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とある銀河の星間戦争記(仮)  作者: ぼたもち
【序章】捨てゴマの初陣

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03話:前線へ。第3艦隊着任

【前線基地にて】

 会議室には様々な階級の士官たちが並んでいた。ただ、目立つのはヒロトと同じくらいの年齢の若い少尉たち。みんな顔には少しの緊張を浮かべている。


 最前列に座ったのは、老齢将校――歴戦の風格を漂わせる、老指揮官。ヒロトたちに向かって、ゆっくりと話し始める。


「諸君、即成学校での訓練、そしてここ、ユーリシア星系外縁部までの長い航海――ご苦労だった。しばらくはこのアステロイドベルト帯の我が基地で、休養を取って欲しいところだが、まあ、そうもいかん状況でな」


 ヒロトはその言葉を聞きながら、少しだけ振り返った。

 即校での訓練の日々、そしてその後の新造艦での航海――思い返せば、まるであっという間だった。


 演習に次ぐ演習の日々。

「即校では、艦隊運用の演習を繰り返した。知識はすぐに頭に詰め込まれたけれど、それをどう使うかが肝心なんだよな」と、ヒロトは自分に言い聞かせるように心の中で思った。


 あっという間に60日が過ぎて、即校を卒業。すぐに配属された宇宙艦隊司令部から「新造艦に乗れ」という指示が来て、何もかも急ぎ足で進んだ。


 艦内で過ごした日々。

 通常、宇宙戦艦ならワープで一瞬なんだけど、敵が星系外縁部にまで来てて妨害をしているので、もうワープできない。結局、長い航海……90日ほどもかかった。

 最初は「暇だろう」と思っていたけど、艦内で100人もの人たちと過ごすとなると、毎日のように揉め事が起きて、指揮官であるヒロトが毎回仲裁に入る羽目に。まぁ、思っていた以上に大変だった。


 そして、今ここだ。

 ここまで来てしまった。

 ――最前線。


「ん?ヒロト少尉?どうした?情報環が故障でもしてるのかね?」


 老指揮官の声にハッとして、ヒロトは慌てて周囲を見渡す。

 皆、すでに情報環を使って何かを確認しているようだ。


「ハッ!…いえ、大丈夫です、失礼しました!」

 ヒロトは顔を赤くして慌てて映像を呼び出した。


「早く確認したまえ」と、老指揮官はやれやれといった顔で、ため息をついた。


 映像が表示されると、外縁部の3次元地図が現れ、その隣にエルナン大佐が映った。疲れきった顔をしているが、その目には鋭さがあった。


「第2艦隊主任参謀のエルナン大佐だ」と、老指揮官が紹介する。


「我々の艦隊は、このユーリシア星系外縁部で連邦艦隊と対峙している。艦隊の規模は我が軍は約1万5千隻、連邦は約2万隻」


 数の差に、空気が少し重くなる。


「だが、地の利は我が軍にある。ゲリラ戦で連邦艦隊を押さえ込み、戦況は膠着している。」


「そして、補給線に関しては、我が軍が有利だ。連邦の補給線はアルセウス星系から伸びており、長くなりすぎている。」


「それらの条件を活かして、敵を打破できれば我々の勝利だ。だが……」


 エルナン大佐の言葉に、ヒロトの眉間に皴がよる。

「だが」という言葉の後に続くのは、明らかに厳しい現実だった。


「だが……もし失敗すれば、当然、ここを突破されてしまう。そうなれば、王国にはもう防衛の手段がない」


 ヒロトの胸に重いものがのしかかる感覚があった。戦争――戦争がこんなに現実味を帯びて迫ってきている。


「したがって、我が軍は補給の有利を活かし、艦艇数が拮抗したところで勝負に出る予定だ。それまで、諸君にはアステロイド帯の突破を試みる敵艦隊を全力で阻止してほしい」


「以上だ」


 映像が切れると、士官たちは早々に会議室を後にして行った。

 残された若い少尉たちはしばらく黙ったままだった。


「お前、どう思う?」

 隣のトルステンがヒロトに声をかけてきた。


「どう思うって……要するに、できるだけ長く粘って、お国のために死んでこいってことかな?」

 ヒロトは苦笑いで答える。


「だよな。いきなり出撃だし、しかも俺たちと話もする気もねぇって感じ。まあ、即校だから、どうせ死ぬし?ってな」

 トルステンも肩をすくめる。


「いままでの先輩もこんなクソな感じだったんだろーな。で、俺たちゃどうすればいいと思う?」

 オイゲンも話に入ってきた。


 トルステンがニヤリと笑って言った。

「逃げるか?」

 と親指で会議室の出口を指さす。


「無理でしょ…それに逃げるなら即校のときでしょ?まあ逃げた人いたけどさ。結局皆つかまったみたいだけど」


 オイゲンはしゃがみ込み「それなあー!」と頭を抱える。


「まあ、即校に入った時点で、もうダメかなーって思ってたけどさ」


 トルステンが突然背筋を伸ばし、胸を張る。

「タキ中将だ!我が王国は負けない!それはひとえに偉大なるユーリシア陛下が統べ給うからだぁ!なんとかかんとかー!」


 頭を抱えていたオイゲンが、今度は腹を抱えて笑い出す。まったく、喜怒哀楽が激しい奴だ。


 タキ・トルステン中将(?)が、なおも演説を続けていると、足音が近づいてきた。


「……うわっ、委員長だ」

 委員長こと、マリアが険しい顔で近づいてきた。


「あなたたち!不謹慎でしょ!さっさと艦に戻って準備しなさいよ!会議は終わったのよ!」


 タキ・トルステン中将がピシッと敬礼し、オイゲンとヒロトもそれに続く。


「承知しました、元帥殿!さあ、ヒロト少尉、オイゲン少尉!勇躍果敢!準備に励もうぞ!」


「サー!イエッサー!」ヒロトとオイゲンが声を揃える。


 委員長の鋭い視線を背に、3人は会議室から退散した。

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