6話 美人神主さん!到来!
帰ろうとして気づいたけど、家はどこだっけ?
都合よく弟が現れるはずもなく。とぼとぼ歩き出す。昨日は人気のない所を探して辿り着いたんだから、今日もそうやって行けば、家に行けるはずよね!
ちゃんと家に帰れましたよ。3時間後にね!まあ自転車で10分の所にある自宅に、どうやって3時間もかけたかは聞かないで。
家に近づくと、人の姿があった。綾君じゃない、こんなボロい神社に御参りに、来た人かな?
とてつもなくイベント臭がする。遠くから観察していると、御参りに来た人が振り返って、私を見た。
「こんにちは。御参りですか?」
……いやいや、こっちのセリフだから!水色長髪の美人さん!
挨拶を返すと、美人さんがニコニコ顔のまま近づいてくる。笑顔の人が距離詰めてくるのが怖いって感じるのは、私だけ? というか美人さん。背が高いよ!顔も近い!私の身長より、頭2つ分高い背を丸めて、彼に凝視されている。
「やっぱり! 君がトワちゃんだよね?」
この美人さんの声、低い。男の人?
「ノリトさん?……」
驚いて、つい声にしてしまった。
この人は攻略対象じゃん!……蒼井 則斗。水色の長髪美人。年齢は忘れたけど、神主がいないボロ神社の神主代理をするために、一緒に住むことになるお兄さん。常に笑顔で、何考えているかわかんない人。私がゲームやっている時の印象は、腹黒な美人!この人のバッドエンドが一番、壮絶だったから、その他の情報を忘れた。
「あれ?僕のこと知っているの?」
ヤバッ!主人公ってノリトさんのこと知らない設定だったよ。どうやって誤魔化そう?
考えていると、いきなり腕を引っ張られる。私は、ギャ!と女の子にあるまじき悲鳴を上げて、ノリトさんの腕の中にいた。……女の子って年じゃないからいいのだ!
「トワちゃんは、表情がくるくる変わって可愛いですね」
“ドキドキする”
この言葉でわかってくれる人が、何人いるかわからないがこの表現は、恋する乙女以外でも使える。それは、恐怖に脅える時だ。
次の話は15Rで残酷描写有です。注意してください。