第188話 下層 四十一階層~五十階層まで
下層編です。
結局、四十階層の階層ボスの部屋には階層ボスはいませんでした。
私も最初はゴーレムが階層ボスかもと思いましたが、ゴーレムを倒した所で魔石を手に入れることが出来ませんでしたの。
魔石はモンスターを倒すと手に入る物です。魔石が手に入らないモンスターような存在は動物だけなのです。
動物は倒すと亡骸、死体が必ず残るので魔石か死体かで動物かモンスターか判断出来る訳ですが、今回のゴーレムは魔石も死体も残っていません。
試練の終了と共にゴーレムは消えてしまいましたからね。
四十階層の階層ボスの部屋では、試練を攻略してお終いなのです。
報酬も魔石も無かったのです。アドバイスを見た限りだと階層ボスが出る場合もあるんだそうです。
今回はゴーレムを破壊するという試練だけになったというだけなようです。
四十階層を超えた次の階層は『下層』なのです。
これで面倒だった試練に挑戦しなくても済むと思うと安堵してしまいました。
四十一階層からは砂漠エリアです。
ダイガの大森林のランクSも同じ砂漠のダンジョンでしたが、砂漠のダンジョンはそう変化はなさそうに思いました。
目の前に広がる光景は砂漠そのものなのです。
見た感じだけでは、はっきりとした違いは分かりませんが、おそらくは寒暖の差や時間の差があるぐらいかなと予想していますの。パルチ山のランクSは環境変化型のダンジョンだからです。
これまでの上層や中層では環境変化を体感してはいないのです。
特に試練の内容が変化するってダンジョンの環境が変化したとは言い難いですからね。
事前上では砂漠のエリアにはオアシスがあると聞いていますが、オアシスって必要なのかな?
私はカートで移動するからオアシスは必要ないですが、歩いて進んでいる冒険者さんには必要な休憩所になるのでしょうね。
魔性の微笑みさんからは上層は約二日、中層は約四日、下層は約六日、深層は約八日で通過出来ると聞いています。
一つの階層は上層では一時間ぐらい、中層は二時間ぐらい、下層は三時間ぐらい、深層は四時間ぐらいかかるってことだったようですね。
ダンジョンの法則が働くのか分からないですが、下層は約三時間を使ってしまうのではと考えておきます。
タイガの大森林のランクSでは、十キロぐらいしか進んでいないのに二時間だか三時間だか考えられないような時間の進む方でしたからね。
ダンジョン外では車のように進めていたのに、ダンジョン内では歩いたのと変わらない結果にしかならなかったのは不思議な現象でした。
体感では数分程度だったはずなのに結果は二時間とかあり得ない話ですから。
これはエルフル遺跡群のランクS、タイガの大森林のランクSで私が体験したことですから間違いありません。
ダンジョンの深い所へ行くほどに体感時間と実際の時間がおかしくなるので気を付けておきましょう。
心配していたことは四十一階層以降の階層でも起こりましたの。
体感では一時間ぐらいの距離ですが実際には三時間も使っていたのです。
これでは折角 上の階層で時間を短縮出来たとしても予定日数を大幅に減らすことは出来ないのです。
そうです。下層では時間短縮は無駄だと分かった瞬間でもありますの。
カスミ:
暑さはそんなに感じないですね。
タイチ:
それはカートにカスミが乗っているからと思うがな。
カスミ:
そんなことないはずですよ。
あそこに見えるオアシスが干上がっていないのですから日差しが強いって訳ではないと思います。
タイチ:
あれは参考にしない方が良いと思うぞ。
一度、カートから降りて砂漠の温度を体験すると分かると思う。
カスミ:
あ、暑いですね。
確かに、カートの恩恵でした。
タイチ:
それに、あのオアシスの水って一体何処から来るんだろうな?
カスミ:
雨が降るとか地下水とかと思いますよ。
タイチ:
ダンジョンのギミックの可能性は? 否定出来ないんじゃないかと思う。
何もない砂漠よりはオアシスぐらいあっても不思議ではないはずさ。
家具付き一戸建ての家具のような備え付けされた家具のように考えてもおかしくはない。
なにせ、ダンジョンだからな。
カスミ:
確かに、そう言われるとそうかもしれませんね。
こんな会話をしたことを覚えています。
四十一階層から四十九階層までは直ぐでした。
カードでビューンと飛ばして進むだけですからね。
道中でモンスターがいたかと言われるといたと思いますが、カート上から魔法を打ち込むだけの簡単な作業とかしています。
途中で遭遇したモンスターもサボテン系のモンスターとサソリ系のモンスターばかりですし、魔石を集めに精を出す必要もなかったですからね。
進行の邪魔になるようなモンスターばかり倒して後は適当にやり過ごしただけですの。
タイガの大森林のランクSの時のように階層間もそう遠くはないですが、約三時間ぐらいで次の階層への安全地帯へと到着出来ましたの。
距離にすると十キロ~二十キロの間ぐらいと思われます。
体感一時間で約三十キロ~四十キロぐらいは進めるはずですからね。
カートの速度は時速三十キロ~時速四十キロぐらい=車が進む速度ぐらいはあったと思います。
どうして、元高校生が時速三十キロ~時速四十キロを体感出来るのかって?
自転車でも時速二十キロぐらいは出ますよ。急な坂道なんかで凄い速度で自転車が進む具合は、たぶんですが時速四十キロ以上は出ていると思います。
自転車でも頑張れば時速三十キロぐらいなら出せますからね。
時速三十キロで三時間走ったと考えると九十キロ進んだことになります。
この広さだとタイガの大森林のランクSの最下層よりも広い砂漠ということになります。
パルチ山のランクSの下層の砂漠がそこまで広いなら何かの話で話題になっていてもおかしくはありません。
冒険者ギルドや合同説明会の中でも私がタイガの大森林のランクSにいたことなんて知られているはずですからね。
『パルチ山のランクSの下層の砂漠は、タイガの大森林のランクSの最下層の砂漠よりも広いから注意しろよ』なんて言葉が投げかけられてもおかしくない内容です。
そんなアドバイスなども受け取っていないってことは、やはり体感の時間が狂っていることになるのかな? まぁ、その通りなのですが・・・(;^_^A
四十一階層~四十三階層までに一日を費やし、四十四階層~四十六階層までに一日を費やし、四十七階層~五十階層までに一日を費やして五十階層の安全地帯まで進むことが出来ましたの。
もちろん、例の如く四十九階層の安全地帯は五十階層の安全地帯と繋がっているので五十階層の安全地帯に進んだことにしています。
五十階層のエリアボスを前に休もうと思いますの。
安全地帯で待機している冒険者さんとは明日 改めてお話を聞きたいと思う今日このごろです。
それでは、おやすみなさいmm
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
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