第167話 十階層の安全地帯にて
エリアボスの部屋の前で
十階層の安全地帯に滞在している冒険者さんに事情や情報のやり取りです。
カスミ:
あのう。私はカスミールと言います。
グレース:
おっ? 噂のカスミールちゃんだね。
副リーダーから話は聞いてるよ。
私はグレースと言うんだよろしくな。
それで? なにが聞きたいんだい?
色々と情報を集めながら進むっていうのは聞いてるからね。
答えられる範囲であれば・・・さ。
カスミ:
ここまで来るまでに罠を作動させなかったからか、モンスターに遭遇しなかったのです。
罠以外ではモンスターに遭遇しないダンジョンなのですか?
グレース:
そんなことが起るんだ。知らなかったよ。
罠を作動させないでここまで来るなんて不可能だと思ってたからね。
足元には注意して移動しているはずなのに、いつのまには誰かが罠を起動されてしまうんだ。
罠は足元だけではなく、足元に注意が向くとそれ以外から罠を作動させるスイッチに誰かが触れる。
そんな訳がないと思えるような所なんだ。
カスミールちゃんは隠密系のクラスの罠探知や察知だとかのスキルレベルが優秀なんだな。
カスミ:
大したことないですよ。
これから先のモンスターも罠を作動させないと出て来ないとかですか?
グレース:
さあ。どうだろうな?
私の担当は上層だからな。
上層ならその通りさ。
中層以降がどうかはまでは分からない。
十階層のエリアボスや二十階層の階層ボスもランクAと同じ脅威度Dだから強いモンスターでもないしな。
ここ上層で気を付けると言えば、突然現れる罠の作動するスイッチぐらいなものさ。
カスミ:
ランクAとランクSってそんなに変わりますか?
脅威度が一段階下がるってそんなに変わりますか?
グレース:
モンスターの脅威度が一段階下がるだけで、かなり楽になるからね。
階層が深くなると脅威度が一段階も違うなら、その恩恵というかモンスターの強さが変わるからね。
上層程度のモンスターぐらいならランクSでの脅威度Dであっても楽なんだけども更に一段階下がる訳さ。
上層で手応えを感じるなら脅威度Cぐらいからじゃないかな。
まぁ、そこまでモンスターを放置することはパルチ山ではあり得ない話だけどね。
上層と深層や最下層のモンスターの脅威度を比較すると確かに深い階層であるほどモンスターが強いです。
脅威度が一段階下がるってことは深層でも下層と同じ強さのモンスター。
ダンジョンが変わって連続した階層ではないので同じ脅威度が続くって訳ではないですが、強さを比較していくと楽に戦えるってことになるのかも。
私には、まだその違いが分からないですね。最下層の脅威度SSでさえも強いとは思えませんでしたからね。
世界の脅威の因子を持ったゴブリンは面倒で強かったですが、全力で戦う必要のあるモンスターではなかったは私の力に余裕がある証拠ですからね。
四分の一まで解放した謎の存在は、これまでの中では強いと感じました。それでも四分の一なのです。
剣神ジョア様の能力値と同じにしたのもその方は動きやすいと思ったからですしね。
今の所は、私が力の制限なしに全力で戦える相手はいません。力を制限した上で全力で戦わなければならない相手はいましたよ。
少し面倒かなと思った相手もいましたが私にとって脅威ではなかったのです。
えっ? 全力で戦える相手と戦いたいんじゃないのって?
私は戦闘狂はないので出来れば避けたいです。世界の脅威の時は全力で戦うことになりそうですし、それまでは控えめで目立たないようにしたいの。
ー閑話休題ー
カスミ:
食事の話ですが・・・
グレース:
おっ? 腹が減ったのかい?
それとも食料補給かい?
カスミ:
いえ。どちらも違います。
ダンジョン内で頂く保存食の美味しい食べ方を教えていただけると助かります。
グレース:
それは出来ないわ。
カスミ:
えっ? どうして・・・
グレース:
調理担当がここにはいないからだね。
私たちには人に教えられるだけの調理技術を持っている者や料理が出来る者はいないんだ。
料理が一切出来ないって訳ではないんだが、料理関係のスキルを持っている者が作った方が美味しいからさ。
補給部隊と一緒に来る料理スキルを持つ者が作って行くんだ。
補給部隊も二~三日ぐらい滞在してから次の安全地帯にいる仲間の元へと向かうんだが、ここの安全地帯には今はいないのさ。
カスミ:
そんな事情があったのですね。
グレース:
カスミールちゃんは先発だから後から到着する冒険者と一緒に来ると覆われる料理スキルを持つ者には会えないと思う。
到着予定は団体行動であることや罠の関係で遅くなることを予想しても四日~六日後を予定している。
このまま待たずに出発すれば中層のエリアボスのがいる三十階層や階層ボスがいる四十階層ぐらいまでは行けるはずさ。
私が料理スキルの人を待たなければ、どんどん私との差が広がっていくのは分かります。
美味しい保存食の食べ方や調理方法のバリエーションは増やしたい所でしたがここは我慢するしかなさそうですの。
緑の勇者様の状況を確かめるために先発してる訳です。
後発組に追い抜かれたりすると意味がないものになってしまいます。そうならないように私は待つ訳にはいかないのです。
グレース:
その様子だと待つ訳にはいかないって感じだな。
まぁ、それも仕方ないさ。
カスミールちゃんには先行して貰うように冒険者ギルドが指名したんだからな。
カスミ:
あの指名って冒険者ギルドからだったのですか?
王都のギルドマスターが推薦したって聞きはしましたが・・・。
私を指名した理由はフットワークが軽かったからだそうです。確かに、パルチ山のランクSやタイガの大森林のランクSのどちらにしようか迷っていましたが緑の勇者様の関係でグランドワール王国のランクSは諦めました。
その後直ぐにグランドツール共和国へ行ってエルフル遺跡群のランクSを攻略しました。
それがフットワークが軽いと思われたみたいですの。
エルフル遺跡群のランクSを攻略した後はゆっくりしているかと思っていたら、タイガの大森林のランクSに挑戦中? と聞けば、そう思われても仕方ないもの。
明日はエリアボスに挑戦です。
脅威度Dのモンスターなので余裕でしょう。
少し遅めの食事になってしまいました。
いつもの力が発揮出来るように今日はもう休もうと思います。
それでは、おやすみなさいmm
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




