第134話 上層 階層ボス
階層ボス
上層をサクっと攻略してしまいたいので見える範囲でカートの進行の邪魔になるモンスターは魔法で一掃してます。
探知系のスキルを常時発動しているのは疲れますが魔法の届く範囲でモンスターを見つけると悪即斬なのです。
右手と左手にあるリストバンド型の聖剣の影響で火魔法と水魔法の威力が上がっています。これが勇者の【色】が影響しているからだそうです。
青と赤の両方の【色】が有利に働くのは都合が良いです。
魔石の回収はアイテムポーチで回収をイメージするとポーチに回収されるのでカートの乗ったままの移動でも魔石の回収は出来ます。
このアイテムポーチのアイテムの回収の仕方を青の勇者様に教えて貰って本当に助かっています。ランクEのように手作業で魔石を回収する辛さは二度と御免です。
それでも一階層に一時間使うのは他の階層と同じです。今回も九時間で二十階層の安全地帯まで無理をして進みました。
安全地帯で休むしか休む所が無いのでどのタイミングで休むかが問題なのです。
十一階層~二十階層までの十階層を九時間で移動しています。
仮に途中で休むなら十五階層ぐらいの場所です。五時間経過のタイミングで休むことになります。
八時間といういつも通りの休むタイミングだと十八階層で休むことになりますが、ボス前で休養は取りたいので一時間で休みを取ることになります。
二十階層は階層ボスがいる階層なので移動時間は必要ありませんから十九階層の移動の一時間だけなら無理をして進もうと考えたのです。
十九階層も九階層の時と同じように安全地帯から少し離れた所から安全地帯へ向かって歩きます。もちろんカートの存在を知られないためです。
先に探知系のスキルで安全地帯に人がいることを知っていたのでバレないような工夫はするのです。
えっ? 冒険者側も探知のスキルを使っているのでは?
そういうと思っていました。探知のスキルを掻い潜るスキルは忍者のクラスの隠密のスキルを使えば気付かれないように出来ます。
過去の私と違って隠密のスキルもレベルMAXですからね。完璧に探知を掻い潜れるかと聞かれると見抜かれる場合もあるとしか答えられません。
直感の働く人や脅威度の高いモンスターには気付かれる可能性があります。
「音」「振動」「匂い」「魔力」「気配」の全てを断っても見抜かれる可能性があるのです。
見抜かれた時に理由を聞くと何か違和感を感じたからって言われますが、それは野生の勘みたいなものですから対策は不可能なのです。
ー閑話休題ー
上層最後の階層である二十階層で出迎えた階層ボスもスケルトンソルジャーでした。
十階層のエリアボスと比べると凄く厳ついです。
十階層のエリアボスを冒険者さんの前衛職の方を集めたような集団でしたが、二十階層の階層ボスは騎士団と同じように戦列や装備など色々と整っているのです。
見た目だけでも二十階層の階層ボスの方が強そうとか戦いづらそうな相手だなとかを感じてしまいます。
階層ボスも聖女アンズ様の浄化によって消滅していきます。アンデッド系のモンスターは聖女の力で一掃出来ますからね。
抗えるアンデッド系には注意が必要ですが脅威度が低い内はあらがえるはずがありませんもの。
脅威度D+の魔石を十五個ほど回収しました。
魔石の個数=モンスターの数ですから十五体のスケルトンソルジャーがいたことになります。
見たが強そうに思えても結局は脅威度D+のモンスターであったことには変わりがなかったのです。
何か見た目に騙された気分なのです。ドロップアイテムも無いので収穫は魔石だけです。
私の能力値の運の値は人の運よりも数倍高いはずなのに、ドロップアイテムを得られないのはどうしてなのか常々疑問に思っています。
この運という能力値とは一体どんな効果があるのでしょうか。
タイチ:
考えない方が良いよ。
無限の思考の中に囚われてしまうはずさ。
カスミ:
それはどういうことですか?
タイチ:
知らないぞ。
カスミは運が良ければどういう結果になると考える?
カスミ:
宝くじの一等に当選するとか。
タイチ:
宝くじかぁ。
例えば、五等に当選する確率が九十九%だったとして運が良ければ残りの一%を引き当てる可能性があるってことさ。
普通に運の無い奴は五等に当選する。
当選率は九十九%だから当たるのは普通だ。
だが、運の良い奴がこの一%を引き当てた。
それが悪い結果だったとしても引き当てたことが運が良かったと言える訳さ。
カスミ:
えっ? 運が良かったら悪い結果を引かないんじゃないの?
タイチ:
それが違うんだ。
良い結果だろうと悪い結果だろうと運は関係ない。
その人にとって良い結果か悪い結果かは異なる。
僕には良い結果だったとしてもカスミには悪い結果となるかもしれないんだ。
ドロップアイテムに関してもこう言えるんだ。
どんなに幸運でも必ずドロップアイテムを落とす訳ではない。
確率が操作される訳ではないからな。
確率が優遇される可能性はあるだろうがハズレを引かないとは言えないってことさ。
それもまた運が良いからハズレを引いたってことになる訳さ。
カスミ:
何か面倒ですね。
運良くハズレを引くなんてことは考えたことが無かったです。
タイチ:
あんま深刻に考えるなよ。
飽くまでも僕の持論だからな。
カスミ:
そういうことにしておきますね。
二十階層の階層ボスを倒したので、次の階層からは中層です。上層から中層に変わるので砂漠の状態が変化するかもしれません。
上層では昼間だったのに中層では夜間だったなんてことが起こらないとは限らないですからね。
中層は上層よりも直径が五キロも広くなります。ダンジョンの端(壁)から中心までの距離は五キロ。
上層の二キロ五百メートルの二倍に伸びているのです。かなり広がったと感じるのではないかと思うのです。
モンスターも脅威度Cが普通で、エリアボスや階層ボスクラスのモンスターは脅威度Bになりますからね。
脅威度Aぐらいまでなら現状のままで戦えるという自身があります。もちろん、これは私の様子を伺っている冒険者さんへの対策をしてって意味が含まれています。
見られていない所では余裕だと思います。
隠密使って倒せば分からないかな?
タイチ:
それは無理だ。
エリアボスや階層ボスと戦う場面でカスミの姿が捉えないだけでボスが倒される場面は分かるんだ。
何が起ってボスが倒されたのか分からないだけってことさ。
それを行ったのはカスミしかいないんだから意味ないと思うぞ。
そうですよね。急にボスが倒されても何が起ったのか分からなくても、それを行ったのは私ってバレてるんだから隠れてボスを倒す意味ってないですよね。
私が冒険者さんの近くに居て、勝手に遠くにいるボスモンスターが倒されたなんて場面じゃないと駄目ですよね。
タイチ:
まぁ、ヘタな考えは諦めろってこと。
普通に戦えば勝てるんだからヘタに隠そうしなくても大丈夫だろ。
力を制限していると言っても、あの冒険者たちよりも能力値は二倍もあるんだから問題ないさ。
Sランク冒険者のベテランだと平均レベル200前後です。レベルは彼らの方が上だけど私の方が能力値は高いのです。
そんな私だからこそヘタに力を隠さず技術だけ磨けば良いと言われています。
エルフル遺跡群のランクSの反省に技術を磨くため。
また、新しい技が生み出せるなら作るというのが今回のタイガの大森林の大きな目標なのです。
決して、緑の勇者様が挑戦しているパルチ山付近のランクSに入れなかった当てつけではありませんよ?
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




