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従者クロードの傷心旅行  作者: きさきなのは


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1/4

1.結婚したらポイですかそうですか



想いを密かに寄せていたお嬢様が晴れて想い人と結婚した。


一度は破局したマリエール様とその伴侶となったロイド様。

俺の元雇い主の執着が引き起こしたゴタゴタのせいで、二人の仲が引き裂かれてしまったことは、とても許されることではない。


また幸せそうなマリエール様が見られて嬉しいと思う一方で



「ハネムーン旅行に行ってきますわ!」



――キツイ。正直キツイ。目をキラキラさせないでくれ。



「そこで、クロードに暇を出すことにしましたわ!今まで働きづめで疲れたでしょうし、ゆっくり休んでくださいまし」



それは話が違う。目の前でイチャイチャされるのもキツイが、目の届かない場所にいるのは嫌だ。



「いやです。俺も行きます。護衛もつけずに行くつもりですか」



「ロイド様の従者がついてきてくださるわ。それに...嫉妬しちゃうんですって。」



ポッと顔を赤らめるシャルム。



「はああ?」



「じ、じゃあこちらも傷心旅行に行ってきますよ!」



と意地になる。



「あーあ。こーんなに尽くしてきたのに結婚したら従者はすぐポイですか。嫌になっちゃいますねえ。どこにいこっかなー」



「もう。クロード!からかわないで!」



冗談めかして「傷心旅行」などと名前をつけたものの、内心は、ちゃんとうじうじしていた。

余裕のない自分がダサくて、恥ずかしくて、それでもって相手にされていないなんてみじめすぎる。



「ごほん!あなたが何を言ったって出立は1週間後って決まっているんですの!それまでにきちんとお休みの支度をしておくこと!..いいですわね!」



……どうやら、俺が反対するのは最初から織り込み済みだったらしい。


渋々、頷く。

筆頭執事だぞ。

置いていくって、どういう判断だよ。

内心毒づきながら、諸々の仕事を引継ぎを行い、これからの休みに想いを馳せる。



ーそして気づいたのは、生活の中心にお嬢様が居すぎて、他に自分が何をしたいのか分からないということだった。



「...やることも無いし、とりあえず実家に帰るか」



ウキウキで旅行用の洋服を取り寄せるように申しつけるシャルムとは裏腹に、気が乗らない様子のクロード。

王都から馬車で1時間という近さであるにも関わらず、長らく帰省していなかったのには理由があった。



「はあ...曇り空ですね」



屋敷の前で、馬車を降りる。

マリエール様から借りた御者にチップを渡すと、彼は満面の笑みで帰っていった。


門構えはシックな黒塗りで、外から見てもそこそこ大きい。庭はこざっぱりと手入れされており、甘くツンとした金木犀の香りが鼻をさす。

黒く重厚なドアの前で息を整える。



……覚悟を決めた、その瞬間。



「クッロードちゅゎ〜〜ん!おかえりなさいん〜〜〜〜まっ!!!」


沈黙は、派手に破られた。

勢いよく開いた扉の向こう。

そこにあったのは、

ブリブリの、コッテコテのピンクで飾られた空間と――

女装した父親。



「うっ...」


「ちょおっと元気ないじゃなあい!痩せた?ご飯食べてるの?心配よーーーーーん!」


胸の前で可愛く手を作り、ものすごい勢いで下から覗き込もうとしてくる。

この父親には強く出られない。本当はいい歳してるんだから勘弁してよと言いたいところだが、外では厳格ないい父親だし、夫婦仲も良好なのだ。




「やめてあげなさいよ。帰ってきたばっかりで疲れてるでしょ」



今だけは呼ばせてくれ。




「お姉さま...!!!」



階段を降りてきたのは、メロル。

ショートカットの青い髪をなびかせた、凛々しい姿。

……だったのだが。



その両腕には、

しなだれかかった可愛らしい女性たち。




「……………………」


「クソが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 この家には、どいつもこいつも

 まともな奴がいないのか!!!!」




「あらあらまあまあ、クーちゃんおかえりなさい」



ぱたぱたと足音。

奥から顔を出した母が、にこやかに微笑む。



「かあさん!!!二人には内緒で帰ってくるって言っただろう...」



「だってえ――」



その先を聞く気力は、もう残っていなかった。



――ああ。傷心旅行。



これは、思っていた以上に

前途多難らしい。



未練たらたらの方を読んでいただけると設定が分かりやすいですが、一応見なくても読めるようにしてあります...!何卒!

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