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6話旅の始まりその4

「そう言えば君、名前は?何処から来たんだい?」

彰はもと来た道を引き返しながら、魔族と呼ばれる少女に気になっていた事を聞いてみた。

「名前…セラ。イースよりもっと東のヤマトってとこ。おじさんは誰?私に酷いことしない?」

「あぁ、誓ってしない。わたしは毛利彰。モーリでいいよ。知り合いもそう呼んでいる。セラっていうのか、いい名前だ。この王都には知り合いと来たんだが、とりあえずその知り合いの所に行こうか」

(それにしてもヤマトか…。なんだか親近感が沸く名前の国だ)

彰がセラの手を引いてキースの所に向かって歩いていると、正面に王都に着く前出会った騎士団の団長が立ち塞がった。

「止まれ貴様!ようやく見つけたぞ、貴様には色々と話を聞かせてもらう。同行してもらおうか」

「悪いが急いでいるんだ。それにわたしには君達に用はない」

「そうか…では、手荒になるが力ずくで連行するまで!」

騎士団長は鞘から剣を抜き、構える。

「我が名はウェスタリス王国聖騎士団団長アレス・バダム!この王都の平穏を守る為、貴様を連行する!はああッ!!」

騎士団長が力を込めると、それに呼応するように剣が光り輝く。

「我が魔導剣の威力、その身で味わうかいい!参る!!」

「ひっ…!!」

セラは怯えて目を瞑って彰の背後に隠れた。

(よし、今だ!)

彰は騎士団長アレスが高らかに名乗っている隙に展開させていた『キラーズ』の小さな歩兵達十体を操り、奴隷商の私兵よりも洗練され遥かに速く踏み込んできたアレスの足の鎧の隙間を狙ってアサルトライフルを発射した。その弾丸は狙い違わず鎧の関節部分の隙間に吸い込まれるように着弾する。

「うぐっ…な、何だ、この小さなのは!?」

被弾して初めてアレスは『キラーズ』の存在に気付いたが、もう既に手遅れだった。彼の目の前には小さな戦闘機が飛んでおり、ミサイルを発射した。

「なっ…!?」

アレスは叫び声をあげる間もなく爆散し跡形もなく消し飛んだ。

「また、なんの音?さっきの怖い人は?」

「何処かに行ってしまったよ。どうやら人違いだったらしい。さ、行こうか」

再び彰はセラの手を引いて歩き出す。暫く歩くと、店じまいしているキースが見えた。キースの方もこちらに気付いたらしい。

「お〜い、モーリさん!」

「キース、彼女に何か着るものと靴を用意してくれないか?」

「彼女?…うぉっ、魔族!?モーリさん、あんた魔族の奴隷奴買ったのかい?」

「違う、色々あってな。彼女を故郷のヤマトという国まで送っていきたいんだが、途中まででもいい、乗せていってはくれないか?詳しいことは移動しながら話すよ」

「ヤマト!?あんた正気か!?…でも止めても行くんだろ?分かったよ、俺もモーリさんには恩もあるし、何より自由に旅する行商人、次の行き先は決まってなかったし、良いぜ!ヤマトでも何処でも連れてってやらぁ!」

「ではこの子を着替えさせたら早速出発するぞ。理由あってこの国には長居できなくなった」

セラを着替えさせると一行は馬車に乗り込み、ウェスタリス王国の王都を後にした。ここからセラを無事に故郷に送り返すとともに彰の平穏を求める旅が始まる。







更新が遅めですが最後まで書き切るつもりではいます。

やっと旅に出れた…。

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