第18話 サラブ領カワギシ村~アルフレン領カワギシ村
サラブ領~アルフレン領までの短い船旅です(2時間ぐらい)
今夜の寝床は、て〇れ〇れ亭という宿と食事処を兼ねた宿屋です。
一人で一泊する旨と食事の時間まで外出して来ると伝えて、当初の予定とは異なりますが武器屋と防具屋へと向かうことにします。
最初は、冒険者ギルドで情報を得ようと考えてしましたが、メルビルの冒険者ギルドで情報を得たばかりなのに僅か三~四時間ぐらい経過した程度でそう大差ないと判断しました。
小まめにスマホをチェックしていた時代とは違って、こんな世界では三時間ぐらいではそう大した情報の変化も得られないでしょうしね。
武器屋店主:
お嬢ちゃんはお遣いか何か用か?
カスミ:
いえ。武器を新調しようかどうか迷っていましてアドバイスが頂けると助かります。
武器屋店主:
武器の新調ねぇ~。得物は何だい?
カスミ:
メインの武器はこの戦斧です。
予備の武器にこの短い剣を使っています。
私を上から下まで凝視するような視線と戦斧と短い剣を手に取り状態を確認しているようでした。
武器屋店主:
お嬢ちゃんには悪いが、何も売れなねぇな。
カスミ:
えっ!どうしてですか?
武器屋店主:
そう慌てなさんな。今からどうしてか説明するからそこに座りな。
その戦斧は上物だし買い替える必要はない。
この店にはそれ以上の戦斧はおいてないしな。
買い替えるなら短い剣の方だが、予備の武器で持っておくだけのようだから買い替える必要はなさそうだ。
そう店主の男性に言われ、座るよう指示された椅子に座ります。
商談や契約時に使うようなテーブルと椅子が備え付けられています。
武器屋店主:
お嬢ちゃんはこの後防具屋にも行きそうだから、先に言っておくけど防具屋でも売れる防具は無いと言われるだろうよ。
お嬢ちゃんの身体が小さすぎて防具を新調するなら全て特注になるはずだ。
明日の船便でここを出るなら防具はゆっくり出来る町で作った方が良いと言われるだろうよ。
カスミ:
防具屋さんの方も無理そうですか。
では、ゆっくり出来る拠点を見つけて武器や防具の新調を考えたら良いんですよね。
武器屋店主:
悪いな。お嬢ちゃんのためを思うとここでは売れねえって判断だ。
カスミ:
いえ。助言ありがとうございます。
そう言って店を出ると宿に向かいます。
美味しいと定評のある宿屋での食事に期待しようと足を向かわせました。宿は食事処も兼ねているので一階部分は人で溢れています。
これではゆっくり食事が出来そうにないので部屋まで食事を届けて貰えるか聞いてみると快く引き受けて貰えました。
メニューがどのような料理か名前だけでは分からなかったので「お勧めの料理」をお願いし、部屋へと上がります。
ドアがノックされ扉を開けて宿の給仕さんを迎え入れると「本日のお勧め料理の『ミックスフライ』です」と給仕さんに言われて、部屋の中の小さなテーブルの上にトレーを置いて出て行きました。
ミックスフライは、白身魚のフライ、オニオンフライ、フライドポテト、串カツ? と思われる揚げ物と野菜サラダとパンでした。
カワギシ村というだけあって、魚料理が食べられる地域だからか何の魚かは分からないですが美味しく食べることが出来ました。
ヤマギワ村では魚料理は高価すぎて食べることが出来なかったので、少し元の世界でも食事事情を思い出しつつ食事が出来たと感じました。
この世界のお風呂事情は、桶に水を入れて布で身体を綺麗にするか【清潔】という生活魔法を使って着ている服ごと綺麗にする魔法を使うことが一般人である私たちの主流です。
貴族や国の王族などの身分の高い人やお金持ちの商人などのお屋敷にはお風呂があります。お風呂=金持ちのステータスといったところでしょうか。
今更ですが、思い出したことがあります。
元の世界で漫画や小説などで読んだ記憶ですが、体内にある魔力を感知して魔法を使えるようにする描写があったような記憶があります。
もし、同じようなことをして私にも魔法が使えるようになるのではないでしょうか。これは、試さずには居られません。
早速、今夜から魔力が自覚出来るようになるか模索してみるとしましょう。
かすみ:
う~ん。う~ん。う~ん。う~ん。う~ん。う~ん。
どうやら今の私に魔力を感知出来るようになるには無理があったようですね。
凄く眠くなったので眠気には逆らえそうにないので今夜はもう諦めます。
ー閑話休題ー
翌朝、身体が凄く怠い感じがしますが、宿屋の主人にこれから船に乗るけど食事は用意した方が良いのか。
船で何か食べることが出来るのかどうかを聞きました。
食事は各自で用意するらしく、ここでもお弁当を用意して貰えていました。
船は思っていたよりは大き目で三十~四十人ぐらいは乗船出来る大型の船だそうです。
馬車で一緒になったハーレムと思わしき四人の冒険者パーティーとまた一緒になりました。丁度良かったので、魔法使い風のお姉さんに声をかけます。
カスミ:
あのう。もし、良かったらですが、私に魔法の基礎を教えて貰えないでしょうか?
魔法職の女性:
えっ? 魔法を教えろってこと?
斥候職の女性:
魔法ぐらい教えてあげたら良いんじゃない。
だって、船が到着するまで暇そうだしね。
魔法職の女性:
良いわ。私が教えてあげるわ。
でも、お嬢ちゃんは魔法を覚えても大丈夫な年齢です?
カスミ:
私はこれでも十五歳です。冒険者ランクはEです。
「「「「・・・えっ? マジ?」」」」
魔法職の女性:
右手か左手かどっちでも良いから手を出して。
魔法職の女性は直ぐに立ち直って言ってきました。
私が右手を差し出すと手を握って来ました。
魔法職の女性:
今から貴女に私の魔力を送ります。
その魔力の存在と同じものを身体の中に感じてみて。
お姉さんの握った右手から、何やらもぞもぞする間隔が伝わります。
カスミ:
何だか、くすぐったいです。
魔法職の女性:
それが魔力を体験している証です。
その感覚と同じものを身体の中に感じてみて。
その調子で体内の魔力を感じることが出来るようになれば、次はそれを対外に放出する。
これだけを覚えていれば、きっと魔法を私よりも上手に教えられる人に出会えれば魔法が使えるようになるわよ。
魔法職の女性は私の手を放し、私が魔力を感じる練習の様子を伺っています。
カスミ:
あのう。お代はいくら支払えば良いでしょうか?
魔法職の女性:
・・・銀貨一枚でいいわ。
カスミ:
でも、そんなに安くて良いんですか?
魔法職の女性:
良いのよ。私は魔法を教える立場でもないし、船で出会った女の子にちょっとした手ほどきをしただけですもの。
カスミ:
ありがとうございます。
魔法職の女性:
ただね。独学で魔力を感じるようになるには時間がかかるの。
練習するのはほどほどにしないと冒険に差し支えるから気を付けてね。
そう言われても私は船を降りるまで魔力を感じる練習を続けていました。
その様子をこっそり見ていたお姉さん達は呆れた顔をしていたのはここだけの話です。
向こう岸のアルフレン領カワギシ村は、川を挟んでサラブ領カワギシ村と左右対称でした。
次の馬車の時間が迫っているので、こちらの村の方では何もする時間がなく急いで馬車へと乗り込みました。
次は、アルフレン領ラガリアという町です。馬車で約六時間~八時間ぐらいかかるそうです。
ヤマギワ村からメルビルの町と同じぐらいの時間だと思いました。休憩が二回ぐらいあって、一回目の休憩で食事をしようと思います。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




