第119話 事情聴取
これにて第五章は終わります。
次章からも一人旅が続きます。
思っていたよりも早く冒険者ギルドから呼び出しがありました。
向かう先はダンジョン街の冒険者ギルドではなく、グランツール共和国の首都の冒険者ギルド本部まで出向いて欲しいと連絡がありました。
本部のお偉いさん方も話を聞きたいんでしょうね。そんなに話こととか聞きたいこととかあるのかな?
私にはそこまで報告したいこと(お知らせしたい内容)はありませんけどね。
冒険者ギルド本部に出向くので、ディーネさんに貰ったセーラ服に賢者の一族の外套を羽織った感じの衣装で出席する予定です。
それ以外の衣装は正装には向いていない物ばかりです。ヤマギワ村で使ったいた服ばかりなので正装とは言えないですからね。勇者の装備は私が勇者だとバレるので・・・除外しています。
グランドツール共和国の冒険者ギルド本部に来たのは初めてですね。
グランドワール王国の冒険者ギルド本部は冒険者ランクをランクアップする時に生きましたが、ここの冒険者ギルド本部も王国の本部と変わらない建物でした。統一しているのかな?
首都の冒険者ギルド本部では会議室?のような所に案内されました。
総合受付に「エルフル遺跡群のランクS攻略について呼ばれた」というと直ぐに案内された場所です。
部屋には、お髭を携えたおじさんがたくさんいました。
普通はお髭を携えたと言えばお爺さんですが、ここではおじさんでたぶん四十歳~六十歳ぐらいの年齢と思います。
髭や髪の毛が白くなっていませんし、白いのも混じっていませんからね。大人の男性の年齢が正確に分かるはずがありません。
比べる対象の父さん、村長さん、王国のギルマスぐらいしか知り合いに男性はいませんからね。
あっ、ジンくんやライムくんは同じ年齢なのでカウントしていませんよ?
その人たちの傍には秘書さんや書記官の方々も控えていて、まるで取り調べや尋問のような場面で待ち受けているよう人たちに感じてしまいました。
私一人の報告を聞くために、どうしてこんなに人が必要なのか疑問に残ります。
これでは私が何か悪いことをして公開裁判の被告のようです。
傍聴席と思われるような所には冒険者と思えるような身体がしっかりした人たちもたくさんいますしね。せめてもの救いは一般人と思われる人がいないぐらいです。
TVで観るような裁判とかの場面で一番偉い裁判官が立つような場所にいる人が話かけてきました。
イルファ:
私は、冒険者ギルド本部の統括マスターのイルファ・ポートレスと言う者です。
貴女はカスミールさんで間違いないですか?
カスミ:
はい。カスミールと申します。
イルファ:
では、いくつか質問をします。
答えられない内容は答えなくても構いません。
答えた内容は真実を語って下さい。
貴女はエルフル遺跡群のランクSを攻略したということで間違いないですか?
カスミ:
はい。間違いありません。
イルファ:
ランクSは何階層まで行きましたか?
カスミ:
百二十階層に階層ボスかダンジョンのボスか分からないですがモンスターがいました。
それを倒して地上への魔法陣で戻って来ました。
百二十階層という階層を聞いて周囲がざわつき始めます。
これまでランクS攻略に挑戦している冒険者の最深階層は八十階層~九十階層までですから、皆さんが驚くのも無理はありません。
ランクSに挑戦している冒険者パーティーは、九十階層のエリアボスに挑戦する準備を進めているという報告しかしていないのです。
実際は百階層の安全地帯まで進んでいますが、それは秘密ということに口裏を合わせているそうでしたからね。
私がソロでランクSを攻略した訳ですし、黄金の剣などSランク冒険者パーティーが攻略出来ない訳がないという声も聞こえてきますが、私の羽織っている賢者の一族の証である赤い外套を見て、特別な存在だと気付いたのかもしれません。
「おい。あのローブは賢者の一族の物じゃないか?」みたいなことが聞こえて来ましたからね。
賢者の一族は一目置かれているので本当に賢者の一族の証を羽織って来て良かったと思いました。
イルファ:
これにてカスミールさんへの聴取は終わります。
カスミールさん。今日はどうもありがとうございました。
冒険者ギルドからの聴取が終わりました。殆どの内容を覚えていません。あんなに大勢の前で色々聞かれましたが、それに緊張しながら答えるのが精一杯でした。
既に冒険者ギルドカードで確認した内容に「間違いがあるか?」なんて質問に答えたぐらいしか記憶にありません。
冒険者パーティーが勧誘すると思われるが、賢者の一族の関係者なのでそこまで酷い勧誘は起こらないと思うが、もし何か困ったことがあれば冒険者ギルドまたは冒険者ギルド本部に報告して貰えれば対処するとのことでした。
冒険者ギルドや冒険者ギルド本部は何処の国のものでも良いそうです。
おそらく、情報の伝達は早いだろうからグランドツール共和国だけでなく他国に行っても他国の冒険者パーティーから勧誘があるだろうから気をつけるようにとも言われました。
ランクSの攻略は世界で歴史に残るような偉業ですから注目を集めるのもある意味仕方ないでしょう。
緑の勇者様がこの件で絡んで来ないことだけを祈っています。
いつか緑の勇者様とは蟠りもなく協力して世界の脅威に立ち向かえたらと思います。
世界の脅威の因子については報告しませんでした。あんな大勢の前で「世界の脅威の因子」について報告すると大騒ぎになりそうな予感がしたからです。
ただえさえ、ランクSの攻略や百二十階層までが確認されたことで情報過多なのに、これ以上の混乱を招くような情報は必要ありません。
重要な情報ですが、世界の脅威や世界の脅威の因子に立ち向かえることが出来るのは、私と緑の勇者様しかいないのです。
情報を共有するなら緑の勇者様とですからね。
それにダンジョン内で世界の脅威の因子をどうしたのか? って必ず聞かれると思います。
世界の脅威の因子を倒したとなると私が勇者である可能性も晒されてしまいそうだから秘密にしておきたいのです。今は行動に制限を受ける訳にはいかないですからね。
今後、どうするかはまだ決めていませんが、暫くは休息にヤマギワ村に帰ろうと思います。
レイラちゃんの欠損が回復していると良いなと思う今日このごろです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




