第71話 「青の勇者パーティーを慕う会」 誕生秘話
青の勇者パーティーを慕う会の誕生の理由
勇者関連の記録というか記憶は直ぐに薄れていきます。
つい先日、私は緑の勇者様に出会ったというのに、緑の勇者様が黒髪の女性であったことしか覚えていませんでした。
では、私こと赤の勇者のことはどうなのだろうと心配になります。
父さんや母さんやジンくんやライムくんやレイラちゃんなどヤマギワ村の人々は私のことを覚えているのか心配になります。さすが、父さんや母さんは覚えていないなんてあり得ないと考えていたいです。
勇者の記録や記録は、正確には覚えていられないです。これは、神が先代からの助力(参考意見や攻略法など)を望まないからだそうです。
青の勇者様によると、自力や独自で達成することが勇者への試練だとか。違う世界で勇者にアドバイスなどを与え過ぎたことで(神にとって)面白くなかったからが理由だそうです。
では、今回のような青の勇者の力と赤の勇者の力が一つになるようなことは大丈夫なのか? って疑問が生じて来ます。
おそらくは、今までにないことだから問題ないだろうと青の勇者様は考えているそうです。
神は変化を望んではいるが、簡単に試練を攻略することも嫌っているような素振だったと。
情報交換やアドバイスは簡単に試練を攻略する糸口になってしまって失敗した(面白くなかった?)という経験から、勇者独自で力をつけて試練を攻略するって方針に心変わりしてしまったようです。
神を楽しませるには、あり得ないことを起こすこと。そうすることで干渉して来ないのではないかと。
だから、青の勇者と赤の勇者(私)との協力関係や緑の勇者の存在なんてレアケースで今度こそ世界の脅威を倒そうとする意志に干渉しないのではないかと。
仮に、私や青の勇者様の存在が無かったとすると緑の勇者様はかなり苦戦すると予想しているそうです。
青の勇者様の頃の賢者、聖女、ソードマスター、クラフトマスターというような方々の協力が無いから、次回(ここでは緑の勇者)はヘタすると敗北なんてこともあり得るんじゃないかと思ったそうです。
クラスチェンジ条件が失われてしまうだろうという予想は正解でした。
スキル熟練度を特化して極めようとする者がいなかったのです。
ソードマスターのクラスは剣、大剣、刀、短剣、騎士剣のスキルが条件です。
ですが、得物を次々と変える武人っているでしょうか? より強いクラスへとクラスチェンジ出来ると分かっていればクラスチェンジを目指して色んな武器に手を出してスキルを覚えようとしますが、もし知らなかったら、そんなことはしないと思います。
私なら、剣と刀ってだけ扱い方が違うのに剣を極めて刀まで極めようとは思わないです。何故なら剣術のスキルを剣闘技のスキルまで熟練度を得るための戦闘回数の多さ。
その後の刀術のスキルを刀闘技のスキルにまで成長させるのにも熟練度が必要です。それを何度も繰り返して初めてソードマスターに就けるようになります。
熟練度を上げるために武器である剣を刀に持ち替える。冒険者がパーティーを組んでいたなら、パーティーの殲滅力が落ちますからね。
他のパーティーメンバーは嫌がると思います。だって、今まで使ったことのない武器を持って「今日から俺は短剣で戦っていく」なんて言われた日には呆れてしまいますからね。
スキルの熟練度稼ぎには長い年月が必要になると人々が理解しました。
そのことでスキルを極めるという考えを持つ人が減ります。唯一、熟練度を稼ぎ続けていたのはエルフの賢者の一族でした。
賢者の一族は賢者アレク様の意志の元で熟練度稼ぎを怠らないようにと言われていて、それを守っているから熟練度稼ぎを行っていたようです。
それでもプチジェルスライムで熟練度稼ぎする方法を発見するまでの熟練度稼ぎは大変だったはずです。
ランクSでプチジェルスライムを発見した冒険者パーティーから一撃でとどめを刺さないと分裂するという珍しいスライムがいるという僅かな情報でしたが、熟練度稼ぎには丁度良かったのです。
しかし、いざプチジェルスライムを発見しようとしても中々見つかりません。それもそのはずです。
プチジェルスライムはパチンコ玉ぐらいの小さな目立たないスライムなのです。ダンジョンの中を移動して小さなパチンコ玉を見つけるなんて普通なら出来る訳がないです。
最初にプチジェルスライムを発見した冒険者たちは偶然見つけたに過ぎず、再度見つけようと思っても簡単には見つからないようなスライムだったのです。
その上にプチジェルスライムは倒してしまわない限り分裂し続けます。分裂させてしまっても経験値が入らないという問題もありました。
一体のプチジェルスライムを倒しても、十体に分裂せて倒しても経験値は変わらなかったのです。
ランクSを探索するような冒険者が経験値が手に入らないようなモンスターを意図的に分裂させてまで熟練度稼ぎは行わないのです。
何故ならそこはランクSの深層や下層など脅威度の高いモンスターが出る場所だからです。
いくらパチンコ玉ぐらいの小さなスライムであっても危険な場所で故意にモンスターを増やす行為は自滅するかもしれないですからね。
ランクSに挑戦する冒険者にプチジェルスライムの捕獲を依頼し確保することに努めます。
最初の頃は分裂させることで熟練度を稼ぐことが出来るようになったことに喜びますが、スライムの生態はまだまだ不明な部分が多く、今のように安定して熟練度を稼ぐことは出来ませんでした。
熟練度上げに用意していたプチジェルスライムが死亡するという現象に手を焼いていたのです。
ダンジョンから持ち帰ったスライムの食性や生態が不明なので、脅威度の低いモンスターの魔石を与えると言った方法で生存が繁殖が可能とまでは反映していませんでした。
ランクSの下層や深層という魔力が濃いエリアで生存出来ているのに、魔力が少ない環境を好むなんて最初は思い付くはずもありませんからね。
色々と実験や研究を重ねて行く内に判明した情報なのです。
熟練度を上げる方法が確立した後は、青の勇者様を慕う会を立ち上げ、賢者アレク様の指示に従い、世界の脅威が復活するとされる未来に対抗すべき熟練度上げに励みます。
しかし、人の寿命は短いので千年も生き続ける訳もなく、結局はエルフだけで熟練度稼ぎで高レベルと上位クラスを維持出来ていたに過ぎなかったのです。
賢者アレク様、剣神ジョア様、魔王ガリア様、青の勇者タイチ様を慕う人々は寿命が短くても後世に情報を残せればと頑張って来ましたが、聖女アンズ様を慕う会の者だけが独自に聖女を作り上げようと分離してしまったとか。
独自に聖女のクラスを作り上げようとした試みの結果が、補助魔法のスキルを持つ少女の独占や人身売買にまで発展してしまったという訳です。
結局は司祭のクラスまでしか上位クラスを維持することしか出来なかったそうですが・・・。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




