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8話ウェスタリス王国の四聖剣その2

 ウェスタリス王国の王都を出て、荷馬車での移動中、彰はキースにここに至るまでの経緯を話した。

「…それで、この子を故郷に返してやろうってことかい?ヤマトまで」

「きっと彼女の両親も帰りを待っているはずだ。家族は一緒に居るものだろ」

「…私、お母さんもお父さんも居ない」

「え…」

「お母さんとお父さんは居ないけど、育ててくれた人は居るよ」

(これまではわたしが勝手に過去の自分を重ねていたが、本当にあの頃の自分の境遇と似ている…。尚更放っておけなくなってしまったじゃないか)

「…お腹すいた」

王都を出て暫く進んだ頃、セラが空腹を訴えた。言われて彰もなんだか空腹を感じてきた。この世界に来て暫く経つが、まだ何も口にしていなかったことを思い出した。

「じゃあ次の街に着いたらどっか店に寄ろうぜ。もうすぐ着くからさ。モーリさん達は何か苦手なものとかあるかい?」

キースに聞かれたが、そもそも彰はこの世界の食べ物を見たことがなく、どんな料理があるのか分からなかったので、

「「特にない」」

「おっ、因みに俺も。店選びが楽で助かるよ」

その後も魔物などに襲われることもなく、次の街に近づいた時、後方から何か集団がキースの荷馬車を遥かに上回るスピードで向かって来た。

「見つけたぜ〜。行くぜ野郎共、久々の狩りの時間だぜ!総員展開!!先ずは奴等の足を止めるぜ!!」

「「「ヒャッハー!!」」」

「な、なんだ!?」

「あれは…バイクか?バギーもある。この世界にもこういう乗り物があるとはな。わたしの元いた世界よりも随分と静かだが…何を動力にしているんだ?」

「ヤベーぜモーリさん!あいつ等ただの賊じゃない!ありゃあウェスタリス最強の騎士、四聖剣だ!…か、囲まれた!もうおしまいだ!!」

彰達は瞬く間にバイクやバギーに囲まれてしまった。それに乗る者たちは全身鎧に身を包んだ騎士というより、そういった防具類は肩や胸部を守る最低限のものでなんだか世紀末感を感じる。

「どうよこのイース製魔導二輪シルフィード、そして、この俺様専用に特注したエアリアルの機動力!これからの時代は馬じゃなく魔導車よ!てめー等もう逃げらんねぇぜ!撃て!」

世紀末集団の頭目らしき男が号令を出すと、彼の部下達がキースの馬にボウガンを放つ。馬がそれに耐えられるはずもなく、呆気なく絶命し、急に馬が動かなくなったことで、荷馬車は派手に横転、彰達は外に投げ出される。

「イースから来たって男は俺が殺る!魔族のガキともう一人の男はお前らの好きにしな」

「ブラック・ワイバーンの次は四聖剣かよ!今度こそ終わった!!」




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