部活動見学
「ごめんね、去年属性関連でいろいろあってさ。えっと僕は金子 護よろしくね。」
金髪の人改め、金子先輩が二度目の謝罪をする。
「せっかく、貴重な新入生が入ったと思ったら親が介入してきて、本当に大変だったんだよ。」
白髪の人が言う。
属性間の差別は年々減少してきているが、まだまだ根強い。特に神の家ではその傾向が大きい。
「とりあえず、部活の紹介をするね。えっと見ればわかると思うけどここが部室」
ぐるりと部室を見回す。やや古びたソファー大きなテーブル。漫画と難しそうな本がミチミチにつまっている。それとテレビが1つに扉が三つ。あと壁のすみにごちゃごちゃと物が積み重なっている。部室というより自室だ。
「こっちの扉がダンジョンへの入り口。別にここ以外からも行けるけど、だいたいここ。そっちの部屋は先輩が占領してる。」
そんなこと許されてるんだ…
「部活としてダンジョンを探検するのだけど、部活としてのすることとしては2つ。一つはダンジョンを探検して地図に書き込むこと。これはずっと前の部長がほぼ完成させているけど、魔力の影響で地下の方は不定期に変化するからそれを調査すること。2つ目はダンジョンの管理人、魔法生物部とか薬草研究部が定期的に生物や植物を採取するのを手伝ったり、こっちのほうが多いいかな」
探検部というよりダンジョン部のほうがあっているのでは、心の中の疑問はそっと押し込めた。
「あとは…そうだ部員は現状9人だよ、僕ら以外は用事があっていないけど。他に疑問とかある?」
「部活動は週何回ですか?」
大事な質問をする。
「雰囲気かな?」
よくわからない返答をもらう。
「今日まだ君しか来ていないんだよね〜」
ふと二人の目をみるとギラギラとした目でこちらを見つめている。まだ、この部活に決定するのは時期尚早すぎる。
「それでは、他の部活も見てみたいので」
そっと歩き、扉から出ようとするが。バタンと扉が閉められた。
「ダンジョン入って見たくない?」
白髪の先輩が言う。そういえばこの先輩の名をまだ聞いていない。
ダンジョンそれはいつから誰が使い始めたか分からない。細かい定義もないが、魔力の影響を強く受けたせいで魔物が跋扈する危険な地の一方、特殊な植物や素材が採取できる恵み地でもある。
ダンジョンへの立ち入りは魔法の仕様が許される12歳以下は入ることが禁止されている。だから、私が入ったのは初めてだ。
湿った空気に濃い魔力を感じる。不思議とピリリとした雰囲気が落ち着く。
「これ、誰かにバレたら怒られない?」
「大丈夫だよ、今まで散々やらかしてきただろう?」
「他に見学の子が来たら?」
「もう、茜達が来たから大丈夫」
スマホを見せて無理やり納得させているが金子先輩はまだ納得していないようだ。
「まぁ、もう入ったんだし。軽く見るだけだから」
不安げな表情の先輩を置いて歩いていく。
本当は入らないほうが良いのだろうが、好奇心に負けた私はその背中についていく。
こうして私のダンジョン見学が始まった。
小ネタメモ:トリウィア魔法学園では男女共にネクタイであり、学年によって色が変わる。
六年生から順に黒紫緑青オレンジ黄である。
特殊な素材で作っているので、毎年かってに色が変わる。