プロローグ
この作品はあくまで架空であり、作品中にある都市、人名等は一切現実とは関係無いのでそのコトを忘れずに。
ーー静寂。
風で揺れる木の葉の音と、時折聞こえる虫の声以外は何も聞こえない。
そんな中、自分の鼓動だけがやけに大きく聞こえてうるさく感じる。
普段なら気づきもしないその音も、かすかな音しか聞こえないこの森の中では、十分すぎる程大きな音に聞こえてくる。
そう、感づかれてしまうんじゃないかと、心配になる程に。
この場所で息を潜める事およそ2刻。
じっと身を潜め続けるのもそろそろ限界かもしれない。
"ここにはこないか?ーー移動するべき……か"
そう考え始めた瞬間、奥の茂みからガサリ……と音が響く。
「ヴフッ…フッフッ…」
そこには、1リルム(1m80cm)程もあろうかという巨大な体躯を持った生き物がいた。
それはボアと呼ばれる、四本の脚で歩き、顔には3リム(約54cm)程もある角を持った生き物だった。
この森の中では一際大きな体躯を持つそれは、この森で幅を利かせる森の主と言ってもいい存在だ。
ボアは周囲を伺いながらゆっくりと目の前を横切り、この先にある水場へと歩いていく。
俺は悟られないように呼吸を抑え、ゆっくりと手にした弓に矢をつがえた。
キリキリ……
つがえた矢を限界まで引き絞っていく。
このサイズでは、きっちりと急所となる首の付け根へと撃ち込まねば1撃では落とせない。
ゆっくりと慎重に狙いを定め、その時を待つ。
ボアが目の前を通り過ぎたその瞬間ーー。
ーーヴュンッ!
唸りと共に風を切りながら飛んだ矢は、狙い通りに首筋に突き刺さった!
しかし、撃ち出す瞬間の殺気を捉えたのか、傷ついた体を引きずり駆け出すボア。
辛うじて外れず、後脚の付け根に刺さった矢の痛みに鳴き声をあげながら、それでも倒れずにこちらを睨みつけ一直線に駆けてくる。
"チッ…それなら…ッ"
勢いよく隠れていた茂みから飛び出た俺は、腰からダガーを抜き放った。
目の前に迫るボアの命を刈り取るべく俺は、右手のダガーを駆け抜けてきたボアの巨体を避ける同時、その首筋へと叩き込んだ。
コツコツと更新して行こうと思います。
感想等お待ちしてます。
12/5改稿