第163話 「用意する物」と「必要な物」
準備の前段階
私の分の食事の用意は賢者の一族の方にお願いしてあります。ダンジョンの途中で転移門を使って食料を受け取りに行けば、保存食ではない食事を毎回食べることが出来ます。
見つからないようにしないといけないのはひと手間ですが、美味しい食事にありつけるのならこれぐらいは我慢しないとね。
魔性の微笑みのメンバーも女性冒険者さんが多いから料理が出来るとかで美味しい保存食をいただけるかもしれないってことに少しだけ期待しておきます。
女性=料理出来るってことではないのでマシマズな展開や誰も料理なんて出来ないなんてあり得そうな展開は余所に避けておきます。
「やっぱり、フラグだったかぁ~」ってなりたくないのです。フラグが立つ前にへし折っておくべきかと。
美味しい食事を取ると活力が湧きますから美味しい食事は大切なの。
緑の勇者様が木で囲まれた檻のような所に閉じ込められているなら、その木を外側から何とか出来る道具が必要と思うの。
斧で十分かと思うのですが、そうでない場合も考えておかないとね。さすがに聖剣で木を切るっていうのもおかしな話ですし、聖剣の存在は一目で緑の勇者様には見抜けれそうなの。
巨木だと容易に切り倒すことが出来ないです。
直径五十センチぐらいまでなら一撃で斬り倒せそうですが、十メートルを超えて来ると一撃では厳しいと思うの。
魔王ガリア:
巨大な斧を作ろうか?
カスミ:
お願いしたいのですが素材が必要ですよね?
魔王ガリア:
ああ。そうなるな。
用意して貰った鉱石は前回のケートで使ってしまったからな。
新たに鉱石を用意する必要があるのは変わらないな。
カスミ:
予算の問題があるので今回は遠慮しておきますね。
魔王ガリア:
そうか。分かった。
必要な時が来れば言えば良い。
カートを作るのに凄い金額を使ってしまったの。また、同じぐらいの予算が必要となるとお金が足りないと思うの。カートの時でさえ四百億もの大金を使ってしまいました。
聖銀の矢のオークション得たお金と鋼鉄シリーズで得たお金の殆どを使って何とか用意出来た金額なのです。さすがに、もう一度四百億ものお金は無理なのです。
木を切る道具関係は様子見で結果は急がないで先送りにしたのです。
状態を確かめてからでも遅くはないという判断なのです。手持ちに良く斬れる斧だけは良いしておきます。
緑の勇者様のスキルはどんなスキルだろう? 青の勇者様は「水神」という水に纏わるスキルでした。
赤の勇者である私のは「迅雷」で雷に纏わるスキルです。迅雷(じんらい)も神雷(じんらい)と置き換えることも出来るので「神(じん)」という文字が絡んだスキルかもしれませんね。
タイチ
「風神」とかありそうじゃないか?
カスミ:
何故か楽しんでいませんか?
タイチ:
時にはそんなこともあるのさ。
風魔法の魔力は緑色の魔力だ。
風に纏わるスキルってことで「風神」が僕の中では第一候補だね。
カスミ:
それなら私の「迅雷」はどう説明するのですか?
雷で良いなら「雷神」でも良かった訳です。
それが「迅雷」ですよ。
説明出来る理由がありませんの。
タイチ:
そうだな。カスミの「迅雷」が無ければ僕の予想も成立するけど、「迅雷」があるから容易には予想出来ないって訳か。
カスミ:
でも、青の勇者様の予想はアリと思いますの。
確かに私は赤の勇者ですが、雷が赤色という私の【色】とは関係ありませんの。
青の勇者様の「水神」なら青色という青の勇者様の【色】に関係ありますもの。
緑の勇者様の【色】が緑色だから緑の勇者様と呼ばれる由縁ですの。
こう考えると私の「迅雷」だけがおかしくて、青の勇者様の「風神」も強ち間違っていると思えません。
ただ、緑色を連想するようなスキル名ではないので「風神」という説はないと思いますの。
青の勇者様の考えに駄目出ししてしまいました。
何かしらの要因があって「水神」「迅雷」が決められていると考えると緑の勇者様のスキルも意味があるスキルになるはずなのです。
私のスキルが「煉獄」のような炎の赤色を示すようなスキルであれば色んな説が考えられます。
ですが、何の繋がりも意味も不明な情報では無意味ですからね。
まぁ、適当に考えるだけでも楽しかったのでこれもまた良しとします。
人は考えることが出来るのです。思考するということは人としてアリなのですからね。
てな訳で、色んな準備に関しては賢者の一族の方に丸投げするとして私は私でランクSダンジョンの攻略へ向けてや緑の勇者様の行方を探せる方法を考えるとします。
カートを使う場面もあるでしょうから、ディーネさんか緑の勇者様を探知や察知で探れる範囲を広げたり、精度を上げたりするしかなさそうです。
カスミ:
そんなことは可能でしょうか?
魔王ガリア:
その機能をカートに搭載するってことか。
面白そうだな。
探知や察知ならスキルが使える者が負担すれば良いだけだから・・・あれはこうして・・・賢者アレク殿には犠牲になってもらって・・・。
カスミ:
あのう。魔王ガリア様?
タイチ:
ああなっては、もうこちらの話は聞こえていない。
アレク。ごめんな。
ガリアの犠牲になってくれ。
賢者アレク:
儂は構わんぞ。
魔石の使う数が増えるだけじゃろうて、魔石を集めるのはお主の仕事だしの。
カスミ:
えっ? 私ですか?
賢者アレク:
そうじゃが・・。
魔石を集めるためにモンスターを狩るのはお主の仕事じゃからの。
探知や察知の類のスキルの拡張は少しカートの設定を変更するだけ出来そうなの。
ただし、そうすると消費エネルギーが多くなるのでそのエネルギーの元である魔石を集める必要があり、魔石集めは私のお仕事って・・・ねぇ。 結局は私に戻って来るのね(;^_^A
スキルの範囲拡大だから? 消費エネルギーが増える。
スキルの精度アップだから? 消費エネルギが増える。
何かが違うように気がするのは私だけ?
消費エネルギーが増えたら出来るような内容なのかしら。
タイチ::
気にするな。気にしたら負けだ。
カスミ:
どういうことですか?
タイチ:
最初から範囲拡大や機能精度アップは組み込まれていたと思う。
「備えあれば憂いなし」って言葉の通りってことさ。
たぶんだが、僕たちが考えられないことや信じられないようなことが組み込まれていると思う。
その内に拡張していくとカートはとんでもない物に変貌を遂げると思うぞ。
そんな話をすると魔王ガリア様が眼を逸らしたような気がしました。
さぁ、明日は合同の説明会があるので明日に備えようと思う今日このごろです。
それでは、おやすみなさいmm
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




