第178話 中層 三十階層まで
意外な決断
二十七階層の終わりに抜け道があると地図に書かれていることに気付きました。
既に二十七階層を攻略済みなのに抜け道? って不思議な感覚です。
この抜け道は攻略していないと使えないらしく、使うと一気に三十階層まで行けるそうなのです。
落とし穴みたいなトラップを利用して三十階層まで行くのかもしれません。
カスミ:
青の勇者様。
これをどう考えたら良いのでしょうか?
タイチ:
落とし穴みたいな危険な物ではないと思うけど、一気に三十階層まで行けるのは都合が良いんだよな。
使ってみたいかい?
痛い思いとかをするのはカスミなんだから僕らには決めることが出来ないかもな。
凄く怖い思いをしたと泣きそうな顔が目に浮かぶんだけどな。
カスミ:
そんなに怖いと思うようなことですか?
タイチ:
たぶん、そうだな。
考えてみると分かると思うな。
カスミ:
・・・分かりません。
教えて下さい。
タイチ:
ここは二十七階層だ。
それは分かるよな?
カスミ:
はい。二十七階層を攻略して次の階層へと降りる階段の近くです。
タイチ:
ああ。そうだ。
この抜け道を使うと三十階層まで行けるってことだけど、二十八階層と二十九階層はどうなると思う?
カスミ:
うん? どういうことですか?
二十八階層と二十九階層は無くならないのでは?
タイチ:
そうなんだ。
二十八階層と二十九階層は無くならないで三十階層まで行ける訳さ。
もし、落とし穴のような物なら一気に三十階層に辿り着く訳だからと考えるとどうかな?
カスミ:
ストンと三十階層まで行ってしまう可能性があるってことですか?
タイチ:
そうだ。危険な場合は抜け道とは書かないと思うが、安全だけど一気に三十階層まで行けるとなると急降下のような形で落ちる可能性はあると思うな。
二十七階層の天井も見えないような階層を二つ分も通り抜けるってかなりの落差だと思う。
カスミ:
・・・おしっこちびりますかね?
タイチ:
たぶんな。
聖女アンズ:
カスミ。
そんなはしたないことは言わないものですよ。
それに青の勇者様も真面目に返答しないで下さいまし。
カスミ&タイチ:
すみませんmm
二階層分もまとめて攻略出来るのならお得な感じがします。
危険じゃないと分かっているなら挑戦してみようと思います。
女なら度胸が大事と言いますからね。
あれ? 何か違ったかしら。
タイチ:
それを言うなら女は愛嬌だよ。
カスミ:
・・・。
怖そうでも私は抜け道を使うのです。
抜け道に入ると私は水の泡のような物に包まれました。巨大で頑丈なシャボン玉のようです。
カスミ:
はゃ?
私が入った水の泡は凄い勢いで坂道を滑って行きます。ウォータースラーダーと言えば良いのでしょうか?
透明なパイプのような物の中を凄い勢いでグルグルと階層中を回るように進んで行きます。
カスミ:
め、目が・・・回りますの~(><)
そんな私の悲鳴なんて気にも留めずに私の身体は進んで行きます。
急降下が終わったと思ったら、今度は何か跳ねるような感覚を体験します。
この様子はまるでトランポリンで跳ねるみたい感じで、ボヨーン、ボヨーンとしたような感覚ですの。
一度目のボヨーンから急降下のような体験して、二回目のボヨーンが来るって感じなの。この落差が激しすぎて気持ちが悪いのです。
そして、何かにカポッと嵌るような音が聞こえると水の泡がゴロゴロと転がっていくような感覚が来ます。
私の身体は水の泡の中でゴロゴロと回転してしまっています。
本当に目が回ってしまうような体験ですの。
ゴロゴロ、グルグルと私は水の泡の中でもみくちゃにされながら三十階層へと到着しました。
あの恐怖のような体験は二度したくはありません。
おしっこはちびりませんでしたよ?
何度もパンツの中を確認しましたから間違いありません。ウソではありませんよ?
タイチ:
良かったな。カスミ。
聖女アンズ:
二人ともはしたないですわよ。
特にカスミは女の子なのですから注意して下さいね。
タイチ&カスミ:
すみませんでしたmm
女性冒険者の方が私を見つけて話かけて来ました。
ドーナ:
私の名前はドーナって言いうんだ。
今後ともよろしくな。
カスミ:
私はカスミールと申します。
ドーナ:
ああ。上からの報告を聞いているから知ってるよ。
まさか、あの抜け道を本当に使って来るとは思わなかったよ。
カスミ:
えっ? どうしてですか?
地図には抜け道があると書いてあったので・・・。
ドーナ:
地図を良~く見てごらん?
何処にも「抜け道を使え」とは書いていないだろ?
その証拠に二十八階層や二十九階層の攻略の手順の説明もきちんと書いてあるからな。
カスミ:
本当だ~。
気付きませんでした。
各階層の攻略情報が書かれている地図には二十七階層以降の攻略する手順が本当に書かれていました。
少し疑ってしまってごめんなさいmm
上層の洞窟の階層でも行く必要のない場所へのルートは一切書かれていませんでした。二十八階層や二十九階層も抜け道を使って行く必要がないなら省略されていてもおかしくはありません。
情報が書かれている=どちらを選んでも構わないと捉えることが出来るのです。
三十階層以降の中層もこれまでの中層と同じようなのか?と尋ねると満面の笑顔でそうだよと答えてくれました。
この笑顔にはきっと面倒だったり大変だったりするパズルの攻略頑張ってという意味が込められているのでしょうね。
この先は中層のエリアボスがいるエリアボスの部屋です。中層のエリアボスなので脅威度Dのモンスターです。
もう、脅威度Dのモンスターだと相手にならないので素通り出来そうです。
オーク、ホブゴブリンなどの脅威度Dのモンスター。
ゴブリンリーダー、ゴブリンメイジ、オークリーダー、スケルトンソルジャーなどの脅威度D+相当のモンスターぐらいがエリアボスの候補になりそうな予感がします。
私がまだ見たこともない脅威度Dや脅威度D+のモンスターの可能性もありますが、脅威度D周辺のモンスターは楽勝ですの。
私としては出来るならオーク系のモンスターが理想ですね。
オーク系のモンスターはお肉をドロップするモンスターだからです。
スケルトン系なんて骨ばかりなので美味しいお肉はきっとドロップしそうにありませんの。
今度こそは美味しいお肉を手に入れようと思う今日このごろです。
明日からはエリアボスなので今日は休みます。
では、おやすみなさいmm
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




