第20話 魔法の呪文は高価な買い物
大失敗
かすみ:
おねが~い。もうゆるしてってば~(><)
たくさんの一角兎に私は追い掛けられています。
どうしてこうなったかというと少しだけ時間を遡ります。
私はゴブリン退治に町より少し離れた森付近を散策していました。
目的のゴブリンを見つけることが出来なかったので、目についた一角兎に魔法の呪文の詠唱を試してみようと思った訳です。
一角兎に私の実験対象になって貰います。
少し離れていれば大丈夫かなと思ってしまったことが悪手でした。
カスミ:
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
カスミ&一角兎:
・・・・・・・。
はい。何も起こりませんでした。
少し期待していた私が馬鹿だったみたいです。
カスミ:
ですよね~。
私は魔法職でもないので呪文を詠唱したところでいきなり魔法が使えるなんてこともあり得ません。
それなのに私は無謀にも連続して魔法の呪文を詠唱してしまいました。
カスミ:
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
風よ。我が敵を切り裂け 【風刃】
目の前に一角兎が迫って来ているので焦ってしまった結果、何度も何度も詠唱してしまいます。
最後の方の一部の詠唱では魔法【風刃】が発動していることに気付かずにです。
魔法の狙いもしないで何度も詠唱してしまった結果が、周囲の一角兎を呼び寄せてしまっていたのです。
あちこち傷付いて怒った一角兎たちは私を敵とみなし追い掛けてきました。
武器を構えて返り討ちにすれば問題なかったはずでした。
更に、私は失敗に気付いてしまいます。
戦士のクラスよりも一般人のクラスの方が魔力が高いことに気付いて、一般人のクラスにクラスチェンジしてしまっていたのです。
そう、魔力が高いクラスの方が魔法を使うには適していると考えてしまった結果がこれでした。
たくさんの一角兎を一般人が捌ける訳もなく今に至ります。
かすみ:
おねが~い。もうゆるしてってば~(><)
もうい~や~(><)
偶然にも発見した冒険者さん達が私を助けてくれました。
ある冒険者パーティーは森から出て来た所に、幼女を先頭にたくさんの一角兎を引き連れて走っている場面を・・・。
また、別の冒険者パーティーは、町から出て森へ向かおうとすると、幼女が悲鳴を上げながら走っている姿を・・・。
また、運航している馬車の中からも、激しい砂埃の先頭にいる幼女に向かって何かが砂埃作りながら追い掛けているように見える場面を・・・。
たくさんの人の目に留まり、現在私は助けられたのでした。
「無謀にも魔法の詠唱の練習をしていると、どうやら怒らせてしまったようでして・・・。」と言い訳するしかなかったです。
クラスチェンジで戦士よりも魔力の高い一般人になっていたので戦えなかったとか決して言えないですからね。
私を助けて貰えた人の中に【魔法士】の方がいたのでアドバイスを貰えるか伺いました。
その方が言うには魔法の初級の呪文を購入して、その呪文を詠唱の練習を何度も行うしかないそうです。
素質があれば魔法が使えるようになるが素質がなければ魔法は使えないそうです。
魔法の呪文は魔術師ギルドで回復魔法の呪文は教会で購入可能だそうです。
ただ、初級魔法の呪文は一つ五万ゴールド、回復魔法の回復の呪文は一つ十万ゴールドのお布施が必要だそうです。
素質がなければ無駄金になるとのことでした。
属性魔法は六つ、回復魔法は【回復】と【解毒】の全てを覚えるには五十万ゴールドが必要です。
属性魔法の五つだけ購入するか、回復魔法の二つも同時に購入するかは迷うところです。
一角兎に追い掛けられた時に風魔法使いのクラスを得ていたので、初級風魔法の呪文の購入は必要ないから除外します。
全てを購入すると四十五万必要なので、今回は火魔法、水魔法、回復、解毒の四つを購入しようと思います。
三十万ゴールドは大きいですがクラスチェンジ可能なクラスを増やすことを優先します。
魔術師ギルドで、初級火魔法の呪文、初級水魔法の呪文の二つを購入しました。
火魔法は【火球】という火玉が目標に向かって飛んで行く魔法です。
「火よ。我が敵を打て 【火球】」が呪文です。
水魔法は【水球】という水玉が目標に向かって飛んで行く魔法です。
「水よ。我が敵を打て 【水球】」が呪文です。
火魔法と水魔法は火と水の違いってだけで、呪文にそこまで違いはありませんでした。
確か、ライムくんが「炎よ。・・・」で始まる呪文を使っていたけど強い火魔法だったのでしょう。
レイラちゃんは最初から火魔法、水魔法、風魔法の三つも使えたってことは、十五万ゴールドも浮いたのは羨ましいと思ったのは秘密です。
次は教会で回復魔法です。
カスミ:
あのう。冒険者ですが【回復】と【解毒】の呪文を教えて貰うことは可能でしょうか?
男性神官:
はい。構いませんよ。
回復魔法は神への信仰心があれば誰でも使えるようになる魔法です。
信仰心が足りなければ回復魔法は使えませんが問題ありませんか。
(回復魔法が使えないのは、お前の信仰心が足りないからだと言ってそうです)
【回復】の呪文
「神よ。我が願いを叶え給え 【回復】」が呪文です。
状態異常回復魔法(毒) 通称【解毒】の呪文
「神よ。この者を毒から癒し給え 【解毒】」が呪文です。
男性神官:
【回復】と【解毒】の使い方ですが注意があります。
まず、どちらも患部に直接触れないことです。
患部に布を貼るとか包帯を巻くなど患部に直接触れないようにして、布や包帯の上にそっと手が触れるか触れないかまで手を近づけて呪文の詠唱を始めて下さい。
カスミ:
それはどうしてですか?
男性神官:
患部に直接手が触れてしまいますと術者も毒を受ける毒もあります。
怪我を治す回復の方だと患部から出た血で病気になるかもしれないからです。
どちらも術者が負傷するという事例があります。ご注意下さい。
私が金貨二十枚をそっと手渡すと「では、お布施をいただきありがとうございます。」とお礼を言って奥へと下がって行きました。
初級レベルの魔法や回復魔法を覚えるとレベルアップした時に他の魔法も覚えるそうです。
魔法の手掛かりを得たと思えれば三十万ゴールドは安い買い物かもしれません。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




