、盗賊に襲われ生き別れになった妹がここにいると聞いてやってきた……としかいってはいないが。


それを聞いた受付の女性は、少し同情した様な目でこちらを見ながら「申し訳ありませんが、依頼人や冒険者の皆様の情報をお渡しする事はできないんです」と告げた。


そこをなんとか、と食い下がるカイトだったが、がんとして首を縦に振らない。


困り果てたカイトだったが、あまりしつこく聞いて警戒されすぎるのも良くないと、受付から離れ、依頼が貼られた掲示板へと進もうとした。


「お?お前さん、もしかしてあの国境の砦で戦った冒険者さんかい?」


突然かけられた声に驚き、振り向くカイト。


その先にいたのは、傷だらけのレザーアーマーを着込んだ男だった。


「やっぱりそうだ!あんときの兄ちゃんじゃねぇか!」


そう言って近づいてくる男だったが、カイト自身はあまり見覚えがない。


あの時はたくさんの人が居たし、その後の酒場での事も、あまり覚えていない。


少し困っていると、その男は自分に覚えが無いことがわかったのか、苦笑しながら近づいて来た。


「あぁ、わりぃわりぃ。あの時もちゃんと話ししてなかったからな、覚えてなかったのも無理はねぇ。


俺はオール。ラスティカの街を中心に活動してる冒険者だ。


あんたの活躍は、砦の中で見てたよ。……俺にも、もう少し力があれば出ていけたんだが」


そう言って苦笑いする彼は、悔しそうにそうつぶやいた。


「で、このギルドでなにか困りごとかい?俺でよかったら力になるぜぇ!まぁ、きつい依頼の手助けってんじゃ、俺は力になれそうにないけどな」


せっかくこう言ってくれたのだからと、カイトは受付の女性に話した事を、そもまま彼にも語った。


「……成る程なぁ。そいつは大変だったな。……だが、俺もあまり力にはなれそうにないな。俺がこの街で受けた依頼の依頼主にも、そんな名前は聞いたことがないし、そもそも女の冒険者もあまり……」


そう言ったところで、彼はハッと目を見開いた。


「そういや、1年位前からこの街で活動してる冒険者がいてな、そいつがいつも女の子を連れていたな。珍しいからよく話題になってたが、最近はどうしてるんだろうな」


そう言うと彼は窓口に歩み寄った。


「なぁ、最近、あのトリスって奴らはどうしてるんだ?」

「トリス!?」



それは、確かに村で仲の良かった、病弱な妹を持ち、カイトの妹を連れて街へと逃げた、友の名前と同じものだった。

って事で、ここから2章は佳境へと突入します。


唐突に出て来たトリスの名前。


妹の名前よりも先に出て来た友の名が示すものとは……?

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