第83話 ランクSの洗礼
マッピングが大変なあのゲームです。
ランクSは、これまでのダンジョンとは全く異なった作りでした。
エルフル遺跡群にあるランクSの入り口から入った最初の場所は縦横六メートル四方の小部屋でした。
この部屋は安全地帯のようでモンスターが部屋の中には入って来れないように頑丈な扉が設置されています。
どうして部屋の広さが分かるって?
頑丈な扉は私が入って来た入り口の正面にあるので、この部屋が三マスx三マスの正方形の部屋であることが周囲の様子から分かります。
ダンジョンの壁は石で出来た壁ですが、その石の大きさは整っていて正方形の石が三つ分(つまり三マス分)先にはダンジョンの壁があります。
左右も同じ三マス分あります。一マスの長さが約二メートルぐらいあるので縦横が六メートル四方の部屋と分かります。天井までの高さは分かりませんでした。
この部屋の感じからすると元の世界で有名だった某ダンジョンで有名なゲームのダンジョンが利用された印象を受けます。
マッピングしないと迷ってしまうというあのゲームです。
タイチ:
カスミはあのゲームは得意なのか?
僕には無理だったよ。
マッピングが面倒だし、ゲーム画面と作った地図があっても僕はクリアを諦めたゲームだよ。
カスミ:
時間はかかりますが、きちんとマッピングさえしていけばクリア出来ないゲームではありませんでしたよ。
ただ、慣れるまでが大変なゲームでしたし、中ボス部屋が〇〇〇〇でしたしね。
便利機能のオートマッピング機能が実装されてからも更に進化し続けていますが、最新作ではリアルが追及されてオートマッピングがないとクリアも出来ないぐらい難しいゲームになりましたよ。
タイチ:
オートマッピングなんて便利な機能が実装されたんだ。
たぶん、その頃は仕事が忙しくてゲームなんてしている時間が無かったんだろうな。
カスミ:
オリジナル版は百年ぐらい昔に作られたゲームだそうなので、オートマッピングが搭載されたオリジナル版は凄く簡単なゲームと化しました。
オリジナル版で遊ぶならオートマッピングが無い方が面白かったです。
このゲームは、ゲームシナリオとダンジョンマップなどの仕様を変えるだけで基本は同じですからね。
ファンタジー風なら「ダンジョンファンタジア」というゲームが有名で、今の私のように剣と魔法を使ってダンジョンを攻略するゲームです。
現代風なら「ダンジョンサバイバー」という有名なゲームもあります。
こちらは、銃火器をメイン武器としてダンジョンを攻略するゲームです。
タイチ:
カスミの時代と僕の時代との違いが・・・分かったような気がするよ(><)
神はランクSにそのゲームを取り入れたのかもしれないね。
難しいんだろ? ゲームをクリアするのは?
カスミ:
そうですね。
クリア出来ないゲームではないですが、面倒なだけのゲームだったとしか記憶がありません。
ー閑話休題ー
頑丈な扉の前に立ち扉を開けます。
遠くからギャオーという叫び声が聞こえたりする部分は他のダンジョンと変わらないようです。
一階層は脅威度Dのモンスターが出て来ます。脅威度Dのモンスターはオーク、ゴブリンリーダーやゴブリンメイジなどのゴブリン亜種が該当します。
ゴブリンリーダーは脅威度D+ですが脅威度Dに分類されるので、おそらくはゴブリンリーダーを先頭にしたゴブリンメイジ、ホブゴブリンなどが出て来るんじゃないかと。
私はまだ見たことはありませんが、アンデッド系のモンスターの中にも確か脅威度Dが含まれていたと思います。スケルトンウォーリアーが確か脅威度Dだったと思います。
スケルトンに武器を持たせただけなのに脅威度が上がったり、モンスターの名前が変わったりしたので印象に残っています。
扉を開けると目の前の通路は一マスの幅です。一マス幅(約二メートル)の通路が続いているように見えます。
周囲は灯が無くても見えるのに遠くは見えないので通路が何処まで続いているかは分かりませんが、ニマス(四メートル)ぐらい先までしかはっきり見えません。三マス目(六メートル)になると暗くて良く見えません。
ランクEと比べてしまいますが、ランクEがどれだけ簡単だったのかがランクSと比べた今だから分かります。
真っ直ぐ進んで部屋に入るとモンスターが出るか出ないかぐらいの簡単な道筋でした。
それがランクSになると何処へ行けば分からなくなるような分岐がたくさんあります。
こんな難しそうなダンジョンを剣神ジョア様はお一人で攻略されたそうなのでアドバイスを聞こうと思いました。
カスミ:
剣神ジョア様。
ランクSを攻略された時は大変だったのではありませんか?
剣神ジョア:
ああ。ランクSを攻略した時か。
あの時は強敵を求めて彷徨ってただけだから、どうやって攻略したのかなんて覚えていない。
気が付けばエリアボスと戦い、気が付けば階層ボスと戦っていたからな。
カスミ:
・・・。
聖女アンズ:
やっぱり、脳筋でしたか。
剣神ジョア様は当てにならないので、自分を信じて進んで行くしかありません。ニマス進んだ所に選択を迷わせるように十字路の交差点があります。
前方と左方と右方にそれぞれ一マス進んだ所に扉があります。
あのゲームと同じなら扉を開けるとモンスターが襲って来る可能性があるはずです。
扉を開けないという選択はないので問題はどの扉を開けるかです。
タイチ:
部屋で区切られたタイプのダンジョンか。
これは面倒だな。
通路が続くようなダンジョンとか先が見えるような洞窟だったら、選択も簡単なんだけど扉で区切られるとどれを選べば良いのかだけで迷うよな。
カスミ:
まだ、一階層なので適当に進んでも大丈夫ではないかと。
二階層になれば一階層と違ったダンジョンになるかもしれませんし・・・。
タイチ:
カスミは忍者のクラスを持ってたんじゃない?
確か、ダンジョン探索とかが得意なクラスだったような気がするよ。
剣神ジョア:
一階層ぐらいでそんな慎重になる必要はないと思うぜ。
出て来るモンスターも脅威度Dな訳だし、罠を察知して避けていけば余裕で行けると思うぞ。
それに前方の扉と左の扉と右の扉を注意深く見てみろよ。
普段からランクS攻略中のサポート役の冒険者が通ってんだから、前方の扉の方が良く使われているってここからでも分かるだろ?
まずは、前進ってことだな。
扉を開けてモンスターと戦いたいんだったら、左右のどちらかの扉を開けるとモンスターがいると思うぞ。
私の勘がモンスターがいると言ってるからな。
青の勇者様と剣神ジョア様に相談しつつ前に進んで行くしかなさそうです。
これは面倒なダンジョンだなと思う今日このごろです。
ー補足ー
マッピングが大変なあのゲームとVRが合体したゲームです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




