13話鋼鉄の巨人
イース帝国軍の兵士は、魔導銃の銃口の先をセラが包まって身を隠しているローブに引っ掛けて慎重に捲っていく。
「…」
「…!」
それを見守るしかないキースと彰の背に冷や汗が伝う。セラがストレスによって自身の能力を暴走させて魔物を呼び寄せ兵士達がそちらに気を取られている内にどさくさに紛れて逃げようと彰は考えていたが、間に合いそうにない。かくなる上はここで彼等を消し飛ばすしかない。あまり目立ちたくはないが、背に腹は代えられない。
「…!隊長、なにやら人の髪の毛のようなものが見えます!…つ、角だ!隊長、魔族です!」
「…決まりだな。貴様ら、よくも我らイースを騙ってくれたな…!下手をすればウェスタリアとの国際問題だぞ。そいつがウェスタリアから連れ出された魔族だ!暴れられる前に拘束しろ!この二人もだ」
「「「了解!」」」
(…やるしかない!)
能力『キラーズ』を発動させる寸前、彰達の後方の地面が大きく爆ぜた。
「な、何だ!?」
巻き上がる砂煙の中から鎧のような殻を纏った巨大な百足が姿を現した。
「何!?グレート・クロウラー!!」
「た、隊長…!」
「何故こんな人里近くまで…!?奴は甲虫種でありながら生態系の頂点に君臨するドラゴン種すらも時には獲物とする超危険個体…我々の今の装備だけでは話にならん!…しかし、家族や友、守るべき者のため、ここで逃げる訳にはいかん!総員、迎撃用意!死んでも奴をここから先に行かせるな!!」
彰達を拘束しようとしていた兵士達の注意が突如現れた巨大な魔物に向いた隙に彰は魔導車に乗り込む。
「キース、今だ!車を出せ!このバカ共がどうなろうと知ったことではない!」
「お、おう!!」
「な、貴様ら!待て!!ぐはっ…」
「クルド!…畜生!!」
キースが急いで車を発進させて彰達はイース兵達を振り切った。流石に兵士達に気付かれたが、彼等は目の前の魔物を相手にするのが精一杯でそれどころではなかった。
「まさかこんなに早く俺たちの情報が広まってるとはな…。わりぃモーリさん、この国はダメそうだ」
「かなり危なかったな。セラの能力が発動してくれて助かった。しかし、食料問題をどうするか」
「どっかその辺で食えそうな動物とか狩るしかないかなぁ」
「…わたしはジビエとかあまり得意ではないんだがな。!?おい、なんだあれは!?魔物ってやつはあんなのもいるのか!?」
「え?な、なんだあれは!?」
彰達の視線の先、イース帝国兵とグレート・クロウラーが交戦している上空に城壁側から巨大な鋼鉄の塊が飛来した。




