第160話 私必要ですか?
第七章の始まりです。
おはようございます。今日も元気なカスミールです。
タイガの大森林のランクSの攻略を途中で切り上げ、パルチ山のランクSに到着してから十日が経過しました。
タイガの大森林のランクSでは緊急の救援要請だと急かされたと私は感じていたのですが、パルチ山のランクSの冒険者ギルドで十日間も足止めされているのです。一体なぜ?
他の冒険者さんたちに同行して貰って、ランクSダンジョンに挑戦することになりそうです。人の目を気にする秘密が多い私にとっては迷惑でしかありません。
アイテムポーチ使えないし、聖剣や勇者の力など色々と制限という名の不都合な部分が多過ぎます。
この十日間では大量の荷物が準備されて、大勢の屈強な冒険者さんがパルチ山のランクSのダンジョン管理局に集り始めています。
救援要請を気軽に引き受けたのは間違いだったのではないかと思うぐらい大規模になっていく様子に驚くしかありません。この人たち全員が私と一緒に行くのかな?
ランクSダンジョンに挑戦していたSランク冒険者パーティーのリーダーさんたちは先発の緑の勇者様と同行していたので第二陣と招集された冒険者さんがSランク冒険者さんだけではありませんの。
・ランクSに探索許可が出る範囲のAランク冒険者さん
・ダンジョン探索はダンジョン街止まりのSランク冒険者さん
・ダンジョンを知らないSランク冒険者さん
緑の勇者様との同行に漏れた人たちが招集されたってことなのです。
レベルと熟練度が足りなくてSランクになれなかったAランク冒険者さんだけが頼りになりそうですね。
Sランク冒険者さんはランクSダンジョンの経験が無いっていうことが心細いと思う要因なのです。
これだけの人数になればダンジョン内での戦闘に苦戦しようですし、初顔合わせでは私としては微妙かなと判断しました。
もちろん、気付かれないように天眼を使っていますよ。
天眼で確認した範囲では何も問題はなさそうな冒険者さんたちばかりです。
ギルドマスターからお話があると聞いたので執務室へと向かいました。
カスミ:
あのう。私はカスミールと言います。
今日はよろしくお願います。
ギルマス:
ああ。よろしくな。
お嬢ちゃんが有名な『攻略の幼女』で良かったのか?
カスミ:
私はそう呼ばれたくありません。
ギルマス:
タイガのギルドマスターからも聞いてはいるが、冒険者からそう呼ばれるのを止めることは無理だな。
慣れろとは言わないが、諦めるしかないと思うぞ。
カスミ:
そうですね。仕方ありません。
それでご用件は何でしょうか?
ギルマス:
お嬢ちゃんには先行して一人で深層に向かって貰いたい。
深層で一体何が起っているのか調査したいが冒険者ギルド本部の考えだ。
カスミ:
緑の勇者様や冒険者さんの救援しなくても大丈夫なの?
ギルマス:
それは集まって貰った冒険者に任せることにした。
お嬢ちゃんがソロ冒険者だから単独で先に行って貰うことにしたんだ。
大人数だとどうしても進行が遅くなる。
それだと間に合うことが間に合わないって事情もあるからな。
救援が可能ならば救援して貰っても構わないってことだ。
後続がいるってことだけを伝えて貰えば良いことになっている。
カスミ:
どうして、そんな決定になったのですか?
私と少数精鋭で進行することにしても問題なかったのでは?
ギルマス:
少数と言っても補給などを考えると最低でも十人ぐらい必要になって来るんだ。
お嬢ちゃん一人分ぐらいなら安全地帯に待機している冒険者から食料を分けて貰っても対応出来るからな。
どうせ、後続が食料を持って補うから問題ないとしたのさ。
それにソロで活躍している冒険者はソロじゃないと駄目な理由=秘密があるはずだ。
ランクSを一人で攻略してしまえるほどの秘密なんだから他の冒険者に知られるよりはマシだと思うからな。
俺たちギルドマスターがそう配慮した訳だ。
王都のギルドマスターに後で礼を言っておけよ。
カスミ:
えっ? 王都のギルマスに?
この件に王都のギルマスが絡んでいるの?
ギルマス:
ああ。彼がお嬢ちゃんなら一人で問題ないと言ったからさ。
カスミ:
そうなのですね。
分かりました。機会があればお礼を言っておきますね。
それで、冒険者ギルドが何処まで情報を知っているのですか?
ギルマス:
お嬢ちゃんの秘密についてか?
それとも緑の勇者様についてか?
カスミ:
もちろん、緑の勇者様についてですよ。
ギルマスから冒険者ギルドが把握しているであろうと今回の件についての情報を色々と教えて貰ったり、相談して問題の解決へと良い方法の摸索に努めました。
・緑の勇者様は約六十日ぐらいで深層に到達したそうです。
連絡が途絶えた七十一階層~七十九階層の何処かにいると考えているそうです。連絡が途絶えてから十四日ぐらい経過しているそうです。
ここで十日も足止めされなければもっと速く辿り着ける要素はあったかもしれません。
・食料などの生活用品の不足などの心配は不要と考えている点。
緑の勇者様にはアイテムポーチがあるのでハグレてしまった冒険者の方が心配だが、たぶん大丈夫だろうということです。
全員が一緒にいるなら食料は十分にあり心配する必要がなく、ハグレてしまっていたらの場合だけらしいですの。
・誰かが怪我などをいている可能性を否定は出来ない。
だけど、誰かが亡くなると言ったことは報告を受けていないので全員命に関しては無事と言えるそうです。
冒険者ギルドの端末で生死の確認が出来ますからね。直ぐに調べたのでしょうね。
・通信の魔道具が壊れたなど不都合があっただけかもしれない点。
通信の魔道具は同行している冒険者が一つ持っているだけで故障とかに不慣れであるそうです。
七十階層の冒険者と八十階層の冒険者から連絡は途絶えていないことから通信障害ではないと判断してます。
・緑の勇者様には聖女アンズ様と魔剣のディーネさんが常にお傍にいるそうです。
パルチ山のランクSは現在は閉鎖中なので、関係者以外の冒険者はいないので人を見つけたら声をかけて身元を確認して下さいってことです。
特に女性三人だと勇者様や聖女様の可能性が高いとのことです。
ダンジョンの閉鎖というよりは緑の勇者様の邪魔をしないようにと配慮した結果だそうで、私がパルチ山のランクSに挑戦出来なかったのも同じ理由からでした。
ここパルチ山のランクSを専門に探索している冒険者パーティーにダンジョン攻略については別途説明して貰ってくれとも言われました。
詳しい事情は専門家に聞けってことでしょうね。必要な物はダンジョンマップも教えて貰えるよう手配しているそうです。
本当なら、そんな情報は極秘事項です。他の冒険者パーティーに情報を提供するような内容ではありません。
緑の勇者様関係のお陰でそれを強制してしまったようですね。情報共有は大切なので頂いた情報は大切に扱わせて貰いますね。
集まって来た冒険者さんと行動を共にしなくて良かったと思う今日このごろです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




