第44話 油断してた
急展開です
弱っちい魔法しか使えない理由も判明します。
カスミ:
お~い。私を何処に連れて行くのよ~。
あ~ん♡
ちょっとどこ触ってるよ!
今の私は大きな鳥と思われるモンスターに掴まれて何処かへ連れ去られている最中です。
どうしてこうなったのかというと昨夜の寝床は何処にしょうかと考えているとハンモックみたいな物を木と木の間で作って寝ると夜間でも活動しているモンスターに足蹴にされないだろうと思っていました。
ですが、気配遮断の効果が効かないこの大きな鳥のモンスターには、ピンク色の私の姿が目立って見えた訳です。
ピンク色したモンスター=エサと勘違いして私を連れ去ったのだと思われます。
身体を背中の方から鷲掴みにされているので手も動かせないし、魔法を使うこともスキルを使うことも出来ません。身動き出来ないと何も出来ないのです(><)
どれぐらい連れ去られたのでしょうか?
連れ去られたのは、おそらく朝方と思います。鳥は夜は見えないって聞くし朝方の日の出が遠くに見えたような気もします。
上空からの景色の流れる早さからも結構な速度で大きな鳥は飛んでいるようでした。
森や林に川や草原といった眼下に見える地面の様子はあっという間に次々と移り変わって行きます。
何度目かの大きな街を通り過ぎた辺りで、大き目の何処かの砦らしき建物が遠くに薄っすらと見えるようになりました。
この砦らしき建物の上空を通り過ぎようと大きな鳥は砦らしき建物に近づいて行っています。
私の目でもはっきりと砦と確認出来るぐらい接近していると突然何かの衝撃を受け、大きな鳥はその衝撃と音に驚いて私を手放し旋回してこの地を去って行きました。
たぶんですが、砦に大きな空飛ぶモンスターが攻めて来たと思い、魔法か大砲のような物で追い払ったんだと思います。
急な予想もしない音と攻撃? に驚いて大きな鳥は逃げ去ったってことでしょうね。
大きな鳥に掴まれていた私は急に手放され空から落ちて行きます。
起点を利かせてスキル:クラスチェンジを手早く使って聖女に就くと透かさず防御結界を張ります。
見えそうで見えない光の結界に囲まれているので、地面に直撃しても私にはダメージは受けないはずです。
結界が衝撃を吸収してくれるはずです。
私は森? 林? のような木がたくさん茂っている所に何とか無事に落ちることが出来ました。
木々へのダメージ? 被害は深刻なようですが・・・咄嗟の判断で聖女の結界で身を守ることが出来ましたが、聖女の力が無ければ地面に落ちる際に木々に当たって致命傷と骨折を負っているか地面に衝突して即死していたと思うと身の毛がよだちます。
カスミ:
ここは何処でしょうか?
結構、長い時間連れ去られてたから近くに知ってる町があれば良いのですが・・・この森から出て遠くに見えてた砦のあった場所を探すとしましょう。
何となくですが、あっちへ行けば砦があるような気がします。
正しい方角は分かりませんが、大量の何かが燃えた? 燃える匂いや血の匂いを風に乗って漂ってるぐらいは私にも気付けます。
比較的簡単に? 森を抜けることが出来ました。
てか、私が落ちた所は森に入って直ぐと言ってもおかしくはないぐらい浅い所に落ちたようです。
森から出るまでに出会った青色のゴブリンには驚きました。
私の知っている普段から良く見るゴブリンは緑色の小さな妖精や小人と言った感じのモンスターですが、この青色のゴブリンは緑色のゴブリンと色違いだけではなく、体格が気持ちしっかりしている小鬼と言った感じです。
鑑定で調べてみた結果ですが、青色のゴブリンは【ホブゴブリン】というモンスターです。
正確には、ゴブリン族ホブゴブリンと言うみたいで、緑色のゴブリンはゴブリン族ゴブリンと種族は同じだけど強さはホブゴブリンの方が強いらしい。
ゴブリンは脅威度Eのモンスターで集団になると脅威度D以上になると言われています。
ホブゴブリンは脅威度Dでこちらも集団になると脅威度C以上になるそうです。
この前の大集落は色んな脅威度のモンスターがいたので比較対象にならないとしても同じモンスターが十五~二十五体ぐらいの集まりになると脅威度が一段階アップするようです。
ゴブリンなら脅威度Dになってホブゴブリンなら脅威度Cと判断されるみたいです。
脅威度Dはオークと同じなので、苦戦することなく倒すことが出来ました。
まぁ、ホブゴブリンも一体なのでオークを簡単に倒せる私の敵ではありません。
魔石のみをポーチにサッと仕舞って森から出ました。
もちろん、ドロップアイテムはありませんでしたよ。
森を出ると遠目に煙が上がっている所が見えます。
もしかすると砦と思われる場所で火の手が上がっているのかもしれません。
忍者スーツのスキルを有効にして煙が上がっている方向へ進んで行きます。
途中でホブゴリンがいたので倒しておきます。モンスターが移動するには何だか様子がおかしいと感じました。
煙が立つ建物らしき物が見えて来たので、ポーチから外套を取り出し身に纏います。
もちろん、忍者スーツの頭巾も外しています。フード状なので被れば直ぐに装着出来ますが・・・。
砦の入り口ら付近で疲れてても役割を全うしている門番の方に声をかけます。
カスミ:
あのう。何かあったのですか?
男性門番:
ああ。ホブが砦に攻めて来たんだ。
リーダー各三体が率いるホブの集団だった。
約五十体ぐらいは居たんじゃないかな。
カスミ:
それ大丈夫だったんですか?
男性門番:
ああ。何とかなったな。
ホブが五十体クラス(脅威度C+)の集団にここの砦の連中も手を焼いて大怪我ってことさ。
最後のリーダー各を倒すと残ったホブは塵尻になって逃げてったからな。
カミス:
もう、戦いは終わったってことですね。
男性問題:
ああ。そうだ。お嬢ちゃんは冒険者かい?
もし、冒険者ならポーションか回復魔法を使えないかい?
砦の中で神官様たちが懸命に治療や回復に励んではいるが間に合いそうにないんだ。
カスミ:
初級の回復ぐらいなら使えますが、ポーションは私も欲しいぐらいなのでお譲り出来ません。
男性門番:
回復が使えるだけでも助かるよ。
砦の中に入ると中央にいるカールと言う名の男性に声をかけてくれ。
門番のゼフロから回復を依頼されたと言えば分かると思うからな。
カスミ:
カールさんに声をかけるんですね。
分かりました。ありがとうございます。
男性門番:
仲間を助けてくれよな。
カスミ:
出来る限りのことはしてみるつもりです。
そう言って私は砦の中へと移動しながらスキル:クラスチェンジを使い、いつものように透明なボードを呼び出し【回復魔法使い】の項目にタッチします。
砦の中央ぐらいに色々と指示を出している男性がいました。
おそらく、この人がカールという人物と思います。
カスミ:
あのう。カールさんですか?
門番のゼフロさんから皆さんの回復のお手伝いを依頼されました。
私のスキルは、回復魔法レベル1ですがお役に立てますか?
カール:
ああそうだ。俺がカールだ。
今は人手が足りないから、スキルレベル1でも助かるよ。
おい。このお嬢ちゃんを軽傷患者のいるテントへ案内しろ。
男性軍人:
はい。分かりました。
お嬢ちゃん。俺に着いて来てくれ。案内する。
カスミ:
分かりました。
カールさんに指示を出せれた軍人さんに軽傷患者がいるというテントに案内されます。
野戦病院で治療している場面は、まるで戦場の様だと聞きますが、このテントの中はまさにその通りでした。
案内してくれた軍人さんは白衣の女性に何やら話してます。
男性軍人:
このお嬢ちゃんは、冒険者で回復魔法レベル1だそうだ。
カールさんから頼まれたから良い感じに使ってくれ。
白衣女性:
助かるわ。
お嬢ちゃん。お名前は何と呼べば良いのかしら?
カスミ:
私はカスミールと言います。カスミと呼んでくれても構いません。
白衣女性:
そう。それならカスミと呼ばせて貰うわね。
先ずは、この患者の怪我に回復を使ってみて。
カスミ:
はい。
神よ。我が願いを叶え給え 【回復】
白衣女性:
少し回復力が足り無さそうね。
カスミは左腕の包帯の所に、さっきの回復を後二回と頭の包帯の所には四回使ってみて。
カスミ:
分かりました。
神よ。我が願いを叶え給え 【回復】
神よ。我が願いを叶え給え 【回復】
白衣女性:
これで左腕は大丈夫そうね。
まだ、頭の包帯の所にもよろしくね。
カスミ:
はい。
神よ。我が願いを叶え給え 【回復】
神よ。我が願いを叶え給え 【回復】
神よ。我が願いを叶え給え 【回復】
神よ。我が願いを叶え給え 【回復】
白衣女性:
カスミ。ありがとうね。
これで、この患者の怪我は良くなるわ。
こんな感じで、白衣を着た女性たちの指示された通りに回復を使っていきます。
ある部分に回復が二回、違う部分に四回など怪我の具合と回復具合を確認しながら的確に指示を出せるのは凄いと思いました。
結構な人数に回復魔法を使った影響かどうか分かりませんが、回復魔法を使う患部への回復の使用回数が心なしか少なって来ているようには感じました。
これは回復魔法レベルが上がったから回復具合が上がったんだと言われます。
回復魔法レベル5になるまで回復具合は向上していくそうで、レベル5になると中級回復を覚え、レベル5からも回復具合は向上していってレベル10になると上級回復を覚えるそうです。
魔法系のスキルは、雑に作業するように使うだけでスキルレベルは上がるそうで、魔法一つ一つに集中してスキルレベルを上げると魔法職なら複数の魔法を覚えることが出来るようになるそうです。
回復魔法は回復具合が向上するそうです。
私の使った回復を見て、これは覚える時に作業するように呪文の詠唱して覚えた回復魔法だなと思ったそうです。
それと同時に他の魔法スキルもまるで作業のような使い方をしているのではないかと聞かれ、そうだと答えるとこんなアドバイスを貰えました。
これからは一つ一つの呪文の詠唱に集中して魔法を使っていこうと思う今日このごろです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




