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傾国の白馬ファルキリー  作者: 水色十色
《☆PART9 新しいパンゲア帝国王室》少数精鋭の探索者集団
362/438

《☆~ 山賊討伐(四) ~》

 近くに清らかな泉があり、鉱物性ミネラルの水(ウォータ)が絶えることなく湧き出していたので、喉を潤して休めた。

 キャロリーヌが真っ先に腰を上げる。


「先を急いだ方がよさそうですから、そろそろ出立しましょう」

首領キャプテン、こいつはどうしますかい?」


 ショコラビスケの問い掛けに対し、キャトフィシュが懸念を述べる。


「連れてゆくと足手纏いになるでしょう」

「そうですわね……」


 キャロリーヌは、少しばかり考え込んだ。

 捕らわれの身となっている獣族が、地面に座った姿勢のまま口を開く。


「わっせと取引トレイドせんべ」

「取引ですって??」


 怪訝そうな表情で問うキャロリーヌに向かって、獣族が言葉を続ける。


「縄を解いて、わっせを自由にしてくれりゃ、この弓も矢も皆そっくり、あんたらにやるべ」

「分かりましたわ。でも、そのために、本当のお名前をお教え下さい。あたくしは知らないお方と取引するつもりなぞ、毛頭ありませんから」

「アンチョビーだべ。小物袋パケトに通行証があるんで、調べりゃええべ?」

「僕にお任せ下さい」


 キャトフィシュが、獣族の衣服の小物袋から羊皮紙パーチメントを出して開き、キャロリーヌの前に掲げた。


「ドリンク民国で認定をお受けになったのですね。確かに、お名前はアンチョビーと記載されています」

「これで取引が成立だべ?」

「はい。約束の通り、この品々を頂きますわ」


 キャロリーヌが、地面に置いてある弓と数本の矢を手に取った。

 続いて、キャトフィシュが獣族の身体を縛っている縄を解き、手に持っていた羊皮紙を差し出した。

 彼が、それを衣服の小物袋に収めてから立ち上がる。


「次に相見あいまみえたら、絶対やられんべ!」


 いわゆる「負け惜しみ」の言葉を吐いた上で、獣族は茂みに向かって駆け出した。

 彼の姿が見えなくなるのを待ち、キャロリーヌがシルキーに指示を出す。


「アンチョビーさんの追跡を頼みます」

「きゅい!」


 シルキーは力強く答え、翼を大きく広げて上空へ飛び立った。

 その一方で、キャロリーヌがシロミに弓と矢を手渡す。


「差し当たって、これらをお使いになるとよろしいですわ」

「分かりました」

「あなたの弓は、きっと取り戻しましょう」

「はい!」

「ところで首領、俺たちはどっちに進みますかい?」

「ヴィニガ子爵さんが描いて下さったマプの通りですわ」

「おう、了解だぜ!」


 先ほどよりも警戒を強め、再び歩き始めるけれど、二分刻(ミニト)も経たないうちに、長槍を握った獣族が次々と姿を現した。

 たちまちにして、七人からなる山賊集団に囲まれてしまい、キャトフィシュが苦言を呈する。


「やれやれ、《一難去ってまた一難》という表現は、今まさに僕たちが迎えている状況にぴったりだよ」


 ショコラビスケが、両手の拳に力を込めて注意を促す。


「おうおうキャトフィシュよお、今度ばかりは油断しちゃならねえぜ!」

「はい、重重じゅうじゅうに承知しています!」


 キャトフィシュは意を決し、魔獣骨剣をふりかざしながら、彼から近い地点ポイントにいる獣族を目掛けて突進する。そんな俊敏さ(クウィクネス)を目の当たりにしたキャロリーヌは、胸の内で「老化なさる以前のマトンさんに勝るとも劣りませんわね」と感服した。

 ショコラビスケは、別の敵に激突して弾き飛ばした。

 そしてシロミは、アンチョビーから譲り受けた弓と矢を使って、キャトフィシュとショコラビスケを援護している。三人の連携した動作プレイがうまく功を奏し、やがて七人の山賊たちが敗走するに至る。

 ショコラビスケが戦いを続けようとするけれど、キャロリーヌが制止する。


「深追いせずとも構いませんわ」

「ですが首領、連中を一網打尽にする絶好の機会チャンスを逃しますぜ?」

「ショコラビスケさん、お忘れかしら? あたくしたちの目的は、雑魚スモールのお相手ではありませんのよ。ピロリンサンテツさんから、シロミさんの大切な弓を取り戻すことです」

「がっほ! 首領キャロリーヌ女史の仰る通りでさあ!!」


 山賊集団の逃げた先は、アンチョビーが向かったのと同じ方角だったので、彼らから大統領プレズィデントと呼ばれているピロリンサンテツが、そちらに潜んでいるかもしれないと推察した。それでキャロリーヌは、シルキーが偵察から戻るまで動かない方が得策だと判断し、しばらくの間、この場で待つことに決めた。

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