第60話 日帰りなのね
熟練度MAXです
治療する行為は一日中って訳ではありません。
武闘大会は予選と言っても夜遅くまで行われないので、ある程度の時間になると治療が必要になる人がいなくなって来ます。
武闘大会の関係で宿屋の手配も出来そうにない状況であるらしく、私たちは日帰りで賢者アレク様の屋敷と間を往復することになるそうです。
屋敷に帰って来ると、ディーネさんから忍者服の下に普通の服を着ることは出来ないのか? と尋ねられました。
これから行うことは「なりきり衣装 忍者服」が壊れる可能性があるので、途中で壊れてしまうと困るからだそうです。
更衣室に案内して貰って着替えます。
忍者スーツは肌にピッタリフィットするので余裕のある服装では忍者スーツを着るのに都合が悪いです。
なので、私が選んだのはショートパンツや半袖のTシャツのような感じの引っかかりの少な目の服装にしました。
この服の方が忍者スーツを上から着るのには不便ではないからです。
元の部屋に戻る一メートルぐらいの高さのタルが十個ぐらい用意されていました。このタルの中には数は少ないですが、プチジェルスライムが入っているようです。
タルに入っているスライムをフェザーソードでかき混ぜるだけです。
タルから溢れないようにするぐらいでタル一杯になるようにかき混ぜます。
フェザーソードでスライムに与えるダメージは1なので、次々にスライムを増殖していきます。
スライムが増殖すると熟練度が稼げるからこんな方法なのだとか。
スキルの熟練度は、レベルが高くなったりすると稼げなくなります。
レベル、スキル熟練度、攻撃対象のレベルや脅威度など次第では熟練度が稼げないってことです。
Sランク冒険者が新人のFランク冒険者に稽古するだけでSランク冒険者の熟練度が上がるなんてことにはなりません。
脅威度Fのスライムをレベルの高い者が倒しても熟練度は稼げないのです。
多少レベルが高くても、スキルレベルが低かったりすると熟練度を稼げます。
短剣でタルの中をかき混ぜていると忍者スーツが壊れました。
これで忍者のクラスの条件が解放されたのでしょうね。後で確認してみます。
短剣、剣、槍、盾(小型の盾)、双剣(両手に剣を二本持って)、斧、杖、刀、素手、槌などそれぞれの小型の武器を使ってタルの中をかき混ぜて熟練度を上げます。
これはプチジェルスライムだから出来る熟練度上げで、ある意味裏技的な行為だとかと。
こんな方法で熟練度を上げてしまって良いのか? と尋ねるとOKなのだとか。
その代わり武闘大会のような公式戦に出場出来ないのでランクSを探索する冒険者を目指すとか勇者パーティーとして参加するなど最大戦力としての活躍の場が与えられるそうです。
あらゆるスキルを持つ状態が、統一された条件からのスタートという意味として考えると上の冒険者を目指すなら、ここまで初めてスタートラインに立った人と同じなのだとか。
こんなことを容認しているのは賢者の一族のような「勇者の一族」「剣神の一族」「魔王の一族」と呼ばれる青の勇者パーティーを慕う会だからこそ裏技のように使っているようです。
てか、プチジェルスライムもランクSでしか見つけることが出来ない珍しいモンスターなので、この方法を実際に行えるのは極限られた人たちしかいないからです。
もし、賢者アレク様が私を発見しなかったら??
私には青の勇者パーティーを慕う会に参加することさえも叶わなかったのだそうです。
限界突破した冒険者をスカウトして初めて裏技が使われるそうです。
十代で初めて就いたクラスからこんな方法は行われません。
色んな意味で私は参加出来る条件さえも充たしていなかったのです。
ディーネ:
予定より早くスライムが集りました。
このままの勢いで賢者のクラスの解放しますか?
それとも、他のクラスの解放を目指しますか?
カスミ:
私がクラスチェンジ出来る殆どが上位クラスです。
賢者のクラスと聖女のクラスと弓使いのクラスぐらいしか残っていません。
ここで出来るのは賢者のクラスだけになりそうです。
ディーネ:
弓の問題は解決出来そうですね。
弓使いのクラスと賢者のクラスは何とか出来そうですが、聖女はどうしても回復魔法を使わないと熟練度を稼げないですし、補助魔法は効果の重ね掛けが問題になるので厳しいですね。
剣、槍、斧、盾、槌、双剣、短剣、杖、刀、格闘、鎌、弓がカスミ様の扱える武器ですね。
誰か弓と投擲用の訓練機を用意して、それと魔法の熟練度三千ぐらいも用意して。
ディーネさんがそういうと弓用の訓練機と投擲用の訓練機と呼ばれる魔道具が用意されていきます。
訓練機は太さ三十ぐらいの筒で長さは約五メートルぐらいあります。
入り口から矢を打ち込んでいくのだなと思いますが、筒の中へとせっせとプチジェルスライムを入れていっています。
次に昨日の最後に使った魔法:神炎の矢を使う準備をしています。
魔法の熟練度三千ってのは、おそらくですが分裂させたプチジェルスライムばかりを詰め込んだ経験値にならないタルのことだと思われます。
そのスライムを詰め込んだ量(得られる熟練度)が三千の物を用意するってことなのでしょうね。これを一撃で倒せば三千もの熟練度が稼げるって寸法です。
弓の熟練度は、先程の筒状の入り口の部分に立って矢を打ち出すだけです。
スキルレベルが低くて抵抗値が高い筒の中を突き抜けるような弓と矢が用意されていました。
投擲の熟練度も弓と同じ方法で行われ、弓と投擲の熟練度も最大までアップしたことになります。
次に使う場面が見つからなかった「魔法剣」のスキルですが、剣に魔力を込めると魔法剣となるのでタルの中のプチジェルスライムをかき混ぜるだけで熟練度がアップします。
最後は、神炎の矢を使って魔法スキルの熟練度を最大まで上げてしまいます。
これで残りは聖女の補助魔法と状態異常回復魔法を地道に頑張るしかなさそうです。
継続した毒状態のモンスターに回復魔法を何度も使うなんて場面があったとしても必要とする熟練度を稼ぎきるには無理があります。
聖女のクラスの熟練度上げをどうしようかと悩んでいると賢者の一族の一人が補助魔法を使うのはどうですか? なんて提案をして来ました。
いわゆる、プチジェルスライムを弱体化すれば熟練度を稼げるのではないかということです。
味方を強化するバフ系の補助魔法を反転させた魔法が、デバフ系と呼ばれる弱体化させる補助魔法。
その弱体化で熟練度を稼ごうという考えです。強化するバフ系でも熟練度を稼げそうですが、プチジェルスライムが強化されて倒せなくなっては問題なの弱体化のデバフ系を選んだ理由なのでしょう。
試してみる価値はありそうなのでデバフ系を使ってみます。
【速度減少】という補助魔法を使ってみます。
これは速度上昇というバフ系の補助魔法を反転させた対象の能力値「早さ」を弱体化させるデバフ系です。
この案は上手くいきました。
見た目ではスライムの活性が遅くなったのかまでは分からなかったですが、神の恩恵(ステータス)を確認するときちんと熟練度が上がっており、これで聖女のクラスも熟練度は上限まで成長させることが出来ました。
大剣と棍のクラスの熟練度上げも出来ました。
大剣は剣と同じ扱いのクラスと思っていました。
大きさが違うだけなので、まさかクラスに違いがあるとは思ってもいませんでした。
棍の方もただ木の棒が武器だとは知らなかったです。
武器入れとは思わないような所に乱雑に入れられた棍と大剣を見つけたので試しに熟練度上げをしてみるとクラス解放したのには驚きました。
意外な所にある物が新たなクラスを解放するとは思いませんでした。
これで熟練度稼ぎが終わると思うと一安心な今日このごろです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




