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Dear 狂愛  作者: みの
11/30

10話 日常!どうでもいい?下着の話!?

 今回は恋愛要素が皆無のトワ達の家の日常です。皆が下着についての話をしています。皆が暴走しています。危なくないと思いますが、不快だと思う方は、注意して下さい。

 今の生活に慣れ始めた、ある休日のこと。


 3時はおやつの時間よね! 私は、台所からコンビニの菓子パンを入手して、機嫌よく鼻歌を歌いながら、部屋に戻るため、きしむ廊下を歩いていた。その途中で、廊下にある黒電話が、鳴る音がしたので、受話器をとる。


「もしもし?」


「――もしもし、トワさんですか?」


「はい、そうですけど。どちら様ですか?」


「――今日の、パンツは何色?ハア、ハア、」


 キタッ!?変態さんからの電話が。まあ、こういう電話は珍しくない。

 私はトリップしてきてから、美少女というものなってしまった。そのため、後ろから知らない人が付いてきたり、迷惑電話が、かかってきたりすることは体験した。美少女は罪ね!なんて最初はアイドル気分で楽しんでいたが、何度もあると、飽きたので電話対応のほとんどは、綾君やノリトさんがしてくれていた。


 対応としては、綾君は電話に、ぶち切れ、怒鳴った後に受話器を、乱暴な動作で戻していた。ノリトさんは、笑顔で、呪文?みたいな言葉を話し、電話の相手に精神攻撃らしきものをしていた。そのおかげで、ずいぶんな数の迷惑電話が減った。


 今日はうっかり電話をとってしまったので、対応する。


 今日の私は、機嫌が良いから、ちょっとは相手してあげますか! さっきから同じ言葉を繰り返す変態さんに意識を戻す。


「――ハア、ハア、今日の……パンツ……何色?」


「今日は確か、ピンクで豹柄よ」


「――ハア、ハア、か、形は?」


「うーんと、なんていうのかしら?」


 ボクサー?と答えていると、綾君が鬼の形相で、私の前に走ってきた。そんなに走ったら、床抜けるよ。この家は神社共々、ボロいんだから!


「姉貴! 誰と話してんだ?」


「えーっと、変態さん?」


「おい、すぐに切れよ!普通に対応してんじゃねーよ、馬鹿!」


 綾君に受話器を奪い取られ、説教を受けた。姉貴がそんな対応しているから、迷惑電話がなくならないとか――それは初耳だわ。あの電話を受けると、なんというか。なんというか。



 血が騒ぐのよね!……あ、断じて興奮するとかじゃないから! 美少年、美青年を見ると思わず、ハア、ハアしちゃうような同属の血が騒いじゃうのよね。私が、29歳まで捕まらなかったのは、ひとえに、ゲームのキャラ達にしか心を奪われなかった。そのため、ストーカー行為をする手段がなかったというだけだ。


 今だって、トリップした乙女ゲームがDearここじゃなかったら、毎日のように美少年、美青年を追い回すのに!


「聞いてんのか、姉貴!」


「うぇ! ごめんなさい……何の話だったけ?」


「変態と何を話してたんだよ?」


「今日のパンツについて聞かれたから、ピンクの豹柄ボクサーって答えただけよ。」


「姉貴、そんなパンツ持ってたか?」


 洗濯ついでに、姉のパンツをチェックしているなんて、流石シスコン弟ね!


「私は持ってないわ。綾君のだよ?」


「俺のかよっ!それを変態に話すって本気マジでありえねーし!」


 だって、誰のパンツとは言ってなかったんだよ!と心の中で反論する。これを言ったら最後、ものすごく、怒られるに決まっている。29年間の生活で反論したら、倍返しにされるということを学んだのだ。とくに狡猾な姉には、度々、罠にはめられていた過去が大きく、私を我慢強い子に成長させた。


 綾君の説教を右から左に流していると、ノリトさんが近づいてきた。


「綾くん、何かおもしろ……不思議な話をしていますね?」


 普通に素が出ましたよね!? 面白い話って言いかけていたし! この腹黒! イケメン!


 私が心の中で、ノリトさんを罵倒していると、話が進んでいく。


「そんな電話があったんですか。トワちゃん怖かったでしょうね。大丈夫ですか?」


 別に……なんて言えないよ! 言ったら変なフラグ立ちそうだから! 私が無言でいると、怖がっていると思ったのか、綾君が話を変える。


「そういえば、ノリ兄の洗濯もしてるけど、パンツとか見たことねえな」


「え?ちゃんと毎日出していますけど?」


 ノリトさんは、そう言って廊下の窓から見える洗濯物を見る。視線の先には、快晴の下に気持ちよさそうに風に揺れる、白く長い布?……



 ふんどし、ですって!? 今時、萌え業界にも、そんなに需要のないものを履かないで!



 綾君は気付かないようで、やっぱりないじゃんと、ノリトさんを不思議そうに見ていた。硬直した私に気付いたノリトさんは笑顔で話しかけてくる。


「トワちゃんはわかったようですね?」


 聞かないで! セクハラよ!? と思いつつ、自然とノリトさんの下半身に目がいってしまう。ノリトさんは、何を勘違いしたのか、してないのか話を続ける。


「そんなに僕が気になりなすか?」


「気になってないわよ!ふんどしに興味があっただけよ!」


「「「……………」」」


 しまった! 本音が出てしまったわ!


 3人に沈黙が広がる。その後、最初に口を開いた強者はノリトさんだった。


「そんなに興味があるのでしたら、僕の……見ますか?」


 もう何も言うまい。魂が口から完全に出た私は、遠い目で外を見る。洗濯物が気持ちよさそうに揺れているところが、再び、目に入る。その横で、綾君がふんどしをすれば……という不穏な言葉は聞こえてないことにしよう。


 その数日後から一時期の間に、洗濯物からボクサーパンツが消え、干してあるふんどしの数が増えたことなんて、家事を一切しない私は知らなかった。


 読んで下さった方、ありがとうございます。

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