第121話 魔術師ギルド本部
魔術書の販売
おはようございます。今日も元気なカスミールです。
今日の予定は魔術師ギルド本部にダンジョンで手に入れた魔術書を売りに行きます。
昨日、冒険者ギルドのギルマスに言われた通りに魔術師ギルド本部に向かいます。基本的に魔術師ギルドは王都にはなく、王都には魔術師ギルド本部しかありません。
魔術師ギルドと魔術師ギルド本部と魔術師学園と魔術師の名が付く組織は三つあります。
魔術師ギルドは、冒険者ギルドと同じように魔術師を支援する組織です。
その魔術師ギルドを統括する組織が魔術師ギルド本部ということです。
これらの仕組みは冒険者ギルドと同じなのです。
それで、魔術師学園という組織ですが、こちらは魔術師を育成する学校です。神の恩恵(ステータス)で魔法職のクラスの見込みがある者が入学します。
そのクラスを高めたり将来魔法職のクラスを活かせるような職業に就くための学校なのです。一般人には職業訓練校のような存在かも。
冒険者ギルド本部は、ギルド管理本部の建物内にありますが、魔術師ギルド本部だけは魔術師学園と同じ建物にあります。
魔術師ギルド本部だけがギルド管理本部から離れた所にあるのです。
これは魔術師ギルド本部の職員が魔術師学園の講師となり、生徒に指導するには都合が良いからだそうです。
冒険者ギルドを初めとする各ギルドはここ王都に支部とギルド本部を別個に構えていますが、魔術師ギルドだけが王都には魔術師ギルド(支部)がない理由なのだそうです。簡単に言うと通勤が楽だからという理由からだそうです。
魔術師ギルド本部に向かうと冒険者ギルド本部のように事務手続きに待つ人と冒険者ギルドのように冒険者が待つような所に分かれていました。
まぁ、そうなるでしょうね。ギルド本部とギルド部分って、こうなるから役割分担している部分もありますからね。
総合受付と思われるような案内係の人に「ドロップアイテムを買取って欲しい物がある」と伝えると番号札を持たされて、近くで待つように言われました。
この部分は冒険者ギルド本部と変わらないようです。
本当にギルド本部は役所って感じがしますね。
順番待ちをしている間も番号が呼ばれた人たちが対応する番号の部屋へと順に向かって行きます。
暫くして買取が終わって部屋から出て来た人たちの中には高く売れたのは喜んだ風の顔の人がいたり、予想よりも査定額が低かったのか少し悲しい顔をした人もいました。
私の順番になったので指定された部屋に入ります。
ギルド職員:
カスミールさんですか?
本日はどのような物の買取でしょうか?
カスミ:
はい。そうです。
実は、魔術書を手に入れまして買い取って貰えませんか?
ギルド職員:
魔術書ですか?
何冊ぐらいお持ちですか?
カスミ:
十冊です。
ギルド職員:
・・・・・・・・えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。
魔術書ですって~。
それも十冊も。
カスミ:
はい。そうです。
どうやら魔術書を持ち込んだことにフリーズしていたみたいです。滅多に手に入るアイテムではないらしく、取り乱して大声で叫んだしまったのだとか。
ちなみに、この部屋には防音や盗聴防止の効果が施されているので、外で待っている人や盗聴を試みようとしている人など部屋の外にいる人には一切聞こえないだそうです。
魔術書は一冊三億ゴールドで取引される代物です。オークションには出品出来ません。魔術書はヘタに触ると複製が出来なくなるので取り扱いに慣れている魔術師ギルドが管理するんだとか。
複製が出来なくなった魔術書はニゴールドにまで価値が落ちてしまいます。銅貨一枚にも満たない価値になってしまうそうです。
この世界には、金貨、銀貨、銅貨の三つの効果が流通しています。
国や商会など使う大きな単位の金額には白金貨が使われる場合も・・・。
銅貨一枚は百ゴールドです。銀貨は千ゴールド。金貨は一万ゴールドです。
銅貨以下のニゴールドのような金額を支払うのは冒険者カードなどで魔道具を使って支払います。細かいお金はカード決済なのです。
町などで買物する時はカードで支払えます。冒険者カードでも良いし、商業カードでも構いません。何かしらのカードがあれば決済出来ます。
硬貨は大量に持ち運ぶには嵩張るし重いですが、カードを読み取る魔道具は不正をが行えないように管理されているので町の外で人と人が取引する時に硬貨が役に立ちます。
例えば、行商の途中で怪我をした人が商人から回復薬を購入する場合とかです。カード類は外では使えないので現金=硬貨で支払うしかありませんからね。
新設されたギルドのカードは対応出来ない国もあるらしく硬貨が必要な取引もあるのだとか。
三億ゴールドが十冊分だから三十億ゴールドとなります。一度のダンジョン探索で、鋼鉄シリーズの武器や防具で四百億と魔術書の三十億とで四百三十億もの金額を稼いだのです。
魔術師ギルド本部の方でも冒険者ギルドと同じで億単位を超える金額なので支払いに時間がかかるそうです。
魔術書に掛かれている魔法の呪文ですが、魔術師ギルド本部が保有している魔法の呪文と重複しても三億という買取価格は変わらないそうです。これには事情があります。
魔術書は使用者登録されていると複製が使えません。複製が可能かどうかだけ、三億か二ゴールドかという落差となるのです。
これにより魔術書を手に入れた人は売ろうと考えるはずです。私なら迷わず売ります。
次に個人で複製を行おうとする者が現れる可能性は否定は出来ません。
何処かの商会や魔術師学園を卒業した者が魔術書の複製で金儲けしようと考えることへの対策です。
魔術書は取り扱いに注意しなければ複製が出来なくなります。
これは所有者登録されるからですが、所有者が複製する分には問題ありません。
自身が見つけた魔術書を所有者登録して複製して魔法の呪文を販売することが出来ます。
元手が無料って訳なので大量に作って、大量に売れれば働かなくても稼ぎだけで生きて行けるそうです。
ただ、これはノーリスクって訳ではありません。同じ魔法の魔術書が手に入るかもしれないのです。
【火球】の魔術書がたくさん手に入っても重複する訳ですから不要なのです。魔術書の中身を確認するには所有者登録が必要なのです。
重複したら魔術師ギルドに売れば問題ないではなくて、重複したと分かれば二ゴールドでしか売れないのです。
所有者登録してしまっているから高額では買い取って貰えないのです。
魔術書から魔法の呪文が売れる魔法だったら、魔術師ギルドが買い取るより高額の儲けが出ます。
ですが、所有者登録の関係で損をすることだってあるということなのです。
魔術書の中身を知るには魔術師ギルドの専用に魔道具を使えば所有者登録をしなくても複製が作れる訳なので魔術師ギルドは複製した魔法の呪文を販売して儲けを出しているのです。
複数人が共同で複製した魔法の呪文を売れば良いのでは? という疑問も出て来ると思います。これは魔術書の中身によって収入に差が出ます。
これが誰でも手に入る【火球】の魔法の呪文だったらどうでしょうか。魔法の呪文は魔術師ギルドでは初級の魔法の呪文は五万ゴールドです。
それ以上の高値での販売は望みが薄いです。購入して貰えない可能性があります。五万ゴールドより下げる必要が出て来ます。
十万ゴールド以上で売れる魔術書の所有者と五万ゴールドでしか売れない魔術書の所有者が組むとは思えません。
高値で売れる魔術書の所有者同士が手を組んで販売しないと儲けが出ないのです。
魔術師ギルドはどうして魔術書を三億もの高額で手に入れるのか? という疑問も出て来ます。
これも、レアな魔法の呪文が高値で売れるから多少損をしてでも魔術書を手に入れるためです。
魔術書の存在自体がレアなのです。安易に手に入るアイテムではないので、運悪く初級の魔法の呪文ばかりって訳にはならないのです。
ヘタに危険な魔法が流出する方が危険だから回収の意味も込めてこのような高額なのだとか。
冒険者ギルドのギルドマスターが言っていた魔術書は腰を抜かすぐらい高額で売れると一体なんだったのだろうという疑問が残る今日このごろです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




