第158話 「訃報」は「誤報」
勘違い
青の勇者様に私に冷静になれと何度も言われてしまいました。
緑の勇者様が亡くなったのですから仕方ないと思いませんか?
カスミ:
緑の勇者様がお亡くなりになったのですよね?
男性冒険者:
緑の勇者様が亡くなった?
そんな報告は受けていない。
緑の勇者様と同行している冒険者の一部と連絡が取れなくなったという報告のはずだ。
カスミ:
えっ?
連絡が取れ・・・なくなったと。
私の勘違いでした。ごめんなさい。
私の勘違いで暴走な妄想をしてしまいました。恥ずかしいのです。
そして、緑の勇者様に「ごめんなさい」なのです。勝手に亡くなったことにしてしまったお詫びなのです。
でも、緑の勇者様が亡くなっていなくて良かったです。
応援要請や救援要請とは? どうして私になのでしょうか。
カスミ:
どうして私に救援要請や応援要請なのでしょうか?
男性冒険者:
どうして、お嬢ちゃんに依頼するのか理由までは分からない。
冒険者ギルド本部や冒険者ギルドのギルマスがお嬢ちゃんを指名しているらしい。
「攻略の幼女に出会う機会があれば冒険者ギルドが救援要請している」と伝えてくれと言われているだけだ。
そう伝達されただけだから俺たちが詳しい事情なんか知っているはずがない。
確かに伝えたからな。
要請を受けるを断るかはお嬢ちゃん次第だ。断っても何も問題ないと思うぞ。
もう直ぐ、このランクSダンジョンでも最下層に到達する訳だしな。
一度地上に戻れば最初からやり直しになる訳だから、どちらを優先するか選択権に猶予はあるはずだ。
緑の勇者様と同行しているディーネさんが賢者アレク様に何も連絡もありません。ディーネさん自身が現状は問題なしと判断したと思いますの。
そこで私が救援や応援に無理に出向かなくても問題ないってことが分かります。
冒険者ギルド本部や冒険者ギルドのギルマス?
たぶん、王都のギルマスのことなんだろうと思うけど、ギルマスが要請する訳だから要請を引き受けても良いと思います。
地上に戻るにも安全地帯に設置されている転移の魔法陣を使わないと戻れない訳ですし、八十階層か八十一階層の安全地帯の何処かに転移門のポイントを設置しておければ、救援や応援が終わってからでも最下層にまで直ぐに戻って来れます。
転移門使って王都の自宅まで戻るっていう方法も考えましたが、取り敢えずは転移の魔法陣を使って地上に戻った方が私の秘密を守るためには安全と思いました。
地上に誰かを待たせているとランクSダンジョンの最下層近くから王都の自宅まで転移出来ることがバレてしまいますからね。
後々、面倒なことが待っているなら安全策を取る方針で良いと思いますの。
カスミ:
救援要請と応援要請は確かに受け取りましたわ。
男性冒険者:
ああ。分かった。
その救援要請や応援要請は出来るなら受けて貰いたいんだ。
俺らのリーダーが緑の勇者様と同行しているのは知っていると思うが、連絡が取れなくなった冒険者が俺らのリーダーじゃなくても助けて貰いたいのが本音だ。
ランクSダンジョンに挑戦しているSランク冒険者パーティーの各リーダー連中が緑の勇者様に同行しているからな。
出来るなら全員無事に戻って来て欲しい。
そう願うのが今の俺たちに出来ることだからさ。
もし、要請引き受けて貰えるならリーダーたちのことを助けてやってくれ。
カスミ:
要請には応じるつもりです。
助けられるかどうかまでは保証出来ません。
男性冒険者:
そうか。ありがとうな。
要請に応じて貰えるだけでも助かるよ。
私は男性冒険者さんと別れて、最下層の入り口である八十一階層に降ります。
転移門のポイント設置と最下層はこれまでの階層とそう変わらないと思うけど、一応どんな所かを確認してから地上に戻っても遅いとは思わないからです。
カスミ:
これがタイガの大森林のランクSの最下層ですか。
他の階層と変わった様子はありませんね。
タイチ:
それはそうだろうな。
砂漠のダンジョンだから砂漠しかないのは仕方ない。
それにこれまでだって砂漠だっただろ。
それよりも転移門のポイントを設置してから上に戻るんだろ。
早くした方が良いんじゃないか?
カスミ:
いえ。まずはディーネさんに情報を聞いてからでも遅くはないと思います。
賢者アレク:
ディーネには聞かなくても問題ない。
何かしらの問題があれば連絡するように言っておるからな。
連絡がないってことはディーネが問題ないと判断したのだから大丈夫だ。
それよりも上で情報を得た方が良いと思う。
どんな応援や救援が必要なのかを知ってから対処した方が良いからな。
カスミ:
そうですね。
まずは、転移の魔法陣で地上に戻ってからですね。
転移の魔法陣は八十階層にあります。
八十一階層に転移門のポイントを設置してから八十階層にまで戻って魔法陣で地上に戻ります。
冒険者ギルドでは冒険者カードでダンジョン入場者の管理を行っているので私がタイガ大森林のランクSに挑戦中だったことは知られていました。
そうなるでしょうね。冒険者ギルドが所有している端末を使えばどの冒険者が現在どのダンジョンを探索中なのか調べることが出来ますからね。
まだ、その機能は完成しておらず、どの階層にいるかまでは調べることは出来ません。
私を探す場合だと「カスミールという女性冒険者」「同行している冒険者の有無」をダンジョンを管理する冒険者ギルドの端末を使って調べると「タイガの大森林のランクS」「生存」「同行者なし」と言った情報を探ることが出来ます。
「タイガの大森林のランクS」については使用した端末を管理する冒険者ギルドを指すだけなのです。
エルフル遺跡群のランクSの冒険者ギルドの端末ではタイガの大森林のランクSの情報を調査することは出来ません。「調査対象:なし」という結果になるんだとか。
まだまだ、開発の余地のあるような仕組みですね。
思ってたよりも不便です。冒険者ギルドなどの仕組みは凄いと思っていましたが意外でしたの。
転移の魔法陣を使って地上まで戻って来てダンジョンの出口から私が出るとそれを待ち構えていたように近づいて来た冒険者ギルドの職員さんがいます。
いつダンジョンから戻って来ても直ぐに対応出来るように伝達されていたのでしょうね。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
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