部活動見学後
「えっと見学に来てくれてありがとう、入部を前向きに検討してね」
「ダンジョンに入ったことは内緒な」
白髪の方の先輩がシーと口元に手をあてる。
扉を閉じると扉を隔てて、赤髪の少女の怒る声が聞こえる。
「これでまた予算削減されたらどうするんですか、星野先輩私は金のために入ったんですよ」
「その時は、ちゃぁんと他の部活から奪い取るから」
「問題ばっか起こしてるから歓迎会にも出られないし」
「一人捕まえられたから…」
やたら物騒な会話が聞こえる…
あの赤髪の先輩はネクタイの色から推測するに1個上の二年生だろう。当たり前だが、だいぶ怒っていた。ふと、言っていたことを思い出した。
(『星野先輩』って言ってたよな)
争乱の中をかき分けながらなんとか外に出る。あの後、二番目に気になっていた魔法生物部に行ってみたものの、
「どうだ、そっちにいるか!!」
「一匹いたぞ、マズい火を噴き出し…
絶叫と怒号を背になんとか部室からでる。どうやら危険な魔法生物が脱走したらしい。「脱走した!!」と誰かがいった瞬間部員の反応からよく脱走しているのが分かる。
(これなら探検部の方がマシだな。あの子に会えるとおもったのに)
(さて、次はどこに行くか)
ふと顔を上げると
見覚えのある紫の髪が見えた。
「ねぇ、どこにするか決めた?」
ニコりと微笑む。
「夢奈はどこにするの?」
「質問に質問で返しちゃだめだよ、えっとねやっぱり家庭部かな、料理好きだから」
どうりでなんだか甘い香りがする。どことなくホコリ臭い私とは正反対だ。
「後、もう一個いい?」
「いいよー」
「探検部に星野って人がいたけど、親戚?」
「違うよ、お兄ちゃん」
屈託のない笑顔でこちらを向く。兄妹にしては珍しく全く似てなかった。
(というか、先に教えてくれればいいのに)
「だって先に言ったら面白くないじゃん。それにお兄ちゃんに頼まれてたの、部員一人ぐらい紹介してほしいって」
心を読んだかのように、先回りされて少し驚いた。
「歓迎会できないし、元々部員も少ないから新入生獲得が大変なんだって」
「質問です。どうして歓迎会出来ないんですか?」
歓迎会、ようするに新入生に向けて様々な部活動が紹介される場だ。見ていたがいくつか足りない部活があった。最初は部員が少ないからかと思ったが、人数の多そうな魔法生物部も紹介されていない。
「いい質問ですね、簡単です何かやらかすとペナルティとして歓迎会で紹介されません。例えば魔法生物部は危険な魔法生物を脱走させすぎてここ数十年ずっと紹介されていません。歴史部は強引な勧誘で紹介されないし、戦闘部は喧嘩を売りすぎた」
「なんか物騒だな、とういうか詳しすぎない?」
「情報通なので」
私が思っているよりもずっと彼女は強かなのかもしれない。
「それで、探検部は?」
「誰かがダンジョンに行ったきり帰ってこないらしいよ」
(魔法生物部しかり危険な部活は嫌だな)
考え込んでいると。ずいっと顔を近づけられる。
「それで、どうするの部活?」
(圧があるところはそっくりだな)
最近欲しいものは文章力です。どこかのサンタさんプレゼントしてくれませんか。