終わり(別れ)と始まり(始動)
あけましておめでとっ!ことよろだよー!
全然メイン作品を投稿できてないTkayuki 冬至だよ☆
スランプとお仕事がありまして………没になった作品を見ていて、気付いたら投稿してみた!(ゝω・) テヘペロ
こんなジャンル、どうじゃろか?
「じゃ、オレ達は行くよ」
「身体には気をつけるのですよ」
こんな別れはあんまりだ。
俺は咆哮した。
何故だ、何故なのだ、と。
「仕方がねぇ話だ」
「えぇ。仕方がありません。私たち二人は【厄災指定】にされてしまったのです。そこにいるだけで他の人々に迷惑がかかりますからね」
散々人を助け、人を導いていた師匠達を災いとするのか!ふざけるな!ふざけるな!こんなのは、あんまりだ!
「それが人の世だ、バカ弟子」
「人の世で生きるのなら、これは従うしかありません。これもひとつ、今の世が平和となったのです。私たちが表立つ程の危険はもう無いということでしょう」
だからって………!
「ごちゃごちゃうるせーぞ、バカ弟子。別に俺たちは死ぬ訳じゃねぇ。ただ地球から去るだけだ」
「再び会うことも出来ますよ。ですがそれは私たちの弟子である貴方自身が強くなった時でしょうね」
せめて、せめて師匠達に恩返しを………!
「いらねーよ。お前はお前で、やりたいことをしてーんだろ?その為に必死こいてオレ達に頭を下げ続けたんだろーが」
「そうですよ。貴方は貴方の為に生きなさい。最初は気が進みませんでしたが、今では貴方に教えられて良かったと感じます」
二人の師匠は、この決定を下しこの世界から追いやる人類に怒りも恨みの感情はない。まるで罪を認めた罪人の様に、潔くその罪を償うような…………いや、そもそも師匠二人は罪人でもない。
これが………これが、正義の味方が辿る末路なのか?
人を助け、人を癒し、人を守った師匠は俺が思い描いていたアニメや漫画のヒーローよりも憧れを抱いていた。だからこそ、俺は俺が抱いていた理想に絶望するしかなかない。
こんなにも強い師匠達が、人々から拒絶されるのだから。
「俺のしたいこと…………?」
その理想には罅が入っていた。だが、その罅が広がったのは師匠二人を追いやった人々の行いによって完全に崩壊したのだ。
ヒーローなんて、ロクなものじゃない。
こんなの、あんまりだ。
もう嫌だ。
ヒーローなんて。
英雄になんて、なりたくない。
師匠達の様に、こんな結末になるのなら………!
「お前が何考えてるかは大体想像がつく。だがよ、テメェはテメェである為に何かをしなくちゃならねぇ。まあ、あー、えっとだ。………ま、身体には気をつけろよバカ弟子」
「素直じゃありませんねぇ、バカ狐」
「うっせー。黙ってろバカ狸」
「うふふ。結局のところ、私たちは貴方のことは心配しています。ですが、心配だからといって何もさせないわけにはいきません。生きなさい、弟子ちゃん。恩返しというなら、貴方が貴方らしく生きていることが一番の恩返しですから。ね、バカ狐」
「まぁ、そーだ。オレたちの為とか言って、オレたちを理由に復讐とかすんじゃねーぞ。そん時はぶっ飛ばすかんな」
「その時はお仕置き確定ですね♪」
今生の別れではない。
しかし、俺は何処かでもう師匠達とは会えない予感がした。そして何より、己の夢は潰えた感覚が恐ろしく寒く感じてしまう。崩れてしまった夢を埋めるものなどない。それに相応しき、夢と同等の何かがなければ。
「じゃあな、バカ弟子」
「弟子ちゃん、お元気で」
そうして、師匠達は去った。
オレの前から。
そして地球から。
それからだろうか。
俺はヒーローになることを、諦めた。