第159話 タイガの大森林のランクS 冒険者ギルド
これにて第六章は終わります。
次話からは第七章が始まります。
私の存在に気付いて近づいて来たのは冒険者ギルドの女性職員さんでした。
受付の女性職員さんとは違う冒険者ギルドの制服を着用しているので直ぐに分かりました。
ダンジョン専用の冒険者ギルドでは受付担当さんとその他の職員さんとでは業務の内容と制服が異なっています。
受付担当業務を行う日もあればそれ以外の業務を粉う日もあるので同じ職員さんがずっと受付業務を担当する訳ではありません。
町や都市などにある冒険者ギルドとは少しだけ職員さんの業務が異なるようです。それは仕方ないと思います。
ダンジョン専用の冒険者ギルドなのですから、それ以外の業務は必要ないのです。冒険者以外の方から依頼を受注するなんてことはありませんからね。
「ダンジョンで〇〇を採取してきて」という依頼はランクSでは受け付けていません。
ていうか、依頼する人がランクSまで来て依頼するよりも最寄りの冒険者ギルドに依頼した方が安全です。
エルフル遺跡群のランクSは例外のようですが、それ以外のランクSは道中が大変だったりしますからね。
女性職員:
カスミールさんですね。
カスミ:
はい。そうです。
女性職員:
こちらの部屋で暫くお待ちいただけますか?
そう言われて応接室のような部屋に案内されました。暫くするとギルドマスターらしき人物が部屋に訪れました。
待っている間に出された飲み物を飲み終わるまでの時間だったので、そんなに長い時間待った訳ではありません。
ギルマス:
ようこそ。攻略の幼女
私が当冒険者ギルドのギルドマスターのゲイルと言います。
カスミ:
その攻略の幼女という呼び方は止めて貰えませんか?
ゲイル:
私が呼ぶのは止めることが出来るでしょうが、他の冒険者が『攻略の幼女』と呼ぶことまではもう我々では止めることは出来ません。
冒険者ギルド本部で行われたエルフル遺跡群のランクSの攻略の事情聴取の際にそれを参加していた冒険者の誰かが『攻略の幼女』と呼び始めたことが発端のようでした。
そう言えば、私の情報が出回るのも凄く早かったと思いました。
冒険者ギルドへ行くと普段は小さな子供が来た時みたいに微笑ましい目で見られることが多かったのですが、事情聴取の後ぐらいからは私の一挙手一投足まで注目を浴びてたように思います。
それで冒険者ギルドの要件はと言うと予想していたように緑の勇者様の救援要請の依頼でした。
目的地はパルチ山のランクS。
パルチ山付近のランクSはパルチ山のランクSと呼ぶ人が多いそうです。わざわざ「付近」をつけなくてもパルチ山のランクSというだけで通じてしまうからだそうです。
パルチ山のランクSは平原タイプの環境変化型のダンジョンです。
環境変化で大変な思いをするダンジョンなので出来れば避けたかったのですが仕方ありません。
報告を受けた現地の冒険者によると、緑の勇者様一行は八十階層の階層ボスにある安全地帯には到着していないそうです。
七十階層のエリアボスの安全地帯を過ぎた所までは確認出来ているらしく、その後から連絡が途絶えてしまっているのだとか。エリアボスを倒して次の階層へ向かった所までは確認出ているそうです。
七十一階層~七十九階層の何処かにいるのではないと言われています。
到着予定日時よりも遅れているのは間違いなのですが、連絡を取れなくなったというのは通信の魔道具で定期的に通信を行っていたが、連絡が途絶えてしまったということだそうです。
緑の勇者様たちって大人数で探索しているのでは? そう聞いています。
二十人や三十人ぐらいでダンジョンを探索しているなら、そんな大勢が分断でもされなければ連絡が取れない状況に陥らないと思うの。
何かしらの要因があって連絡が取れなくなった。
それがディーネさんには問題ないと判断出来るほどの状況だったと考えると今の私が得た情報だけでは原因不明としか言いようがありませんね。
緑の勇者様の救援という名目で各国に助力を求めることが出来ます。タイガの大森林からパルチ山まで飛竜で運んで貰えるなんて無茶な要請まで出来てしまいますの。
あっ、飛竜はグランドツール共和国に応援要請して融通して貰ったそうです。
私が最下層から地上に戻って来たからと言っても飛竜が直ぐに用意出来ている訳ではありません。
グランドツール共和国の方へ連絡して飛竜の依頼しなければなりません。
飛竜は明日の昼頃までには到着するだろうと言うことで今日と明日の昼ぐらいまでゆっくりして欲しいってことでした。
宿屋や食事の代金は冒険者ギルドが持つそうで、私が支払う必要はないそうです。
そうは言っても、ここはタイガの大森林のランクSを管理する冒険者ギルドです。宿泊出来る施設はあっても豪華な食事が出来るような飲食店はありません。
ここは街ではありませんからね。簡易的なお店が立ち並ぶ程度でしかありません。冒険者ではない一般の人が迷い込むような場所でもありません。
武器屋、防具屋、魔道具屋、道具屋などダンジョン探索に必要な物を販売しているに過ぎないのです。
一般の生活物資が全くない訳ではありません。冒険者ギルドの職員さんが仕事明けに利用出来るぐらいの物は売っているみたいです。
足りない物の殆どは他の町から取り寄せになるんだとか。
エルフル遺跡群のランクSを管理する冒険者ギルドの職員さんが、普段の生活が不便なランクSの所属にならなくて良かったと言っていました。
あの時の言葉の意味はこういうことだったのでしょうね。
ここタイガの大森林のランクSを管理する冒険者ギルドでは簡単に説明して貰って本格的な事情が要望などはパルチ山のランクSを管理する冒険者ギルドの方で行われるそうです。
私たちは取次することと明日には飛竜で迎えに来ることを伝えるだけが業務なんだとか。
具体的な依頼内容やダンジョンに持ち込む必要な物資の準備とかは向こうでも行われてはいますが、私が必要だと考えて持って行く物があれば、ここで買い揃えても構わないって伝言も預かっていました。
どれだけ私を頼りにしているのかが容易に想像出来ますの。
ランクSを探索出来る冒険者が足りないのでしょうか? それとも他に理由があるのでしょうか?
今夜は気になって眠れないかもしれないので、さっさと食事をして休もうと思う今日このごろです。
それでは、おやすみなさいmm
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
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