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赤の勇者 ~ちっちゃい聖女は伝説の勇者様?~  作者: エグP
第六章 タイガの大森林のランクS

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第122話 予定外の出来事

オークションは失敗

 魔術士ギルド本部で魔術書を買取って貰って、ヤマギワ村への旅の準備をしていると冒険者ギルドから呼び出しがありました。ギルドマスターからです。


 忙しいらしく三日後に冒険者ギルドに来て欲しいと伝言を受けました。今日はその呼び出された日です。

 冒険者ギルドへ向かい、受付でギルドマスターに取次で貰います。


ギルマス:

お嬢ちゃん。すまねぇ。


カスミ:

どうしたのですか?


ギルマス:

お嬢ちゃんがオークションに出す予定のポーション類は国が買い取った。

それで、お嬢ちゃんには買取価格に四億ゴールドが支払われることになったんだ。

予定外の出来事が起ったから本来の予定額よりも少なくなってしまったんだ。

すまねぇ。


 ギルマスから詳しく話を聞くと、オークションが国から策略が行われて、スタート価格でしか取引出来なかったんだとか。

 緑の勇者様の一行にいるSランク冒険者が怪我をする者が多くなり始めたらしく聖女様の回復魔法では間に合わないそうです。回復魔法や回復ポーションの類が不足する事態になっているそうです。


 そこで国はどうしても回復ポーション類が大量に欲しいらしくオークションで取引されるような品物を低価格で引き受けるように裏工作をした結果、最低価格でしか売れなかったんだとか。


 万能薬のスタート価格は二億ゴールド。そこから徐々に価格が高くなっていき、最高価格は六億ぐらいに到達する見込みだったそうです。

 欠損を回復するポーションは三億スタート。万能薬は欠損を回復するポーションよりも多機能だけど需要がありません。


 状態異常や欠損などの回復にピンポイントで需要があるのは欠損を回復するポーションのような専門のポーションです。

 万能薬は色んな状態異常に効果がありますが、万能過ぎて使うのは勿体ないという思考が働くそうです。その上に高額だから専門のポーションよりも需要がありません。


 状態異常のなかに『麻痺』という状態異常があります。

これは初級麻痺回復ポーション、中級麻痺回復ポーション、上級麻痺回復ポーションと万能薬で回復することが出来ます。


 一般的に麻痺回復ポーションの使う場面の目途

 

 初級麻痺回復は手足の痺れがある時に使います。価格は銀貨二枚。

中級麻痺回復ポーションがあれば殆どの麻痺という状態異常は回復出来ます。価格は金貨二枚。

 

 上級麻痺回復ポーションは、中級麻痺回復ポーションでも麻痺が治らなかった場合に使います。

 価格は二千万ゴールド。上級麻痺回復ポーションは一般社会では使われるようなことはほぼありません。


 このように麻痺回復ポーションは用途別に使われますが、万能薬はどの麻痺にも効果があります。

 銀貨二枚で買える初級麻痺回復ポーションのように使えますし、上級麻痺回復ポーションのように使えます。


 その上に、複数の状態異常も一つの万能薬で回復出来ます。そんな万能な薬なだけに万能薬で回復しなくても他の回復系ポーションで回復出来るのです。

 それも場合によっては万能薬よりも安価なのです。


 ゲームとかでも効果なレアな薬は最後まで使いづらいなんてアイテムもありますが、万能薬があのアイテムと同じように使われづらい回復ポーションだったとは知りませんでした。


カスミ:

聖女アンズ様がいるのに回復魔法が間に合わないんですか?


ギルマス:

魔力切れには、いくら聖女様と言っても抗えない訳だ。

魔力が回復次第、回復魔法を使っていくことになっているんだろうな。

補助で同行している何人かの回復魔法系のクラスの連中もおそらく魔力切れだろうな。

状態異常の回復で大変なのか、それとも怪我などの回復かまでは分からないが、回復ポーションに頼らなければならないぐらい回復が間に合っていないってことだけしか分からないんだ。


 確か、今代の聖女アンズ様は第八十代聖女アンズ様だったはずです。聖女アンズ様の任期は約二十年ぐらいだそうです。

 若い女性が聖女アンズ様に選ばれる傾向にあり、高齢になる前に引退され次代に聖女アンズ様の役割を譲るんだとか。


 ただし、勇者様が現れた時だけは例外だそうです。

勇者様と同行の途中で聖女アンズ様の交代なんて考えられないですからね。


 青の勇者様が世界の脅威を封印されたと言われている時代からは約千年以上は経過しているそうです。

 公式の古い記録が無いので記録し始めてから千年だとか。


 聖女アンズ様が二十年の任期で交代し続けていたら千六百年ぐらいになる計算です。

 聖女アンズ様の任期を全う出来ずに引退された聖女アンズ様がいないとは言えないそうです。


(カスミ):

ねぇ、聖女アンズ様。

聖女のクラスとたぶん司祭のクラスとは大きく違うのですか?


(聖女アンズ):

そうですわ。

司祭は誰にでも就けるクラスですが、聖女は選ばれた者しか就けませんわ。

わたくしとカスミールだけしか聖女には就けませんわ。

どんなに回復魔法などに優れていようが聖女のクラスには敵いませんわ。


 今代の聖女アンズ様の力を見たことがないので何とも言えませんが、確かに本物の聖女アンズ様の力や聖女のクラスの力は凄いと思います。

 それに敵うことがないってどれぐらい差があるのかも知りたいですね。


 可能かどうかは分かりませんが、今代の聖女サンズ様に会えるなら会ってみようと思います。

 緑の勇者様と同行しているのでパルチ山付近のランクSに向かえば会えるはずですからね。


カスミ:

ギルマス。

国が動いたのなら仕方ありません。

今後の私の予定ですが、ヤマギワ村にまた帰省してレイラちゃんの欠損の回復を確認したら、パルチ山付近のランクSに向かおうと思っています。


ギルマス:

そうか。分かった。

ランクSを攻略クリアしちまうようなSランク冒険者の動向が分かっているなら助かるからな。

もし、可能ならば緑の勇者様やランクSに挑戦している冒険者たちを助けやってくれよな。


カスミ:

出来るなら助けたいと思います。

ヤマギワ村に帰る方を優先した方が早いですか?

それともウルブス領からパルチ山へ向かった方が早いですか?


ギルマス:

パルチ山へ行ってからヤマギワ村へ魔の森を通り抜けるつもりなら止めた方が良い。

あそこを通り抜けるには約三十日ぐらいは最低でも必要だ。

ヤマギワ村からパルチ山方面へ魔の森を進んだ方が比較的楽に行けると思うぞ。


 ギルマスに別れを告げて、いつものルートを使ってヤマギワ村に帰ろうと思う今日このごろです。

ー補足ー

(カスミ)や(聖女アンズ)は頭の中での会話です。

他の人には聞こえていません。


評価やブックマークをしていただけると励みになります。


ーリメイク情報ー

終焉の起源をリメイクしています。

こちらの作品も宜しくお願いしますmm

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