閑話 緑の勇者の誕生
新たな勇者の誕生。
本文とは関係ないので読み飛ばして貰っても構いません。
次から第三章です
私の名前は、森 欄です。
二十五歳のOLで社会人二年目です。
定時で仕事を終え帰宅途中に、踏み切りで電車が通り過ぎるのを待っていたときのことでした。
道行く人の悲鳴が聞こえて来るようになり、声が聞こえて来る方に振り向くと遠目にだけど刃物を持った男性が、その手に持った刃物を無闇に振るいながら、近くにいる人々をその刃物で傷つけていく様子が目に入ります。
人混みの中を真っ直ぐに周囲の人を傷つけながら進んで斬る刃物を持つ男性。
丁度、電車が通り過ぎようとするタイミングで、この状況に混乱し慌ててこの場から立ち去ろうとした女性が私にぶつかり、私はそのまま押し出されるように踏切に足を踏みいれてしまっていました。
あっと思った時には既に遅く、私は通過する電車に引かれて亡くなってしまいました。
死んだ後の話だけど、どうやら私を呼ぶ声が聞こえます。
その聞こえる声の主を私は周囲を見渡して探してみます。
死んでも声が聞こえたりはするもんだと少し感心もしました。
周囲を探したが声の持ち主は見当たらなかったが、聞こえる声の大きさから近くにいることが伺えます。
その声の持ち主がこんなことを言っていたのは覚えています。
私は亡くなってしまったので、もう元の世界には戻れないそうです。
異世界への転生かそのまま消えてしまうかの選択を迫られます。
私は迷わず異世界への転生を選びました。
人生で一度は転生というものを体験してみたかったからです。
(死んでしまったので一度目の人生ではありませんが・・・)
選んだ転生は私が思い描いていた転生とは違ったようでした。
私の身体は元の姿のままですが、若干ですが若返ったような気がします。
たぶん、十八歳頃の若い身体のように感じます。
肌の艶や張りが二十五歳の身体よりも良い調子だからです。
着ている服も当時の私が好んで来ていた白いブラウスと少し赤色が強く感じるピンク色のベストと薄い水色ぽいデニムでした。
友人からはピンクのベストを見てお笑い芸人かと冗談で揶揄われることもありましたが、当時の懐かしい思い出でしかありません。
私とは違う別人に生まれ変わるのかと思っていましたがそうではないようでした。
もし男性に生まれ変わったならとか、もし貴族の女の子に生まれ変わったならとかを想像しておりましたが、元の世界の私の身体のままの転生には若干ですががっかりしました。あっ、若干ですよ若干。
異世界だから言語が通じないって話も心配もないようで、勇者特典というべきか異世界の人と意思疎通が出来る言葉は使えるようでした。
ラノベにもあるような【無限に入るアイテムポーチ】と【鑑定】というスキルも与えられています。剣技スキルと回復魔法も使えるそうです。
私を転生させてまで神様と思わしき存在の要望は、やがて復活するであろう【世界の脅威】と呼ばれる災厄の源を滅ぼして欲しいとのことでした。
前回の勇者召喚では、世界の脅威を封印するまでの力しかなかったそうです。
異世界から勇者を召喚して災厄の源を封印出来ただけでも上出来と思いました。
おそらくは、元の世界では私と同じで何の力を持たない者が勇者召喚に選ばれたはずだから・・・
今回の私に与えられた力は前回の召喚された勇者と同じ条件だそうです。
私が女だからかこの世界にいると思われるチートキャラを仲間にすると良いとアドバイスを貰ったが、チートキャラがどんな性別でどんな容姿なのかも分からないのにどうしろと言うのでしょうか。
そう言われ一方的な説明が終わると私は知らない部屋に気付いたらいた。
神官:
ようこそ。勇者様。
欄:
勇者?
神官:
はい。その様に伺っております。
勇者様は神の呼びかけに応じられて、我々の世界に召喚されました。
もうご存じと思いますが、元の世界にはお戻りなることは出来ないそうです。
欄:
ええ。元の世界には戻れないってことは知っているわ。
でも、どうして私が勇者なの?
神官:
この世界には神の呼びかけに応じた者しか来られないのです。
今回、勇者様が応じられたから、この世界へと召喚されました。
ですから、私たちは勇者様とお呼びしているのです。
欄:
勇者と言われても、私は武術や魔法とかなにも出来ないですよ。
神官:
そんなに謙遜されなくても大丈夫です。
先代の勇者様、いえ、青の勇者様も最初はなにも出来ないと嘆いておいででした。
ある日を境にお強くなられたそうです。
欄:
そんなにですか?
神官:
そうです。この指輪をお受け取り下さい。
欄:
この無色透明な宝石の付いた指輪を着けると何か力が得られるのですか?
神官:
そうではありません。神から勇者様へ渡すよう預かった指輪だそうです。
この指輪を着けると勇者様の力の象徴というべき【色】が分かるそうです。
先代の青の勇者様の【色】は青色でした。
青色に纏わる力を発揮出来たとか出来なかったとか噂はありますが、今代の勇者様の【色】は何色でしょうかと気になっています。
どうか指輪を着けられてみて下さい。その無色透明な宝石が、勇者様の【色】の宝石に変わると聞き及んでいます。
神官さんに言われた通り、私は指輪を着けます。
事前に【鑑定】を使ったのは秘密です。事情もよく分からない状況で不用心なことは出来ません。
指輪を鑑定した結果安全だと分かったので、無色透明な宝石は私が指輪を着けると、鮮やかな 緑色の宝石へと変化しました。
指輪の使い方も何となく分かったような気がします。
「装着」と念じると全身が金属の鎧に包まれ、右手には剣、左手には小柄な盾をいつの間にか持っていました。
鎧も盾も剣の柄も鞘も何もかも緑色です。色の濃淡で違いはあるようですが・・・剣の刃の部分だけは光沢のある白色ぽい銀色でした。
金属の全身鎧なのに重さを感じないし、動きが阻害されるようなこともありません。全身鎧を着ているよりも普通に服を着ているぐらいの感覚です。
「脱着」と念じると元の姿へと戻ります。
「装着」で鎧を装備し「脱着」で鎧を外すことが出来ます。
金属鎧感がないので普段から鎧を装備しておくのはどうかと尋ねたところ、それは止めた方が良いと言われました。
鎧を装備している間は、魔力が消費されるようで一定の魔力が消費されると全身が怠いと感じるそうで普段の生活は用意している普段着をお遣い下さいって・・・今来ている馴染みのある服の方が私好みなんだけどな(;^_^A
ー神様の独り言ー
勇者は元の世界の記憶と容姿を持って生まれ変わります。
年齢は身体の若い十八歳当時の身体の記録を呼び起こします。
誰も元の世界と同じ能力とは言っていないけどね(;^_^A
現地の者と話が出来ないようでは困るので会話が出来るようにしたのと専用のアイテムポーチ、鑑定というスキル(現地の者が使っているスキルよりも優秀)、武器を扱えるように剣技のスキル、怪我や病気を回復出来るように回復魔術を与えた。
これだけ与えれば十分なはずだ。
前の勇者の時だって、同じ条件であの世界の脅威を封印することが出来た訳だから、今回も期待に応えるような結果を出すと信じている。
勇者を召喚する度に色々と仕様を変えるのは面倒なので同じ条件でやって貰う。
一度、他の世界で転生特典の要望を聞くということを試してはみたが、色々と際限なく要望を言うので叶えるのも聞くのも面倒になっただけだ。
ーランちゃんへー
現地の人にチートキャラなんていません。
男か女か大人か子供か分からないけど、あなたと同じ世界から転生したチートキャラがいるので見つけ出して仲間にしてね。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




