4回転目
「ねぇカンちゃん、帰り運転させて」
真七海達は納車日はスロットを休みにして千葉までドライブを楽しみ帰宅途中での出来事
「監督、地元までお腹持ちそうにないです」
「そうねぇ、チャクなんか良さげな店見つけたら止まる入っちゃおうか」
「はーい」
「監督、あれはホールじゃないですか」
「うわぁ、やっぱりいいわね地方感があって、あのネオン最高じゃない」
「少し打って行きましょうよ」
「アンタお腹空いてたんじゃないの?」
「スロット打ってる時、全然お腹空かないんですよね、なのでこの体型キープ出来てます」
「通りすぎちゃうよ 入る? 入らない?」
ドォッカ ッダン!
その一瞬車がバウンドし、桜坊はびっくりしてブレーキを踏んだ。
「チャク完全にいま何かに乗り上げなかった?」
後部座席にいる鈴はバックガラス越しに後ろを確かめるが東京と違い街灯の少なさと悪視力で上手く見る事ができない、助手席の真七海はバウンドの衝撃でなぜか鼻血を垂らしてティッシュを捜索している。
「うん、ちょっと見てくる」
10秒ほどで運転席に戻ってきた、助手席に居た真七海は過去に見たことがない桜坊の無表情に言葉を失っていた。
「大丈夫だった?」
鈴が声をかける。
「うん、全然大丈夫でも関係ないと思うけど女の人が倒れてた」
「えぇーヤバいじゃないの!ちょっと降りるわよ!」
「うわぁチャク人殺した!絶好だ!私刑だ!」
「やめなさい、アンタこんな時に」
「出発しまーす」
「コラっ待て、止まれ!全員降りるよ」
それから15分後の出来事、とあるファミレスにて、二対二で対面式となるテーブル席の二人掛けソファに狭苦しく三人で座り、靴を脱ぎ正座をしている。
出された水に口をつけず、ただひたすらに対面に座りメニュー表を吟味している一人の女性を見つめていた。
誰がどう見ても様子がおかしい四人グループの姿がそこにはあった。