第142話 下層 エリアボス
カメよりウサギ
おはようございます。今日も元気なカスミールです。
今日の予定は五十階層のエリアボス戦に挑戦する日です。
ただ、事前に持っていたダンジョン情報が最近間違っているのではないかと思うようになりましたの。
それはモンスターの脅威度のことですの。
各階層に出るモンスターの脅威度は事前に聞いてた情報に近い情報ですが、エリアボスや階層ボスの脅威度が違っているように思い始めたのです。
下層なら通常のモンスターは脅威度Bです。
エリアボスや階層ボスが脅威度Aのモンスターなのです。
確か、エルフル遺跡群のランクSの時はエリアボスは脅威度B、階層ボスが脅威度Aと聞いた覚えがあります。
それがタイガの大森林のランクSではエリアボスと階層ボスが共に脅威度Aとなっているのです。何処からその認識が違っているのかまでは分からないですが、脅威度が違って来ているのは間違いありません。
それも脅威度Bと言いながらも脅威度Bを超えてしまっていたりもします。
最近のだと四十五階層のスケルトン軍隊の脅威度のことなのです。スケルトンキングだけで脅威度B+です。この時点で既に脅威度Bを超えているのです。
スケルトンガードなどその他のモンスターの脅威度を考えると脅威度A以上は十分にあります。
なにせ六百体を超えるような数のモンスターですからね。脅威度が間違っているとしか思えません。
私が持っている情報が間違っているのか。
それともダンジョンが変わって来ているのかまでは分かりません。
四十九階層に居た冒険者さんも気付いているような素振もありました。砂漠の亀の二十メートル級は脅威度Aです。
三メートルクラスの毒餌を用意しているということは脅威度Aを充たすだけの大きさのモンスターがエリアボスになると分かっているのです。
そうじゃなければ三メートルもの大きさの毒餌を予め用意しておくなんてあり得ませんの。
これが一番恐ろしいことですが、神が私たちの認識を変えてしまったという可能性なのです。
エルフル遺跡群のランクSの百二十一階層で見かけた神が何をしていたのかまで分からないですが、ダンジョン設定を変更している最中で、その後に私たちのダンジョンへの認識を変えてしまったという荒業ですの。
ダンジョンファンタジアでいうGM(ゲームマスター)や運営と呼ばれるような人がシステムの変更や不具合の修正を行うようにゲームの途中で手を加えたら私たちにはどうすることも出来ないのですの。
普通の人では気付けないことが平然と行われていたとなるとお手上げなのです。
でも、それだと安全地帯にいた冒険者さんの認識が変わっていたことの説明がつかないのです。
(タイチ):
既に認識が変更された後だったら辻褄が合うぞ。
タイガの大森林のランクSでの作業を終え、エルフル遺跡群のランクSで作業中だったって説もあるんじゃないか?
(カスミ):
私たちの理解出来ないようなことは神の仕業ってことで良いさそうですね。
(タイチ):
そうだな。
あり得ないような訳分からないことは神の仕業で良いと思う。
今後は触れない方が良いはずだからな。
(カスミ):
はい。そうしておきます。
ー閑話休題ー
カスミ:
えっ? どうして?
情報と違うの?
五十海王で出迎えたエリアボスは予定通りなら砂漠の亀のはずなのです。
それなのにエリアボスとして登場したモンスターはカメさんではなくウサギさんなの。
殺人兎
エルフル遺跡群のランクSで五十階層のエリアボスとして登場したモンスターです。今回はあの時と違って巨大なウサギさんではありませんが数が多いのです。
ウサギさん軍隊
私がこう呼ぶのは間違いないと思います。殺人兎の群れなのです。
その集団の中には角が一本生えているタイプのウサギさんが数体。
角が二本生えているウサギさんもいます。リーダーと思われる存在の頭部には一際大きな角が一本生えているのです。
それにリーダーと思われる個体だけが身体も大きいの。
体長50~60ぐらいのウサギさんの群れの中に一体だけ六メートル級の個体がいれば目立ちもします。
この巨大な殺人兎が群れのリーダー。たぶん、脅威度B+ぐらいはあるのではないでしょうか。通常個体は脅威度D+です。
巨大なウサギで大きな角が生えてとなると脅威度Bでもおかしくはありません。その上に二本角に個体もいる訳ですし、大量のウサギさんばかりなので脅威度Aもしくはそれ以上の脅威度であってもおかしくないのです。
まぁ、大量のウサギさんと言っても二百体ぐらいなのでスケルトンキングの時よりは少ないのです。
驚くような数ではありますが六百体以上のスケルトン軍隊と比べるとね。驚異的な数とは思わなくなってましたの。
この階層全てがエリアボスのボス部屋となっているので、安全地帯の冒険者さんたちが乱入して来ません。
扉が閉まるとかでボス部屋には他のパーティーが後から乱入出来ないようになっているのですが、ダイガの大森林のランクSの場合は安全地帯からボス部屋には進入出来ないようになっているようです。
この広い階層全てがボス部屋ってことなの。
大量のウサギさんを見て私に向かって何かを言っているようですが声までは届かないのです。
カスミ:
賢者アレク様。
魔法職が二重詠唱みたいなことは出来るのでしょうか?
賢者アレク:
それはどういうことじゃ?
カスミ:
一人の魔法職の人が、【火球】と【風刃】を同時に使うなんてことです。
または、【火球】と【炎球】を同時に使ったり、上位魔法も同じように同時に二つの魔法を使えるのか。
または、魔法職ならそれが可能なのかと知りたいのです。
賢者アレク:
要は儂とお主とで魔法を使っても大丈夫か? ってことじゃな。
それも上位魔法を使いたいんじゃろ?
だが、それは止めた方が良い。
技術としては出来ない訳ではないが、やるなら初級と中級までにしておくと良い。
上位魔法や上級魔法を二つ同時はさすがにお主の力が噂になってしまうぞ。
カスミ:
そうですか。
それは不味いですね。
賢者アレク:
魔法で一掃出来れば良いんじゃろ?
それなら良いのがあるぞ。
二重詠唱というか同時詠唱というか分からないですが、一度に同時に二つ以上の魔法を一人の術者が使えるかどうかなの。
私が良く使っている魔法の三連打は早く口言葉のような感じなの。
魔法の呪文を素早く詠唱しているから可能なのです。魔法の発動の時間差が短いだけで、魔法の発動が同時という訳ではありません。
そう言う賢者アレク様に殺人兎を倒す計画を提案して貰いました。
後は教えて貰った通りに実行すれば良いだけなので悪即斬に努めようと思う今日このごろです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




