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身分証明

ちょこちょこと誤字等を直していきたいと思います。


見つけられましたら、メッセージや感想などでお知らせください。

「はい、これでカイト様の登録は完了しました。お疲れ様でした!」


その言葉と共に、一枚の薄い鉄の板が差し出される。


「これが、世界共通となる、カイト様の身分証となります。これがある限り、いつ、いかなる場所、いかなる時でも、そのご自身の身分に相応した対応が取られる事となります。



このギルド票は、いかなる手段によっても偽造する事は出来ず、表記事項に干渉する事も出来ません。


よって、犯罪歴等も全て表記される事となりますので、十分ご注意ください。


何かしら変化があった場合は全て自動で更新されます。

ですが、生死確認の意味も込めて、最低一年毎に更新に来ていただく事となります。


これが無い場合、亡くなったものとされ、登録が抹消される事もありますので、こちらもご注意ください。



尚、登録がお済みの方には、各地にあるギルドにて、お仕事の斡旋もさせていただいています。


詳しくは、お渡しした”冒険者ノ心得”をお読みください。


何かご質問などはございますか?」

「いえ、ありません」

「それでは、良い人生を」


晴れて冒険者としての登録が終わったカイトは、長時間の検査や説明で強張った身体を伸ばし、深々とため息をついた。


これでようやくちゃんとした身分証が出来たな。


先ほど渡されたギルド票を片手に、懸案事項の一つが晴れた事に安堵していた。



おおよそこの世界において、身分を証明するものは無いと言える。

全ては誰か、他人が証明する事によってでしか、それを保証するものは無い。


しかし、ただ一つの例外がこの“ギルド票”だ。


各地に点在する精霊の力を借り、その力によって情報を集め、このギルド票に記載する。

“他者"となる人間の代わりに“精霊”がその身分を保証するというものだ。


細かい技術などはわからないが、“そういうもの"として受け入れられている。


それは、この世界全てにおいて有効であるとされている。



だから本来国からの通行許可証が必要な越境等も、これがあれば問題無く通り抜けられるのだ。


犯罪歴が無い限りは…だが。



隣国へ赴くにあたって、どうしても必要なこれを貰うために、カイトはこうしてギルドへと来ていたのだった。



さて…出来たらこれはどうにかしておきたかったんだけれど…。


ちらと見たギルド票には、こう書いてあった。


職業:狩人

経歴:元奴隷 黒狼の主


まぁ、今更言った所でしょうがないのか。


考えてもしょうがないと気分を変え、背後で待っていたアリシアに声をかける。



「ごめん、お待たせ」

「気にしないで。面白かったから」

「じゃぁ行こうか」

「依頼は受けていかないの?」



不思議そうに聞くアリシア。



「今回は越境の為の身分証名として貰いに来ただけだからね。お金が必要になったらまた来るさ」


それに納得したアリシアは、そう。と言うと、おとなしく後をついて来た。





早めに帰る理由の一つが、これ以上アリシアと兄妹ごっこを続ける事が出来そうに無いから…という事を、あえて伏せておいたのは間違いじゃ無いはずだ。






*************






「おまえさん、すこし時間はあるかね?」


買い物と用事を済ませ、馬車に戻るかとアリシアを連れ街の中央広場から離れた時、物陰に居た老婆に声をかけられた。


目深にフードをかぶり、あまり日が当たらぬ場所に居たその老婆は、どう見ても怪しい人間にしか見えず、アリシアと顔を見合わせたカイトは、用事があるから…と立ち去ろうとした。


「なに、そう時間はかからぬ。あまり良くない気がまとわりついてるように見えたものでな、占ってやろうと思っておったのだが…」



その言葉に反応したのはアリシアだった。あまり占い等に縁のなかったアリシアは、

「いいじゃありませんかお兄様」とカイトをたきつけると、彼を老婆の所へと引っ張っていってしまった。



正直こういうのは好きじゃ無いんだけど…



あまり運命とかいった類を信じていないカイトには、占いを聞きたいとは思っていなかった。


起こる事は全て必然で、必ず理由があるとは思っているが、それをどんな道具を使ったとしても、人間が未来を見通せるとは思っていない。


何かしらの指針には使えるかもしれないが、それを意識しすぎて、かえって悪い事が起きる可能性もある。



だが、楽しそうに話を聞いているアリシアの気分に水をさすつもりもない。

仕方ない、今日位は付き合うか…と考え、アリシアの話が終わるのを待った。



「んん…お前さんはなかなか面白い人生を送るようじゃな。随分と良い所に住んでおるようじゃが…ふむ…嫁いだ後も幸せに暮らせるようじゃ。少し、時期は遅くなるかもしれぬがな」

「ふむふむ…子供は何人できるかのう?」

「それはその時まで楽しみにしておれ。それも人生の楽しみの一つじゃぞ?」

「むぅ…わかった…」


アリシアは特に目立って悪い事も言われてないようだ。なら、きっと幸せな人生を送れるのだろう。


「さて…お前さんじゃな」


そう言うと、老婆は背後に置いていた袋の中から、小さな箱を取り出した。


「それは…?」

「竜符…という物じゃ。お前さんの場合は占うのも大変そうじゃからのう」


そう言って開けた箱の中には、幾つかの小さな骨の欠片が入っていた。


「これはな、古き竜がその命を終えた後、長い年月をかけて骨になったものじゃ。その骨の中でも魂が宿ると言われる場所に最も近い骨を砕き作られた、竜の魔力が宿るもの…と言われておる」


そう言うと老婆は、その骨を全て取り出し、同じく袋から取り出した紙の上に広げた。


「よーく、見ておれ」


そして老婆がぶつぶつと何事か唱え始めると、その竜符とやらが一斉に震え始めた!



カタカタと小刻みに揺れるもの、コロコロと勝手に転がりだすもの、かと思えば、一瞬震えたかと思えばその後微動だにしない物もあった。


余りにも不思議なその光景にアリシアと2人魅入っていると、動きを止めたいくつかの竜符がキラキラと輝き始めた。



「むむむ…まだ揺れておる物も多い…それだけ、多様な未来があると言う事か…そしてこの光は…」



それを見ながらさらにぶつぶつと呟くと、今度はそれぞれが集まりだし、やがて一枚の板となった。

老婆は、所々光っているその板を手に持つと、両手で優しく包み込み目を閉じた。



しばらくじっとしていた老婆だったが、ふっと体の力を抜き目を開いてカイトを見て来た。


その余りに澄んだ瞳に、己の全てを見透かされる様な、得体のしれない怖気を味わいながら待っていたカイトに、老婆がぽつぽつと喋り始めた。


「…随分…数奇な…運命を持つようじゃな…。


今はまだ…その入り口にさえ…立っておらぬ…。


…しかし…その時は…すぐにやってくる…気を抜くでない…お主の決めた…様々な事が…様々な者の…定めを変えるじゃろう…。



迷った時は…神樹の森に…力欲しくば…北の名を忘れられし祠へと…向かうが良い…。


忘れるな…お主には…聖霊の加護が宿っておる…」



不思議な雰囲気に包まれながら、老婆が紡いだ言葉に心を震わせられつつ、カイトはその言葉を深く心に刻み込んだ。


「…こんなに疲れたのは久方振りじゃ…。もし、この先特に急ぎでないなら、国境を越える前に、北にある迷宮を訪れるがよかろう。

きっとお主の助けとなる筈じゃ」


そう言って、老婆は荷物を纏め去っていった。「また会う事になるじゃろう。それまで元気でな…」と、言い残し…。

謎の老婆と出会ったカイトは、不思議な体験をしました。


いずれまた出てくる老婆ですが、今はまだその存在は謎であり、やがて忘れるカイトですが、ふとした時に竜符のお告げが出てくる事となります。

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