第29話 勇者じゃなくてもスキルなんてなくても
どうしてこうなった。
まず、私の今の力では到底ゴブリンを討伐出来るはずがありません。
では、奇策を練り私の普段とは異なった力を使うしかありません。
そうです。一か八かですが【聖女】の力を使ってみようと思います。
スキル:クラスチェンジを使い、目の前に現れる透明なボードの「聖女」の欄をタッチし私は聖女となります。
神々しいローブを纏って右手には光り輝く杖を持ちゴブリン退治に向かいます。
階段を降りると直ぐにゴブリンと対峙します。
先程と変わらずにグギャグギャと騒ぎ始めてかなり煩いです。
先兵のゴブリンが私に向かって来ます。私は杖を構えて杖を振り抜きました。
思いっきり杖を振るったからかゴブリンが弾け飛びました。
カスミ:
えっ?
杖が当たったという感覚はなく、たった一度だけ杖を振っただけなのに、数体のゴブリンが吹き飛んだり弾け飛んだりしています。
ゴブリンもこんなことが起るとは思っていなくて混乱しています。
私もゴブリン同様に混乱しております。
こんなことになるなんて思ってもいませんでした。
ゴブリンとゴブリン亜種を杖で撲殺しながら前へ前へと進んで行きます。
大人ゴブリン(私が名付けた)も何体かいたけど、気にせず前へと進みます。
真っ直ぐに進んでいるので、もちろんゴブリンキングが目の前に現れます。
ゴブリンキングは大人ゴブリンと比較しては駄目だと思いました。ゴブリンが子供ぐらいなら、大き目のゴブリンが大人ゴブリン。
では、その大人ゴブリンよりも更に巨大なゴブリンは何と言えば良いのでしょうか。
遠くに居た時はデカくて目立つゴブリンだな程度にしか思いませんでしたが、いざ目の前に現れると私との身長差もあるので猶更、巨大なゴブリンに見えてしまいます。
そんなゴブリンキングに驚いていると、背後から「ポカリ」と何かに叩かれたような感じがしました。
私は振り向くと何度もポカリポカリと何かに叩かれます。
私はゴブリンの群れの中にいる訳で、階段から真っ直ぐに来ただけなので、ゴブリンやゴブリン亜種に囲まれて袋叩きに合っている状況のようです。
袋叩きに合っても、どうしてだか分からないですが全く痛くありません。
それでもゴブリン連中は諦めずに私をポカリポカリと叩いて来ます。
正直、凄く鬱陶しいです。
力尽きるまでゴブリンども撲殺するしかないようです。
カスミ:
やあぁあぁあ~。かかって来なさい!
あれからどれぐらいのゴブリンを倒しただろうか。
最初の方はゴブリンが雑魚にしか思えていましたが、今では雑魚にも劣るということです。
私の放つ【聖なる癒しの力】の前にはゴブリンは消え逝く存在でしかなかったのです。
(杖でゴブリンの集団を撲殺しただけですが(;^_^A)
最後に生き残ったのは、さすがキングと名の付くゴブリンキング。
それでも、聖なる癒しの力の前にはどうすることも出来なかったのか満身創痍です。
カスミ:
あっ待って。消えないで・・・もう少しだけお願い。
ここで私の聖女の力が消えて行きます。
先程までの神々しいローブと光り輝く杖と聖女の力が失われるのと同時に元の皮装備一式の聖女へと私の姿を変えてしまいました。
私の身体を覆っていた光輝くオーラが消えていく様子を確認すると「ぐへへへへへへ・・・」と気味悪い笑い声を上げて、私の力の消失を喜んでいるかの如くゴブリンキングはあざ笑います。
この場にいるのはゴブリンキングと私。ゴブリンの集落最後のボスと私は対峙しています。
聖女の力は消え失せたままです。そんな私にゴブリンキングを倒せるのか不安で仕方ないです。
いや、ここまで来たらゴブリンキングを倒すしかないのです。
これまでスキルなんかなくても私は今までやって来れたのだから。
ゴブリンキングは私の三倍ぐらい大きいです(目測)
こんなに大きいと私に対して有効な攻撃は上段からの振り下ろしなはずです。
そんな振り下ろさた大振りの攻撃を長剣で捌くだけの簡単なお仕事です??
カスミ:
あれ?
ゴブリンキング:
・・・・。
((なんかおかしい))
たぶん、私とゴブリンキングは同じことを考えていたんだと思います。
私とゴブリンキングの身長差は三倍あります(目測)
私はレベル20なので、ゴブリンキングがレベル40(推定)だとすると私の各能力値の約二倍は最低あると考えることが出来ます。
そんな攻撃を長剣で捌くなんてスキルのない私には到底出来るはずがありません。
確か、大型の人型のモンスターを倒す時には、アクレスなんとかって部分を切れば立てなくなって聞いたけど正確の詳しい位置は分からないです。
足を切ったらスパッと斬れたので、そんな部分を狙って斬るなんて器用なマネは出来ませんでした。
右足の膝ぐらいから下が無くなれば、さすがに立てないだろうしね。ドシーンという音がしてゴブリンキングは倒れた?
体重を支える足が無くなって支えきれなくなって倒れたのかも。
私の背でも届くような高さになったので、身体に乗って丁度胸の辺りに剣を刺します。どどめを刺されゴブリンキングが消えてしまうまで何度も何度も剣を刺しました。
ただ、この後が大変です。軽く百体ぐらいと目測で数えていましたが、部屋中に散らばった魔石やドロップアイテムを回収しなければなりません。
これはどれぐらいの時間があれば全て回収出来るのか分からないです。
かすみ:
もうむり。もうむり。もうむり。もうむり。もうむり。もうむり。もうむり。
私は何時間かかったか分かりませんが、泣く泣く魔石とドロップアイテムを全て回収しました。
こんなに疲れているので、これからダンジョンを上に戻る気力はありません。
かといって、下へ降りて行く気力もありません。
六階層はモンスターハウスだったので、たくさんのモンスターがまた出るんじゃないかと心配です。ここは七階層へ降りてテントを張って休憩兼仮眠を取ることにしました。
テントと聖女の結界があればオークも襲って来ないだろうと考えています。
凄く疲れてていつの間にかテントで眠っていたんだけど、ある程度疲れが取れると寝返りを打った拍子に聖女の身体にある巨大なおっぱいに圧迫されて目覚めてしました。
カスミ:
う~ん。女の子のおっぱいって大きいと寝るのには邪魔です。
大きな肉の塊が私の胸部にあるんだけど、今までそんな肉の塊は無かったので初めての感覚に戸惑っています。
転職で魔法戦士のクラスの元の私に戻ると元の身体に不満を感じます。
女の子のおっぱいは大きすぎると不便だけど、無いと大きいおっぱいが羨ましく思えます。
寝苦しかった胸の支えが無くなったので、ダンジョンの中だというのにゆっくり休めたと思う今日このごろです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
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