第156話 深層 階層ボス
グダグダ
おはようございます。今日も元気なカスミールです。
今日の予定は七十九階層と八十階層の攻略が目標ですの。
八十階層は階層ボスのいる階層なので深層の移動も、実質は七十九階層の後半の安全地帯までなのです。
ただ、ちょっとだけ気になることがありますの。
七十一階層~七十八階層までに登場したモンスターが元の世界の『干支』に纏わったモンスターであることに気付きましたの。何かしらの嫌な予感がするのです。
ー七十一階層と七十二階層ー
十二支の『子』『丑』『寅』に該当するネズミ、ウシ、トラのモンスター
・砂漠のネズミと大鼠
・狂牛
・砂漠の虎
ー七十三階層と七十四階層ー
十二支の『卯』『辰』『巳』に該当するウサギ、ドラゴン、ヘビのモンスター
・砂漠の殺人兎
・タイラントドラゴン
・砂漠の大蛇
タツは竜とも言いますからドラゴンでも問題ないでしょう。
ー七十五階層と七十六階層ー
十二支の『午』『未』『申』に該当するウマ、ヒツジ、サルのモンスター
・砂漠の馬
・砂漠の羊
・狂猿
ー七十七階層と七十八階層ー
十二支の『酉』『戌』『亥』に該当するトリ、イヌ、イノシシのモンスター
・睡眠鶏
・影犬
・大牙猪
これまでの階層で遭遇したモンスターを振り返ってみると十二支になぞられたモンスターが順番に並んでいるのです。おかしいと思わない方がおかしいと思うのです。
私が元日本人だから気付いたの。
日本に関わりのないこの世界の人なら気付かなかった順番なのですしょうね。
ただ、これが何を意味するかまでは分かりませんの。
本当にただの偶然の出来事なのか、それとも意図して並べられた順番なのか分かりません。
おそらくですが、意図的に並べられた順番だと思うの。
だから、何となくですが嫌な予感がするのです。
七十九階層ではモンスターに一度も遭遇しませんでした。
益々、十二支になぞらえたモンスターの順番が気になって来ます。
安全地帯にいる冒険者さんに聞いてみましたが「分からない」が回答でしたの。
まぁ、それは仕方ないですよね。
この世界の人に十二支を知っているのは、私と青の勇者様と緑の勇者様の三人だけですから。
私だけが不安になっているなら良いのですが、何か問題という名のトラブルが発生しないことだけを祈るしかないのかな。
カスミ:
青の勇者様はこれについてどう思いますか?
タイチ:
僕かい? そうだね。
何かしらの意図はあると思う。
だけど、それが何かと問われると答えられないってことだね。
おそらくは、神の仕業だと思うけど何の目的があるかまでは予想出来ないな。
最下層やその先の階層なら、脅威度SSクラスのモンスターの前触れと考えても不思議ではありませんが、ここは深層ですからね。
私以外にも他の冒険者さんもいるので迷惑がかかっても問題なのです。
あっ、そうそう。最下層のその先の百一階層~百二十階層の呼び名が決まったと待機している冒険者さんに聞きましたの。
後日、正式名称を公表するまでは「その先の階層(仮称)」という呼び名だそうです。そのままです。ダサすぎです。
誰でも分かり易いですが、他の階層も報告にあった通りって感じなのです。
「上層」「中層」「下層」は普通に意味が分かりますが、下層の更に下の階層を「深層」ってどんな意味で付けたのか私には理解不能です。「最下層」も本当の意味での最深部を確認していないのに最下層と名付けているのです。
どうにも意味が分かりません(><)
七十九階層の安全地帯から、そのまま八十階層に降りて今日は終わりにします。
四時間ぐらいしか稼働していませんが、明日の階層ボス戦に備えて体調を整えます。
おやすみなさいmm
ー閑話休題ー
おはようございます。今日も元気なカスミールです。
今日は予定は深層の階層ボスに挑戦する日です。
いつものように安全地帯で待機している冒険者さんたちが勢ぞろいで声援と共にお見送りして貰えました。
一人で階層の中心へと向かいます。すると、中心付近でいつのもように階層ボスが登場する予兆の砂煙が立ち上ります。
いつでも戦えるように武器を構えて階層ボスを待ち構えます。
聖女アンズ:
何なのですの?
聖女アンズ様が指さす方向には不思議なモンスターがいました。キメラもしくはキメイラと呼んで良いのか分かりませんが、キメラに似たような? モンスターなのです。
元の世界の想像上の生物だとかギ〇〇神話とかに出て来るとか言われています。その想像上のモンスターに酷似しているのです。
元の世界のキメラは、ライオン、ドラゴン、ヤギの頭を持ち、尻尾はヘビで翼をはドラゴンの翼を持ちと言われています。胴体はヤギの身体と言われているそうです。
何か良く分からないヘンテコな生物ですね。
某有名ゲームに出て来るモンスターと言われて初めて理解出来ました。三つ頭のことでしょうね。
天眼で確認した結果ですが、十二支が絡んでいました。
こんな所に十二支が絡むとは思ってもいなかったです。
モンスターの名前は「干支」脅威度S+のモンスターです。
ヘンテコなモンスターに違いはありませんでした。
頭部はゴリラ、イノシシ、ヒツジ、ドラゴンの四つあります。
胴体はトラ、翼はニワトリ、尻尾はヘビ、両足はウマです。
それぞれの部位を継ぎ接ぎして作ったようなモンスターです。
十二支には後四体の動物が足りません。
ウシ、ネズミ、ウサギ、イヌの要素が不足しています。
何か色々とツッコミたい気分が収まらないの。
何がしたかったのか分からないですが各部位は継ぎ接ぎだらけです。
たぶん、接着剤で引っ付けたのような跡もあるしでもうグダグダなのです。
・ニワトリの翼で空を飛べるのか
・ウマのような足で上体の重さを支えられるのか
・接合部分が壊れないのか
・頭が四つもあって大丈夫か
色々と文句が言いたいですの。
カスミ:
こんなモンスターって大丈夫ですか?
タイチ:
分からない。
どうして、こんな姿になってしまったのかも理解出来ない。
聖女アンズ:
お可哀そうなのですわ。
カスミ:
ネタで作ったとか?
タイチ:
いや、小学生が作ったのかもしれない。
聖女アンズ:
その小学生と言うのは芸術的センスのカケラもない方のことですか?
タイチ:
小学生とは僕らのいた世界の子供のことだよ。
聖女アンズ
お子様ですか?
青の勇者様の?
タイチ:
僕は元の世界では未婚だからね。
子供は残していないからな。
聖女アンズ:
そうでしたのね。
突然、何処からか分からないのですがパチンという指を鳴らすような音が大音量で聞こえました。
私はその音が聞こえる方向に顔を向けますが誰もいなかったのです。
確かに、パチンという音は聞こえましたよ。
何度も振り返りましたが、誰もいないのは間違いないのです。
背後から今度はドサっという何かが落としたような音が聞こえて来ました。
また、音がした方に振り返ると・・・キメラの姿がまともな姿になっていました。
身体全体は、まるでトラのようです。
トラの頭部の横にゴリラとヒツジの頭部があります。
翼はニワトリの翼ではなくドラゴンの持つしっかりとした翼です。
この翼なら空と飛んでも問題ないと思える立派な翼です。尻尾はヘビのままでした。
三つ頭のモンスターと酷似していますが、今度はまともなモンスターです。
モンスター名は「干支」のままです。脅威度S+も変化ありません。
干支なのに他の動物がいなくなったのは不自然ですが、今度こそは普通に見えるモンスターです。
さっきのモンスターが遊びだったとしか思えないのです。
カスミ:
どう思いますか?
タイチ:
倒すしかないんじゃないかと思うな。
カスミ:
そうですよね。
私は刀剣の「獄炎」を構えます。干支は考えられない行動で攻撃して来たのです。
ゴリラの顔の部分が鳴いたのですよ。それも「コケッコー」とニワトリさんのような鳴き声です。
この鳴き声は睡眠鶏のものです。
聞き慣れない(耐性がない)と眠ってしまうという鳴き声です。
尻尾のヘビは毒霧を口から吐き出しています。砂漠の大蛇の毒霧です。
猛毒という訳ではありませんが毒の影響が長く続く面倒な毒です。
カスミ:
何か変ですよ。
タイチ:
さっさと倒した方が良さそうだね。
【水神】
青の勇者様が使った【水神】は周囲を濃い霧で覆い始めました。
これで私が何をしても冒険者さんたちには見えないはずです。安心して戦えます。
(カスミ):
天源流 霞斬り
さすが剣神ジョア様が所有していた刀剣です。
良く斬れます。キメラこと干支を一刀両断出来ました。
干支を倒した跡には十二個の魔石が落ちていました。
一体のモンスターを倒したはずなのに十二個の魔石です。十二支が関係するのでしょうね。
ドロップアイテムも多数落ちていましたが、お肉だけはドロップしていなかったのだけは残念です。
どうして私はお肉に避けられているのでしょうか? 誰か教えて下さい。
今回の出来事は他の冒険者さんにモンスターの姿だけは目撃されましたが、どういう方法で倒したのかや一体のモンスターから十二個も魔石や複数個のドロップアイテムの入手は知られていません。
下への階段がある安全地帯の確認も出来たので下の階層へ降りようと思います。
八十階層を終えたので次の階層からは最下層に突入ですからね。
改めて気合を入れて頑張ろうと思う今日このごろです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




