第84話 マス部屋の攻略法
単純で迷いやすい階層
青の勇者様に相談していると気付いたことがあります。
ランクSはあのゲームのように謎解きがないのです。謎解きが無い=面倒なことがないって訳で気軽に攻略出来ます。
あの意地悪な罠もあの面倒なアイテムを集めるとか同じ所を何度繰り返して行く必要もないのです。
クラスは忍者にしてモンスターや人の気配などを探りながら正しい経路を進めるはずです。
扉を開けて進んで行くと本当にリアルで感じる「ダンジョンファンタジア」そのものです。
確か、マス部屋と呼ばれるダンジョンの種類がありました。三マスx三マスの部屋や四マスx四マスの部屋などのような部屋ばかりで構成されたダンジョンです。
部屋に入ると真ん中に柱があったり、十字路があったりと見た目で惑わされやすいですが、マップを書くと三マスx三マスの部屋や四マスx四マスの部屋ばかりが繋がっているので攻略しやすいです。
このランクSの全ての階層がマス部屋とは限らないですが、一階層はマス部屋であることは間違いないと思います。
マス部屋の攻略は地図を書くことです。同じ規格の部屋ばかりなので何処の部屋にいるのかを確認しながら進まないと迷ってしまいます。
入り口があった場所の反対側ぐらいに下への階段があるはずです。真っ直ぐ進んで行って、進めなくなると右側に曲がって真っ直ぐに進んで行くと良いはずです。
この方法がセオリー通りの攻略で、フェイントに中央に下への階段があるパターンもあるので注意しないといけない所です。
マップを書きながら現在地を確認しながら、反対側にあると思われる下への階段を目指します。これが私が取るべき最善の方法と思います。
剣神ジョア様が言ったように他の冒険者の痕跡を探りながら進むってのもありだと思います。痕跡が無い=痕跡が消えている可能性も考えるとマップ作りは必要と思います。
先行している冒険者さんは、最初の入り口のあった部屋から真っ直ぐに進んで行っているようです。今の所は痕跡は消えていないようで痕跡を追跡しながら進んでいます。
最初の部屋から四部屋(十二マス)進んだ所で真っ直ぐには行けなくなります。ここから左へ進路を変更して真っ直ぐに進んで行きます。
三部屋(九マス)ぐらい進むと下への階段がある部屋に到着しました。一階層は五部屋x五部屋(十五マスx十五マス)の広さでした。
疲れてもいないので、このまま階段を降りて二階層へ進みます。二階層もマス部屋でした。
一階層と同じ手順で進んで行きます。二階層では四部屋(十二マス)進んで左に曲がって四部屋(十二マス)進むと下への階段がありました。
三階層への階段を見つけた訳ですが、ここまで来てもモンスターを一体も見かけていません。
どうしてか分からないですが、一階層では剣神ジョア様が最初の十字路のあった部屋の左右のどちらへ行ってもモンスターと戦闘になると言われていたのでモンスターがいないダンジョンでもなさそうです。
先行している冒険者さんがモンスターが出て来ないルートを見つけていて、そのルートを私がそのまま辿っているか、もしくは数時間前に誰かがモンスターを倒してしまっていて再出現していないだけかもしれません。
さすがに、数日前からモンスターが不在のままって言うのもおかしいですしね。
三階層、四階層、五階層もマス部屋だったので、このランクSの上層はマス部屋を攻略していくダンジョンである可能性が高まりました。
中層以降はどうか分からないですが、このまま進んでも似たような進み方になるでしょうしね。
今の所は先行している冒険者さんの痕跡の追跡が出来ますし外周を回っているだけなので、これが正しいとは言えませんが、もし中層以降もマス部屋攻略となるなら、全体の隅々まで下への階段を探す攻略法になりそうです。
タイチ:
カスミ。
そろそろ、食事や休憩にした方が良い時間だ。
三マスx三マスの部屋の攻略と言ってもダンジョンの端沿いに進んでいるんだから、結構な距離を歩いているはずだ。
一階層だけが短い距離だったが、二階層からは六十メートル(十五マスx十五マス)で進んでいるから疲れてもおかしくはないはず。
気分転換も兼ねて一息ついた方が良い。
カスミ:
結構な時間が経過していますか?
時間感覚がないので、どれぐらいの時間を使っているのか分からないです。
タイチ:
一階層を三十分ぐらいで進んでいるペースだよ。
モンスターが出ていないので疲れは少なさそうだけど、これから戦闘になっても戦えるように準備は必要だよ。
ここは八階層だしね。
ランクSに入ってからは約四時間ぐらい経過しているよ。
十階層にはエリアボスが出て来るはずだから、八階層で休憩するか九階層で休憩するかはカスミ次第だけど、そろそろ休憩や食事が必要になって来る時間だと言うことを頭に入れておいて欲しいな。
カスミ:
エリアボスが近いってことですか。
ここが八階層なので、十階層のボス部屋まで後一時間ぐらいで行けそうなので、ボス部屋の前で今日は終わらせようと思います。
タイチ:
そうか。分かった。
九階層から降りて十階層を進んで行きます。
先行してる冒険者さんの痕跡が十階層では異なっていました。
階段のある部屋から二部屋(六マス)進むと左へ曲がった痕跡があります。
痕跡通りに左へ曲がるとそこは三マスx三マスの部屋で中には冒険者の方が数人いました。
男性冒険者:
おっ? 誰か来たぞ。
カスミ:
あのう。
カスミールと申します。
ここは十階層のエリアボスの前の安全地帯ですか?
男性冒険者:
ああ。そうだ。
俺たちは、Sランク冒険者パーティー【黄金の剣】のサポートメンバーだ。
カスミールちゃんは一人でここまで来たのかい?
カスミ:
はい。そうです。
ここで休憩しても大丈夫ですか?
男性冒険者:
構わないぜ。
この先はエリアボスの間だ。
しっかり休んでから挑戦すると良いぞ。
カスミ:
ありがとうございます。
では、この辺で休ませて貰いますね。
あのう。
どうしてエリアボスの前にいるのですか?
ボスって倒すと次の冒険者が入ると新たなボスが出て来るですよね?
あなたたちがボスを倒しても次に来た冒険者はボスを倒す必要があるのではないですか?
男性冒険者:
俺たちがボスを倒す担当なんだ。
ボスを倒してから、部屋の中からボス部屋への扉を開けるとボス不在の時間が作れるんだ。
ボス部屋の中に人がいると次のボスは出て来ないの利用して仲間の冒険者が通過するってことさ。
俺たちも交代要員が来れば地上に戻るけどな。
カスミ:
そうなんですね。
答えられるなら教えて下さい。
ここのランクSはずっとこんな感じで攻略が必要なのですか?
最深階層にいる冒険者の方は何階ですか?
男性冒険者:
俺たちも詳しくは知らないが、こんな感じの攻略が下まで続くそうだぜ。
最深にいる【黄金の剣】は・・・
女性冒険者:
八十一階層にいるわ。
カスミ:
ありがとうございます。
途中で割り込んで来た女性冒険者さんの態度から、何だか私には情報を与えたくないって感じの割り込み具合でした。
おそらくは、八十一階層でうろうろしていて、最深階層はもう少し下の階層なのでしょうね。
知られたくない情報を迂闊に話さないようにしたって感じでしたからね。
今日は食事して明日からのエリアボス戦に向けて休もうと思う今日このごろです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




