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Dear 狂愛  作者: みの
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2話 私が美少女!?

「美味しい! このカレーって……もぐもぐ……綾君が……作ったの?」


「姉貴の料理は不味くて喰えないんだから、俺しか作れないだろ。てーか、飯喰いながら喋るな! こぼしてんぞ!」


 うっ、言ってはいけないことを言ったな!図星はついちゃいけないって学校で習わなかったか。餓鬼! 料理ができたら、毎日、コンビニ弁当なんてしてないから!

 私は大人だから怒ったりしないが、弟を睨み付け圧力をかけておく。……なんで赤くなる弟!空気読め!


「ところで、お父さんとお母さんは? ――――死んでなかったと思うけど」


「いや、勝手に殺すなよ! 一昨日の朝に親父の仕事かなんかでイギリスに行っただろ!」


 こっそり言ったのに、私の言葉の最後、聞こえていたの?! 

 でも留守で良かった。

 見つかったら――

『この女の人は誰かしら? 綾』

『アヤが女の人を連れ込んだの? ……さすがパパの息子ダ!』

『お、落ち着いて下さい! お父さん! お母さん!』

『あなたにお母さんなんて呼ばれる筋合いないわ!』

『アヤ、そこまでヤられちゃったら、責任とってもらわないとネ!』

『そうね、パパ。日本のヤり方でね』

『ワオ!ジャパニーズ!腹きりヲ!?』


 逆のような気がする。でも、私は年上なんだから、きっと、こうなるわ。よくわからないけど、こういう時って土下座とかしたほうがいいのかしら?


「おい!姉貴!」


「うわ!ごめん!」


 吃驚した! 妄想から帰ってきた時は、周りの状況確認って難しいのよね。


「何で、謝ってんだよ! さっさと風呂入ってこい!」


 頷いて、歩き出す。ご飯も美味いし、風呂も準備してあるなんて嫁にほしいぞ! 口さえ悪くなければの話だけどね。

 ふと、ごちそうさまを言ってなかったことに気づいて振返る。


「綾君、ごちそうさま。本当に美味しかったよ」


「当たり前だろ。姉貴好みの味にしたんだから……!」


「え?」


「な、なんでもねぇ! さっさ行けよ!」


 顔を真っ赤にした綾君にお礼を言って、さり気なく早歩きで廊下に出る。


 ――――当たり前だろ。姉貴好みの味にしたんだから……!


 自然に言ってきたから、幻聴かと思った。自分の頬が熱をもってくるのがわかる。

 さっきの言葉は、照れるよ! 可愛すぎる! 私の方が恥ずかしくなるなんて、どんな拷問なの! 


 ツンデレのデレの破壊力にやられてしまったらしい。


 落ち着いてきた私は、大事なことに気づく。風呂場はどこ?! 今別れた綾君には、壮絶に聞きにくい。よって適当に歩いて探すことにした。


 それにしても綾君は、29歳の女を捕まえて姉貴と読んでいたのよね。確か、Dearのゲームの主人公ヒロインは、ピチピチの高校1年生で、綾君に劣らず美少女だったはずだ。間違っても、私には似てない!


 あっ、そうだ!公式には書いてなかったけど、綾君は、0.0001な視力の持ち主なのかも!


 うろちょろと1~2時間歩いて、やっと風呂場に着いた。脱衣所で服を脱いで、目の前にある鏡が、目に入る。


「嘘でしょ……これは本当に夢じゃないの?」


 目の前には、ふわふわな銀髪を腰まで伸ばした、どこのお姫様だと思うような美少女が蒼眼が落ちそうなくらい眼を見開いていた。美少女は、私の動きを真似て動く。お肌はすべすべで、シミも皺もない。


 はっ!ちょっと喜んでる場合じゃないわ。


 これは認めるしかないのね――――私は、Dearというゲームの主人公(ヒロイン)になっていた。


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