第117話 もう一人の神
注)神様ではないので一柱ではありません。
百二十一階層は他の階層よりも薄暗く地上への魔法陣の光は魔の所は視界に入っていません。階段よりも遠く離れた場所にあると思います。
薄暗いだけでここまで魔法陣の光が分からないとなると魔法陣があるかどうかは疑ってしまいます。
カスミ:
部屋全体を明るくする方法はありませんか?
魔王ガリア:
照明弾でも使うか?
タイチ:
照明弾は止めたほうが良い。
もし、モンスターがいたら呼び寄せてしまう可能性がある。
カスミも知っていると思うが、警報音や照明弾はモンスターからの注意を引くからな。
賢者アレク:
探査を使ってみたがモンスターはいないようじゃ。
カスミ:
これぐらいの明るさなら魔法陣の光に気付いてもおかしくないのに光が見えないのは魔法陣が起動していないからでしょうか。
それとも、ここから離れた所にあるから光が届かないだけでしょうか。
タイチ:
それは分からないね。
光を遮る壁があって、その向こう側に魔法陣があれば光は届かないはず。
魔法陣も人が近づけば起動するタイプかもしれない。
百二十一階層なんて本来なら人が到達するのは珍しいはずだから省エネモードかもしれないしな。
私は周囲を警戒しながら真っ直ぐに進んで行きます。
部屋の大きさは分からないですが、二十部屋x二十部屋と考えて部屋の中央へと向かって進んでいます。
部屋の中央付近に青白い人のような存在がいます。
私の存在に気付いたようで話かけて来ました。
管理人:
おや? これは珍しいお客様だね。
それもボクの設定とは異なった魂が七つもあるよ。
これもまた彼奴の仕業だろうけど、ボクの考えを邪魔をするのは頂けないな。
カスミ:
貴方は誰ですか?
管理人:
君はシンタロウ君かい?
それにしても君はおかしいな魂の形をしているねぇ。
彼奴には勇者にしろと言ったはずなんだけどなぁ。
どうしてか分からないけど当代の聖女まで力を貸しているとは一体どういうことかな。
後で、彼奴にクレームの一つでも入れておこう。
ところで、もう一人の勇者は何処だい?
シンタロウ君とラン君の二人で世界の脅威を倒すという試練を与えたはずだけど・・・。
カスミ:
ランさんって緑の勇者様のことですか?
私とは一緒ではありません。
貴方はどうしてそんなことを知っているのですか?
タイチ:
止めろ。カスミ。
コイツはたぶん神だ。
それも僕を召喚した張本人の方だ。
今のカスミが強くなったからと言っても神に敵うはずがない。
管理人:
おや?
魂だけのようですが、もう一人の勇者がここにいるってことは勇者が三人ですか。
それもまた面白そうなことが起りそうですから不問に致しますね。
せいぜい、世界の脅威を倒せるぐらいの力をつけて世界の脅威を倒して下さいな。
ボクはね。面白ければ過程はどうでも良いんだよ。面白ければね。
そういうともう一人の神の気配は消えてしまいました。
私は百二十階層へと戻されたのか、赤い床となった部屋の中央の薄っすらと発光する魔法陣の前に居ました。
百二十一階層は幻というか私が迷い込んだとしか言えない空間のようでした。
それにしても、神と呼んでいた存在が実は二人もいたなんて驚きです。
あの様子だと私や青の勇者様をこの世界に連れて来たのはこの神なのでしょうね。それとは別にもう一人の神も存在している。
七つの魂と言っていましたね。
私、青の勇者様、賢者アレク様、聖女アンズ様、剣神ジョア様、魔王ガリア様の六人しかいないはずです。
最後の一人はカスミールちゃん? 転生したらカスミールになっていましたから、私とカスミールは同一人物のはずです。
だって、私にはカスミールとしての記憶もあるし、新太郎としての記憶もあります。確か、カスミールと新太郎が一つになったのが私だったはずですからね。二つの魂の訳がありませんからね。
あの神は、ここで何をしていたのでしょうか? あの反応を見る限り、あの場所には人が入ることが出来ない場所だったのでしょうね。
神がいなくなったら私は百二十階層に戻された訳ですから、普通に行けるような場所ではないはずです。
その普通に行けるような場所ではない所に私が突然乱入したのですから驚くには十分と思いますが、驚いた様子は見られなかったので、そこまで見られても困るような場所ではなかったのかな。
どうして、私があんな所に行けたのかという謎は残りますが、神が何もして来なかったので助かったとしか言いようがありません。おそらく、私たち勇者が目指す目標である世界の脅威を簡単に倒せるような存在と想います。
その上に元の世界では死者である私たちをこの世界に転生される力がある訳ですから私に敵うはずがありませんからね。
カスミ:
あの神は?
タイチ
僕をこの世界に転生させた神だ。
どうして、こんな所にいたのかまでは知らないが、もう一人の神とは瓜二つだ。
ここは双子神というべきかな。
カスミ:
双子神ですか?
分体ではなく?
悪しき心の神と良き心の神とか?
タイチ:
そんなんじゃないそうだ。
作業分担というか役割が異なっただけで姿はコピーだったかな?
まぁ、同じ姿をしたロボットのような存在らしい。
神様の管理する世界に神のような姿をした存在が多数いて、この世界にはあの神ともう一人の神の二人で管理しているそうだ。
二人の神で同じ姿だから双子神ってことさ。
カスミ:
どうして、そんなことを知っているのですか?
タイチ:
それはもう一人の神から聞いたからさ。
あの神に会ったことでもう一人の神との会話が思い出せたんだ。
おそらくだが、神という存在に出会わなかったら思い出せなかった記憶だと思う。
カスミ:
もう一人の神とどんな話をしたのですか?
タイチ:
どうして僕が死んだのか→死んだ理由を教えて貰った。
確か、工場の大爆発に巻き込まれて亡くなったと聞いている。
それが真実かどうかは確かめようがないが・・・。
どうして僕だったのかは、彼奴が選んだことだから分からないと言われたよ。
彼奴とは、先程の神のことだな。
この後、僕はどうなるのか→この世界の勇者へと転生して世界の脅威を倒す使命を受けた。
勇者の力とは→勇者は特別な力を持つ。
どんな勇者に成長するかは僕自身で変化する。
どんな力を得られるかを楽しみにとか色々聞いたな。
他にも聞いたことがあるけど、思い出せないぐらいのことだったかもしれないな。
私の時はそんな場面があったかどうかすら覚えていません。
青の勇者様や緑の勇者様の時はそうだったのかも。
私だけが特別なのかも。
勇者の装備の件は私は知らなかった訳ですし、勇者召喚の間なんて知りませんからね。
これでエルフル遺跡群のランクSの攻略は完了したと言えるでしょう。
転移門の魔法陣を使って地上に戻り冒険者ギルドに報告しようと思います。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




