第92話 エリアボスを前にして
情報収集
深層の移動に手間取っています。一階層を攻略するのに約四時間もかかります。
これは単に階段から階段までの移動距離が遠いからです。
一日十二時間活動して三階層しか移動出来ません。六十一階層から六十三階層まで攻略して六十四階層で休む。
次の日は六十四階層から六十七階層まで攻略して六十八階層で休む。その次の日に六十八階層から七十階層までのエリアボスの部屋まで行ってボス部屋前の安全地帯で休むという行程です。
面倒だったのは七十階層でした。
階段がある部屋は三マスx三マスの部屋で右手側に扉があります。扉を開けて進んだ部屋は三マスx六マスという部屋です。
二つの部屋が一つになったような長方形の部屋です。その部屋の奥の方に次の部屋への扉があります。
次の部屋は三マスx三マスの部屋です。正面に次の部屋への扉があります。
次の部屋は三マスx六マスの長方形の部屋と言った具合に進行ルート上の部屋が三マスx三マスか三マスx六マスの部屋かのどちらかになります。
もちろん、マップに現在地を記入しながら進んではいますが、ジグザグに進んでいるという感覚もあります。
これもこの階層を遠回りしていることに気付かないはずがありません。
エリアボスの部屋前の安全地帯の部屋は六マスx六マスの部屋です。
二部屋x二部屋(六マスx六マス)の大きさでこれまでの安全地帯としては広い部屋でした。
安全地帯の部屋に到着し待機している冒険者さんに軽く挨拶をして情報収集に努めます。
これまで進んで来た七十階層のルートからエリアボスのいる部屋の広さは二十マスx三十マスぐらいの広さのある部屋と推測出来ます。これはマップを確認すると分かります。
問題は深層なので登場するエリアボスは脅威度Aのモンスターなのです。脅威度Aや脅威度A+付近のモンスターの情報がありません。
黒虎と黒虎の特殊個体がそれぞれ脅威度Aと脅威度A+だったってことで、それ以外でどんなモンスターが脅威度Aや脅威度A+になるのか想像も出来ません。
これまでのエリアボスや階層ボスのは、スケルトンウォーリアー、スケルトンソルジャー、オーガ、黒虎、殺人兎、スケルトンキングを含めるスケルトン軍団です。
スケルトン系以外は戦ったことがありそうなモンスターです。見知ったモンスターなら弱点とか行動パターンが分かるので対策するのは簡単です。
一角兎と殺人兎のように似たような感じのモンスターなら似た感じの行動パータンを取るからです。
カスミ:
あのう。
男性冒険者:
カスミールちゃんだね。
どうした? なんかあったのか?
カスミ:
どうして私の名前を知っているのですか?
男性冒険者:
それは通信の魔道具で連絡しているからだ。
上の何処かの冒険者に名乗ったからだな。
それで俺たちに何のようだ?
カスミ:
深層のエリアボスの情報が知りたいんです。
脅威度Aや脅威度A+のモンスターなんて知らないんで教えて下さい。
男性冒険者:
エリアボスの情報ねぇ~。
確かに、ここのエリアボスは脅威度A付近のモンスターだな。
おい、誰かモンスターの脅威度に詳しい奴知らないか?
男性冒険者B:
それならダリアさんが詳しいんじゃないですかね。
俺がダリアさんを呼んで来ますよ。
ダリア:
何ですか?
男性冒険者:
カスミールちゃんが脅威度Aや脅威度A+でエリアボスや階層ボスになりそうなモンスターを知りたいって言ってるんだ。
ダリアがモンスターに詳しかったと聞いたから呼んだんだ。
ダリア:
そうでしたか。
カスミールちゃんに脅威度Aや脅威度A+のモンスターを教えたら良いんですね。
脅威度Aのモンスターだけど。
まずは、グランタートル。
陸亀のモンスターで口からブレスを吐くのと甲羅を円盤のように飛ばしてくるわ。
ランドタートル。
ワニ亀のモンスターで不規則に変化する長い首が特徴かな。
全身鎧のような金属鎧を着ていても嚙み砕いてしまうわよ。
噛まれるとその部分が無くなると思って・・・噛まれないように注意が必要なモンスターよ。
同じ亀のモンスターで名前も似ているけど攻撃方法が異なっているわ。
狂暴で攻撃性が高いのはランドタートルの方かしら。
コボルドマスター。
脅威度E+か脅威度Dのコボルドの進化したモンスターね。
詳しくは覚えていないわ。
カスミールちゃんは忍者というクラスをご存じかしら?
コボルドマスターはその忍者のようなモンスターなの。
すばやい動きで私たちを翻弄し、一撃必殺の技を使って即座に離脱するというヒット&アウェイ戦法が得意だわ。
コボルドマスターが出現するような時は注意が必要よ。
脅威度B+にコボルドキングというモンスターがいるのよ。
そのコボルドキングに似ているし、キング率いる軍団ともなると大量のモンスターになるしで処理が大変になるわよ。
そんな軍団に紛れ込んで攻撃する機会を伺っているのよ。
カスミ:
コボルドマスターの発見が遅れたら痛い目を見るってことですね。
ダリア:
ええ、そうよ。
脅威度Aで注意すべきエリアボスになりそうなモンスターは以上ね。
ここのエリアボスでは、それ以外のモンスター情報がないわ。
適当に戦ったら勝てるモンスターなんて注意すべきモンスターではありませんわ。
だから、そういうモンスターは除外しておりますわ。
カスミ:
ありがとうございます。
ダリア:
次は脅威度A+のモンスターですわ。
脅威度A+はドラゴン系のモンスター全てですわ。
カスミ:
ドラゴン系ですか?
ダリア:
はい。その通りですわ。
見た感じでドラゴンだって分かりますから気にする必要もありませんわ。
あっ。それとここのエリアボスはどうしてか分からないですが、私たちが部屋に入るタイミングが分かっているようですわ。
部屋に入った瞬間の無防備な所にブレスなどで攻撃してくるので注意ですわ。
カスミールちゃんはお一人様だから知っていれば注意しながら様子を伺えるけど、人数が多いパーティーで人数が揃うまで待つと危険なのよ。
カスミ:
情報ありがとうございました。
私は情報を貰った挨拶だけして寝床へ戻ります。
明日のエリアボスの為にも深層を進む為にも十分な睡眠は必要ですからね。
私の小さな身体で十二時間ぐらいの移動も大変なのです。
なので、明日に備えて休もうと思う今日このごろです。
おやすみなさいmm
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
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