第130話 上層 一階層
一階層
早速ですが、タイガの大森林のランクSの一階層へと降りて来ました。
聞いてた情報が間違いないのですが、階段付近は安全地帯なだけに熱風とは強い日差しの影響がないので助かります。
「現実ではあり得ない」と思いました。目の前に広がる砂漠なの? 空と地上の境の地平線が見えるだけでどの方向を向いても変化がないのです。
それも空の青と砂漠の茶色のみ。それでいて上空の太陽はサンサンと地上を照らしているのです。
ここがダンジョンの中だとしても「おかしい」としか言えません。周囲を天眼で確認した情報によると上からの階段はこの階層の端っこなのです。
本当なら右手や左手のどちらがダンジョンの壁に触れることが出来るぐらい近いはずなのです。それなのにダンジョンの壁が存在しないように見えるのですから勘違いしてしまいそうです。
本当にダンジョンの壁があるのか右手で確認してみるとダンジョンの壁らしき物に触れることが出来たのです。
その感触は力自慢の男性が殴っても壊れそうにない固さですが、弾力があって衝撃は吸収されそうな壁なのです。
透明な壁だけに勢い余って衝突しても怪我をしないような配慮が施されているように思いました。
この壁ってモンスターが衝突しても怪我しないってことなのかな? それとも上手い具合にモンスターは壁に衝突しないように避けるとかもあるのかも。
アイテムポーチから魔王ガリア様に作って貰ったカート出して移動の準備を始めます。最初の目的地は下への階段です。
二階層への階段が何処にあるのかまでは分かりませんが、この階層の中心を挟んだ反対側にあると予想しています。
どうして、下への階段の位置が予想出来るのかって?
それはダンジョンファンタジアで攻略する上でのセオリーだからです。
ダンジョンファンタジアでは、各階層の入り口(上からの階段)から遠く離れた位置に下への階段があることが殆どです。
実際にエルフル遺跡群のランクSの一階層でも一番離れた所に階段があったのです。
ゲーム攻略サイトでも、初手である一階層は入り口の反対側を目指せと書かれているぐらいですからね。
それだけ階段から遠い所に下への階段があるのでしょうね。
私でも最初はダンジョンがどのような仕様か知って貰うためには遠い所に階段を設置しそうですしね。
それで階層の中心って何処を指すのでしょうか? 確か、階層は円形だと聞いてはいますが、その中心の行き方は分からないのです。
中学か高校かで学んだかもしれませんが覚えていません。そういうの苦手だったんですよね(;^_^A
カスミ:
青の勇者様は円の中心への行き方って分かりますか?
タイチ:
円の中心かぁ。
分かるけど、たぶん無理だと思う。
カスミ:
それはどうしてですか?
タイチ:
円の性質を利用して中心を求めるんだが直径五キロの円の中心だぞ。
半径だけでも二キロ五百メートルもあるんだ。
その長さを計測する道具が無いからな。
青の勇者様から聞いた話ですが、半径の長さの物で円を描くように印をつけるそうです。そうするとダンジョンの壁と接する点が二つ出来ます。
その二つを起点に同じように円を描きます。描いた円の三つが交差する点が円の中心です。
ですが、半径の長さの物を用意することも出来ないですし、その円を描く物(印となる物)もありません。
砂漠に絵を描くなんてことが出来そうにないので諦めた方が良いそうです。
規模が小さいなら可能ですが、これから先は直径が五キロから十キロ。
十キロから二十キロのように長くなって行くことも考えるとこの方法が使えそうにないってことらしいです。
方位磁石のような物もダンジョンの磁場か砂漠の磁場のどちらが原因かまでは分かりませんが機能しないのです。
これでは方角を知ることも出来ません。仕方ありませんね。
原始的な方法を使って行くしかなさそうですね。誰もが知ってる「右手の法則」です。
今回は右手でも左手でもどちらでも構わないのです。円形なので反対側に辿り着くだけですからね。
目印に土魔法で作った石像を置いて移動することにしました。
上の階層への階段も安全地帯から離れると見えなくなってしまったからです。
私には天眼があるので石像を見失ってどの方向に石像があるのかぐらいなら分かります。
さすがに、距離が離れ過ぎてしまうと厳しいですが、一キロぐらいまでなら石像を設置した位置を知ることが出来ます。
問題なのは下への階段をどうやって見つけるかです。
上への階段も安全地帯をを離れると見えなくなるので簡単には見つけられないはずです。
経験のある冒険者さんの助言があれば助かるのですが、砂漠の虎の関係者さんと連絡が取れませんでした。
えっ? 一緒に馬車に乗って来たのでは?
そう言われると思っていました。
物資の搬送の冒険者さんがランクSの冒険者ギルドに物資を搬入しているだけでした。
彼らに話を聞くとランクS内にいる冒険者さんに物資の搬送はまだ先だそうです。毎日、物資の搬送に行く訳ではないんだとか。
そりゃ、そうですよね。一日ぐらい差があった所で意味がありませんからね。
四~五日ぐらいの時間差で物資の搬送をするそうです。
その物資を搬送を担当する冒険者さんはまだ到着していなかったので情報が聞けませんでした。
馬車で一緒になった人や冒険者ギルドにいる人たちはダンジョンの外が担当だそうです。
ランク低い冒険者はダンジョンの中に入ることが出来ないので外回りのサポートを請け負っているのだとか。
物資を運んで来たので次の日以降のピーナル村へ戻る便で戻って行くんだとか。辺境の地なので馬車の便もたくさんはありません。
今日ピーナル村から馬車が到着すると二日後にピーナル村へ戻るが出発するという仕組みだそうです。
二日に一回の割合で来る便か戻る便かのどちらかとか不便過ぎます(><)
それで大量のマジックバッグを抱えた人が多かったのかも。
ダンジョン探索の情報を持っている冒険者さんから話を聞けなかったので下への階段を探すコツをは自力で模索するしかありません。
安全地帯へ入ると空気が変わる感じがするので正しい攻略法を知るまでは感覚に頼って行くしかありませんね。
ある程度、目視で確認出来る範囲に石像を設置しています。
なんやかんやでダンジョンの外周に石像を配置してしまったような気もします。
やっとのことで下への階段を見つけました。
移動がカートだったので助かりましたが、これが徒歩だったらと思うと大変だなと思う今日このごろです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
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