7話ウェスタリス王国の四聖剣その1
彰達がヤマトを目指し旅を始めた頃、ウェスタリス王国玉座の間。国王レギン・ウェスタリス7世のもとに兵士が血相を変えて飛び込んで来た。
「た、大変でございます!!」
「何事だ!?王の御前で無礼であるぞ」
「良い。それよりもそんなに慌てて、いかが致した?」
「そ、それが…」
「どうした、早く言わんか!?」
「…聖騎士団団長、アレス・バダム、消息不明にございます!王都付近で魔物の目撃情報があり、その捜索から戻られてから、忽然と姿を消しました!」
「その魔物のことなら聖騎士団の団員より報告を受けておる。ブラック・ワイバーンの死骸が転がっておったそうだな。そやつは魔王が復活したのだとか騒いでおったが…確かアレス団長はその時に出会ったイースより王都を目指して来たという怪しい男の捜索に向かったという話だったが…まさかな。分かった、もう下がって良い」
「はっ、失礼致します!」
(確かに最近の魔物の活発化は異常過ぎる。そしてイースから来たという男…)
「レギン樣、大変でございます!」
「今度は何だ、騒々しい」
「奴隷商の下から魔族の奴隷が脱走したとの通報が!またその奴隷商と私兵数名も消息不明であります!」
「魔族が脱走!?まさか、そういう事か…!」
「話は聞かせてもらったぜ~。レギン樣よぉ、その男の首、このウェスタリス四聖剣ガルド・ニクスタが討ち取ってやるよ。そいつが魔王なんだろ?」
また新たに男が玉座の間に入って来た。ノックもせずに扉を勢い良く開けて入って来た他の騎士や兵士とは明らかに雰囲気の異なる、どちらかといえば賊に近い印象を受けるその男の名はガルド・ニクスタ。ウェスタリス王国最強と言われる四騎士、四聖剣の1人である。
「盗み聞きとはお主らしいな、ガルドよ。…しかし、まだ魔王と決まったわけでは」
「何言ってんだ、聞いた話じゃ、脱走した魔族のガキをそのイースから来たって男が連れてたそうじゃねぇか。それに加えてここ最近の魔物の活発化、これはもう復活した魔王が同胞を集めてんだよ。今は直接的な被害こそないが放っとくとどうなるか分かんねぇぜ?復讐される前に潰すのがベストじゃないのかい?それに違ったら違ったで良いじゃねぇか。その事実は簡単に揉み消せるだろ」
「…良いだろう。この件はお主に任せる」
「ハッ、そうこなくちゃ」
ガルドは意気揚々と玉座の間をあとにした。
「はぁ…これだから賊上がりは…だが、実力は聖騎士団団長よりも遥かに上。そこだけは信頼できる」
「…ってわけで、そのイースから来たって男を捜し出してブッ殺す!王都から連れ出した魔族のガキもついでに殺っちまっても構わねぇぜ、俺が許す!野郎共、久々に狩りの時間だぜ!!」
ガルドは自分の早速自分直属の部下を集め、イースから来たという聖騎士団団長アレスと奴隷商達の殺害及び、魔族を連れ出した疑いのある男の捜索に打って出た。
「ようやく独自のルートで手に入れたこのイース製の単車の出番が来たなぁ。おい野郎共、遅れんじゃねえぜ!」
「「「ヒャッハー!!!」」」
騎士とは一体…




